「油断大敵」といい、「油断一秒、怪我一生」ともいう。日本の道路でよく見かける標語だが、初めて日本に来た中国人は、これでびっくりする。
中国語の「油断」には「うっかりした」という意味はなく、読んで字のごとく「油源が枯れた」とか「油の供給を停止する」ということで、これは当然「大敵」だと思う。まして日本は資源に乏しく、かつて堺屋太一氏の小説『油断』がベストセラーになったこともあって、いっそうその印象を強くする。
だから日本語にくわしくない中国人でも、「油断大敵」までは理解できるが、「油断一秒、怪我一生」となると、さあわからない。「怪」は「とがめる」、「我」は「わたし」。油の供給が1秒停止するだけで、なぜわれを一生責めるのか?「怪我」が「傷を負う」こととは知らない彼は、すっかり混乱してしまうのだ。
同じ漢字だけれども、意味するところはこうも違う。これがホントの「油断大敵」だね。
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