野球が日本に初めて紹介されたのは明治初年だそうだから、もう古い話だ。中国での歴史はまだ浅いが、世界の本塁打王・王貞治選手のあのフラシンゴ打法などはいまでも話題になっており、今回のアジア大会でもエキジビジョン・ゲームとなるので、さらに人気が高まるだろう。
問題はその通訳だ。 今世紀の初め中国は、西洋の言葉を翻訳した日本製漢語をいくつか逆輸入したが、ベースボールに「棒球」という独自の訳語を当てた理由は、やはり「野」という字にある。
日本の古い写真を見ると、広い野原でひげを生やした和服姿の紳士がベースボールに興じているさまなど、確かに「野球」という訳語がぴったりだが、中国ではこれは、あらゆる球技に共通して「ファウルの球」という意味になる。さらにまた、仲間が何人か集まってなにか試合するときも「野球」という言葉を使う。
ちなみに中国で「塁球」と訳しているソフトボールを、日本で軟式棒球と言うのかと思ったら、そうではない、とのこと。この記事も危うく「野球(ファウル)」になるところでした。
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