中国雑貨店 街角でおみやげ探し

イスラム仕様のお茶碗

                         写真・佐渡多真子  文・原口純子
 
 北京牛街には約千年もの歴史あるモスク「礼拝寺」があって、その周囲にイスラム教徒の回族が昔からたくさん暮らしています。そこで雑貨屋さんをのぞくと、さすがに教徒のための品物がいろいろ。コーランのテープ、独特の帽子、ベール、お香から、教徒用石けん、歯磨き粉なども揃っています。

 なかでも楽しいのは、コーランの句がついた花瓶、香炉、香箱、急須など磁器類が沢山あること。こうした磁器は、同じイスラム文化圏でも中近東などでは作られていないらしく、「礼拝寺」をはるばる訪れた、かの地の信者たちにもよく売れるそうです。陶磁器の本場、中国に暮らすイスラム教徒だからこそ、生み出すことのできた品なのかもしれません。

 「礼拝寺」には十七世紀、清の康煕帝の時代から伝わるコーランの句がついた香炉が残り、古くからこうした器が焼かれていた歴史を教えてくれます。

 店では別に信者でなくても買物はできるので、私もお茶碗を揃え、教徒の人たちのように、これで友人をもてなしたりします。

 漢字とアラビア文字が並ぶデザインは、お茶碗の小さな面積に、多民族国家中国のイメージが凝縮されているよう。お茶の時間に豊かな話題を添えてくれます。(2000年6月号より)