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新天地ホテルのロビー
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過去と未来が交錯しているのが上海の街の魅力なら、ホテルにも、オールドシャンハイを満喫できるアール・デコ建築物もあれば、近未来を象徴するモダンな超高層タワーもあって、それはさまざま。
オールドシャンハイ派なら、ご存知、和平飯店がおすすめ。上海を紹介するとなると外灘の写真に必ず写る、あの緑色の三角屋根が印象的なホテルだ。緑色三角屋根が北楼で、1929年にユダヤ系財閥サッスーンの本拠として建てられた。一階では、上海観光のお約束、老年ジャズバンドの演奏も行われていて、ノスタルジック気分いっぱいだ。南京東路をはさんで向かいに立つ南楼はさらに歴史が古く、1906年にパレス・ホテルとしてオープンしたもの。当時、上海きっての豪華ホテルだった。
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アンティーク家具がステキな新天地ホテルの部屋 |
もう少し市中心部にあって、買物も楽しめる交通の便も良いところ。それでもって、オールドシャンハイな空間も味わいたいなら、瑞金賓館や衡山馬勒別墅飯店がある。
瑞金賓館は、別荘風の優雅な洋館が点在するガーデンホテル。1920年代に、当時の上海競馬界の大物だったイギリス人の邸宅跡だ。約80年の歴史の中では、一号館が蒋介石と夫人の宋美齢の邸宅となった時期もある。広い庭園は、朝のお散歩にも最適だ。敷地内には欧米人が毎夜集まることで有名なバー「FACE」や本格的なインド料理、タイ料理の店もある。また、ホテルを一歩外に出た茂名南路には、地元っ子で賑わうバーでいっぱいなので、夜遊び派にもオススメ。
衡山馬勒のほうは、2002年春にオープンしたばかりの、もとはユダヤ人大富豪の所有した建物。とんがり屋根と美しい芝生がメルヘンの世界に誘ってくれる。新中国建国以降はつい最近まで、共産主義青年団の事務所として使われてきた。客室数も少ないので、予約がとりづらい隠れ家的ホテルだ。
「新天地」にもホテルオープン
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瑞金賓館は洋館が点在するガーデンホテル |
近未来感を堪能するなら、世界最高層ホテルの上海金茂君悦大酒店(グランドハイアット上海)がいい。高さ420メートル、88階建ての金茂大廈のなかにある。53階にロビーがあり、客室は58階から85階まで。ロビーから最上階までの吹き抜けの光はまばゆいばかりだ。客室は近未来の外観とは対照的に、唐詩が書かれた壁や明朝家具がアクセントになっている。
02年夏にグランドオープンした中国初進出のフォーシーズンズ「上海四季酒店」や、英国式バトラーサービスで、かゆいところに手が届く時間を過ごせること請け合いの上海瑞吉紅塔大酒店(セント・レジス)もいいかも。
それから、オープンして一年にも満たない、一番新しいホテルもひとつ。上海で今、最もホットなスポット「新天地」は、20世紀初頭の上海特有の建築様式、石庫門式住宅を利用した、レストランやバー、ライブハウスなどが集まる複合施設。そのなかのホテル「
新天地」は、02年10月にオープンしたばかり。六階建てで、部屋数53室。こちらも客室には、アンティーク家具がさりげなく配置されている(アンティーク家具は、最近の上海ホテル業界の定番みたいです)。ここの特徴は全室テラスつきのうえ、キッチンも装備。食事したり仕事もできるように、大きなダイニングテーブルもある。ロケーションバツグンの場所で、めいっぱい遊びつつ、ホテルライフを楽しむのも一興かも知れません。(2003年7月号より)
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