中国雑貨店 街角でおみやげ探し

足元の小さな隠し技

                         写真・佐渡多真子  文・原口純子
 
 街の日用雑貨店には、様々な品物に混じ って、下着、靴下、ストッキングなど肌に つけるものも一緒に売られています。そこ には、靴の中敷きも必ず置かれていて、日 常よく使われていることがわかります。

 一年を通して店にあるのは、厚手の木綿 の布を縫い合わせただけの簡単な中敷きで すが、冬には温かそうなウール製、夏には 竹やいぐさで編んだ涼しげな中敷きも季節 商品として並べられ、小さな生活の工夫が 感じられます。

 薬局に行くと今度は、布の間に漢方薬を 詰めた中敷きあり、足のツボを刺激する突 起のついた中敷きあり。中敷きといえど、 中国ではなかなか奥が深いのです。

 そして中敷きはまた、かつて女性が家族 や恋人や親しい友人に、心をこめて贈り物 にするものでもあったそうです。自ら細か な刺繍をした中敷きは、自分の思いと手先 の器用さを相手に同時に伝えることができ たのです。

 今ではこうした風習はすたれ、刺繍入り の中敷きは、次第に工芸品として売られる ようになっています。

 これほど種類のある中敷きを季節や用途 ごとに選んで、取り替えたら……。靴にも体にもいい作用がありそうです。(2000年11月号より)