中国雑貨店 街角でおみやげ探し

餃子作りの必需品

                         写真・佐渡多真子  文・原口純子
 

 北京郊外の農家の春節におよばれしたことがあります。家のご主人が迎えてくれ、私達はまず、中国式オンドル、カンに座るよう勧められました。暖かいカンの上で、果物やヒマワリのタネをつまみ、いい気分になっていると、外の台所では、奥さんと子供たちによる餃子作りが始まっていました。

 農家のご馳走らしく、その数の多いこと。たっぷり三百個くらいはあったでしょうか。そしてそれほどの数の餃子がズラリと並べられていたのが、コーリャンの茎をつなげて作った、大きな丸いマットでした。茎のマットは軽く、家の人たちは大量の餃子を楽々と持ち運びしています。「蓋リュン」というんだよ、と名前を教わりました。「蓋」の文字がつくのを不思議に思っていたら、翌日また台所を見せて頂いた時、理由が判明。ふだんは大きな水がめや漬物がめの蓋として使える、便利なものなのでした。

 農家ではこうして直径一メートル もあるような「蓋リュン」が使われていますが、都会では狭い台所用の小型「蓋リュン」も売られています。  雑貨店で「蓋リュン」を新調する街の人の姿が目につくようになると、春節ももうすぐです。淡いクリーム色の「蓋リュン」の上に、手作りの白い餃子。中国の食の美しい風景がまたあちこちで見られることでしょう。(2000年12月号より)