中国雑貨店 街角でおみやげ探し

リサイクル精神が光るカゴ

                         写真・佐渡多真子  文・原口純子
 
 このカゴは、食料品の買い出しに良く使われているものです。とはいえ、スーパー やデパートには使い捨てビニール袋を下げた人ばかり。愛用者が多いのは、北京のあ ちこちで毎日立つ朝市です。朝市で新鮮な野菜や果物を買うには、丈夫なカゴが必需 品。このカゴもよく朝市で売られています。

  カゴの材料、何に見えるでしょう。実はダンボール箱などに使う包装用テープです。 北京では八〇年代中ごろから、お年寄りなどの間で、不要になった包装用テープを使 って、カゴを編む流行が始まったそうです。昔は植物の蔓で編んでいたカゴですが、都 市化が進み、簡単に材料が採れなくなった今ではテープが代用品になったのですね。 何とも時代を感じさせるカゴでもあります。近所の朝市にカゴを売りにきていた王さ んは、六十代。工場を定年退職してから、不要品のテープを集めては、一日一つカゴ を編み、お小遣い稼ぎにしているそうです。

 「わたしらの年代は、家でじっとしていることができない性分でね」。そんな時間 も物も無駄にしない精神が手編みのカゴに表れている気がします。一つ持つと、ちゃ んと朝早く起きて、野菜の買い出しに行きたくなってきます。こちらの精神にも何と なく良い影響を与えてくれるカゴです。(2000年7月号より)