「挨拶」は、日本語では非常に重要な文字だ。人が会えば必ず挨拶をかわし、これをおこたればたちまち礼儀知らずだと非難される。だが中国人にとっては、この2字はまことに不愉快なものを連想させるのだ。まず「挨」だが、これは「……を受ける」「……の目にあう」といった意味。では、どんな目にあうのか?というと、これがひどい。
「拶」には「ザ」と「ザン」の二つの読み方があるが、ザと読めば「圧迫する」。ザンとなるとこれは古代の刑罰の一種で、手の指の間に木片をはさみ、ひもで引き締めると骨も折れてしまう。この道具を「拶子」、刑罰を「拶指」と言い、役人の「拶起来!(拶指せよ)」のたった一言で犯人は飛び上がって即座に白状してしまったものだ、そうだ。
もちろんこんな刑罰はすでになくなっているし、また復活するはずもない。これからは「帽子をとって挨拶する」とか「初対面の挨拶」といった日本語の意味するものが、お互いの友好の場で自然に定着してゆくことだろう。
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