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一日平均4〜5万人の入場者 |
中国各地に大きな被害と悲しみをもたらした新型肺炎SARS。上海ではそのほかの大都市に比べれば、被害が少なかったとはいえ、上海っ子もみな外出をひかえ、連日連夜祭りのような賑わいを見せていた複合施設「新天地」からもすっかり人の姿が消えた。
しかし、猛威が緩んだ6月に入ると、観光収入激減対策として市政府は博物館や海洋公園などの観光施設の入場券を半額にするサービスをスタート。7月現在、客の出足も以前並みにすっかり戻ったようだ。
有名レストランは予約なしには入れないし、デパートのバーゲンも大盛況。
そのなかでもいま、上海っ子のハートを引き付けて止まないスポットが、浦東新区陸家嘴の「2003上海浦東環球嘉年華(WORLD CARNIVAL)」だ。
03年夏の合言葉 「嘉年華には行った?」
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ぬいぐるみが人気の景品に |
WORLD CARNIVALは世界を巡回する遊園地で、スイス、イギリス、ドイツ、イタリアなど世界各地の四十数種類のアトラクションを設置。これまでにロンドン、パリ、シンガポール、香港などの七都市で開催されてきた。8都市目となる上海では当初、春の開催を予定していたが、SARSのために延期。6月27日から一カ月間のオープンとなった(秋季にも一カ月間開催を予定していると言われる)。
ディズニーランド、ユニバーサルスタジオに並ぶ世界三大娯楽施設のひとつという触れ込みもさることながら、この「延期」と大量のCM放映が上海っ子の期待をとてつもなく高めてしまったようだ。
「嘉年華にはもう行った?」は、すっかりこの夏の合言葉。地下鉄陸家嘴駅から地上に上がれば見渡す限り人、人、人で、東方明珠塔横の遊園地前には連日、長蛇の列なのである。
これだけの人気、当然のことながらダフ屋も出現するし、先日はニセモノの入場券を販売した人も逮捕されるなど、関連ニュースもまた、毎日報道されているのである。
23時閉演なので、遊園地のまばゆいばかりのライトアップと、観覧車から見える上海の夜景も人気で、最近増えている夜遊び族や恋人たちには最高のデートスポットになっている。
好きな女の子に告白するなら、一本のバラと嘉年華のチケット二枚があればいい、なんていうアドバイスも雑誌には掲載されていて、今の上海、どこを向いても嘉年華の話ばかり。
SARSストレスを発散
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ビルの谷間に現れた観覧車 |
週末ともなると、入場者は 1日5万人を超え、ウィークデーでも1日平均4万人以上とか。
「入場券を買って、入場するまでに3時間。さらに、一つのアトラクションに2時間は並ぶ」
という報道は少々大げさながら、少しでも人の少ないウィークデーの昼間にと出かけた私も「WILD MOUSE」というジェットコースターには一時間半並んだ。
UFOキャッチャーや輪投げなどで景品としてぬいぐるみがもらえるのも大好評で、このぬいぐるみ欲しさに、100元(1元は約15円)近く使ってしまう客もいるらしい。
一緒に出かけた27歳の上海女性はコントロールよろしく、この日の成果は30元で3個となかなかのもの。
アトラクションは絶叫系のものが多く、スリル満点。2人で声がカラカラになるまで、絶叫してきました!
友人いわく、「SARSでどこにも出かけられなかったこの2カ月のストレスを、上海人は嘉年華で絶叫してすっかり発散している」のだとか。
とにもかくにも上海に元気な夏がやってきた――。(2003年9月号より)
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