中国雑貨店 街角でおみやげ探し

ブルーカラーを着る

                         写真・佐渡多真子  文・原口純子
 
 北京を象徴する色は、故宮の赤。それと、まわりに広がる古い家々の壁や瓦の色、グレーでしょうか。そんな赤とグレーの街を生き生きと彩るのが青です。

 故宮には、青い上っぱりに竹ホウキの清掃人がいます。横町の食堂で湯気のたつ包子を売っている人も、青い上っぱりを着用。働く人のいるところ、青い作業着が活躍しています。

 故宮を見学した日本からの友人、建物より何より、清掃人の上っぱりに惚れ込み、今東京でスプリングコートにしています。

 カメラマンをしてる、おしゃれな友人が着ていると、「どこのブランド?」と聞かれたりもするそう。いかにも労働用の服らしい、無駄のないデザイン、丈夫さ、着やすさ。確かに今のトレンドそのものです。

 それにコンピューター社会に突入した今、私たちの心には、逆に体を使って汗を流すことへの郷愁があるのではないでしょうか。友人が、肉体労働のシンボルのようなこの上っぱりを着るのは、おしゃれだけではない。全身で生きることを忘れたくない、そんな想いが秘められている気がします。

 風の強い春、ブルーカラーで元気に街に出たい気分です。(2000年3月号より)