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酉(とり)時は、午後5時から7時にあたる。西の山に日が落ちて、ニワトリが巣に帰るころだ。そのため酉時にニワトリが配された。 ニワトリは、12支の中で唯一の家禽類である。中国民間の吉祥物で、早くから人間に飼いならされたばかりか、古代中国人の「六畜」(ウマ、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、イヌ、ブタ)の一つに数えられている。人々に栄養豊かな卵と肉を供給し、オンドリが夜明けを告げてくれること。また、オンドリが羽毛をまとい、赤いトサカを戴き、首をもたげて胸を張った姿が人々に好まれること。さらに重要なのは「鶏」と「吉」の発音が似ていることなどからニワトリが吉祥のシンボルになっている。 古代中国人は、ニワトリは「玉衡星」が変化したもの、つまり南の方角のシンボルと考えていた。「日の中に金鶏あり」としてニワトリを崇拝する思想は、太陽崇拝から来ている。古代人はまた、オンドリに5つの美徳「文、武、勇、仁、信」があると言った。つまり、「頭に冠を戴く者は文なり、足に蹴爪をつける者は武なり、敵を前に勇敢に戦う者は勇なり、食を見て互いに呼びかけあう者は仁なり、時間を守る信を失わない者は信なり」――である。もし、一人の者がこの5徳を身に付けていれば、完全な人となる。 民間の言い伝えによれば、オンドリは妖怪を食べることができるので、妖怪はニワトリを恐れている。それで昔の人々は、ニワトリ型の「窓花」(窓などに貼る切り紙)を門や窓に貼り、「金鶏鎮宅」(ニワトリが宅を鎮める)の年画を正門に貼り付けた。それにより、家庭の平安と幸せを祈ったのだ。
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