「湯」という字を見て、「沸かした水に決まってるじゃないか」と思うのが日本人、「食卓に出るスープに決まってるじゃないか」と思うのが中国人だ。自国語の知識だけで交流しようとすると混乱を招くおそれがある。その一例がこれだ。
だが、中国の呉(江蘇省南部、浙江省北部の一帯)の方言では、「湯」の前に別の字をつけると意味が違ってくる。「面湯」は顔を洗う水、「混湯」は大衆浴場のことで、この場合の「湯」は日本語と同じだ。
実は中国でも昔は「湯」といえば熱い水という意味で、料理とは別に関係はなっかた。現代中国語が古い語義を失ったわけで、本来の意味がかえって方言や日本語に保存されているという面白い事例がここにある。
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