干支にみる中国文化       文・魯忠民
午馬
征戦するイメージをもつ
 
 

 午(うま)時は、午前11から午後1時である。正午となって太陽が高く上り、陽気と陰気が交代するころになると、動物たちは腹ばいになり休息をとる。ただ馬だけが習慣的に立っていて、睡眠ですらも立ったままだ。それで、午時に馬が配されたのである。

 馬は中国人がもっとも好きな動物の一つだ。じっさい、馬はあらゆる動物の中でも高貴な姿で、スマートである。馬は人の仲間であり、友人である。遊牧や農耕の長かった時代、それは人々の農耕や狩猟、運搬、スポーツ、探検、娯楽、戦争などさまざまな活動に広く利用されてきた。人は馬を使い、馬を愛した。馬の神もかつては人々の崇拝と祭祀の対象だった。中国には古くから戦馬が主人を救い、将兵が名馬を命のように大切にするという物語が数多く伝わっている。

 馬の戦争に対する貢献は、人々の賞賛を集めてきた。馬には「征戦する」というイメージがあり、多くの言葉の中にもそれが使われている。たとえば、「汗馬功労」「金戈鉄馬」「千軍万馬」「兵荒馬乱」……。また「竜馬精神」「馬到成功」「万馬奔騰」などの言葉もある。こうした言葉をよく使い、今の人たちの奮闘精神を励ましているのである。

 しかし、民間剪紙(切り紙)の馬のイメージは、陝西省にある唐代(618〜907年)の石刻「昭陵六駿図」のように勇ましいものは少なく、そのほとんどがオモチャのように、天真爛漫なかわいらしさを持っている。

 

 
 
 
 
 
 
 
   
 
 
 
 

 

本社:中国北京西城区車公荘大街3号
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。