|
長い農耕時代には、ウシは人々にとって有力な「助っ人」であり、忠実な「友だち」だった。ウシは田畑を耕して、荷車を引くことができる。その体はすべてが宝で、肉も乳も、その皮も利用でき、糞まで肥料と燃料として使うことができるのだ。ウシが人々に与える印象は、勤勉、忠実、強健で、労をいとわず世間の人と争いをしない。そんな性質と強いようすが、人々からは好まれている。「20ムーの土地と1頭のウシ、妻と子どもと暖かなオンドルの縁」という言葉があるが、それは昔、多くの農家の理想的な生活だった。 創世神話では「子の刻に天が開かれ、丑の刻に地が拓かれた」、つまり、ネズミが夜を噛み切って天をつくり、ウシが地を耕して土地を拓いたという。こうしてネズミとウシは同様に、天地開闢(カイビャク)の英雄になったのだ。 ミャオ族の剪紙(切り紙)では、ウシと竜がいっしょに表現されて「牛竜」と呼ばれている。「牛竜(ニュウロン)」のイメージは『ミャオ族古歌』の中の巨獣「修狃」がルーツだとされている。それは体がウロコと甲羅で覆われており、雄々しくて力が強い。宝庫の石門を破って人々に金銀を取らせ、天下の地を鋤いて人々に作物をつくらせた。その後、「修狃」はミャオ族の牡牛に変わったとされる。ミャオ族の家においては、つねにウシの角を祭っているが、それが祖先を代表し、ミャオ族の子孫繁栄を象徴しているのだという。
|
|
|