中国雑貨店 街角でおみやげ探し

食堂のかわいい必需品

                         写真・佐渡多真子  文・原口純子
 
 ほうろう引きのこの容器は、中国の食生活に欠かせない「飯盆」と呼ばれるものです。お昼時、大きな工場や大学の構内には、この「飯盆」を抱えて歩いている人がたくさんいます。その行き先は食堂です。

  食堂は、主食と副食のコーナーに分かれています。主食はご飯、饅頭、麺など。副食は、野菜や肉の炒めものや煮込みが何種類も並んでいます。列に並んで、好きな主食と副食を選び、自分で用意した「飯盆」に入れてもらうのが、中国の基本的な食堂システムです。

 「飯盆」は、今ではステンレス製も増えていますが、昔ながらのほうろう引きのものは、 大人向けなのに、動物や花などかわいい模様が多いのが楽しい。

  北京に留学した経験のある友人は、食事の思い出といえば、ほうろう引きの「飯盆」を持って、行列したことがまず浮かんでくるそうです。今では日本に暮らす彼女、北京が懐かしくなると、買って帰った「飯盆」にごはんとおかずを盛って「今日は中国の食事よ」とお嬢さんと二人、食べるのだそうです。(2000年4月号より)