横浜ストーリー

 日本第二の大都市である横浜は、「横濱」と書くのが本来の表記だ。「濱」は、水辺に近い都市だとわかる。

 ところが、中日両国で漢字が簡略化され、中国では「横ヒン」、日本では、「横浜」と書くようになって、話がこんがらかってきた。中国にはもともと「浜」という別の字があり、小川とかクリークとかを意味している。水と関係はあるが、海のようなイメージは全くない。幸い横浜は有名だから、「小川にのぞむ小都市」だろうと思う者はいないが、困るのは発音の違いだ。

 中国語では、「濱」(すなわち「ビン」)はビンで、「浜」はバンと発音する。だから、もし日本流の漢字表記に従えば、発音が変わってくるので、そういう都市が別にあるのだろうと誤解する恐れが生じる。中国人が「横浜」という表記にこだわるゆえんだ。

 このような例はこれだけではなく、相手国を研究する場合に混乱ないしは障害をもたらしている。すっかり定着してしまったものを変更するのは至難のことだが、両国の専門家の共同研究に値するテーマの一つにはちがいないだろう。




 
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