中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利60周年
記念大会における胡錦涛主席の講話(要旨)



同胞の皆さん、同志の皆さん、友人の皆さん

今日は中国人民抗日戦争勝利の記念日であり、世界の反ファシズム戦争勝利の記念日でもあります。われわれはここに盛大に集まりまして、世界の各国人民とともに中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利六〇周年を記念し、正義が邪悪に打ち勝ち、光明が暗黒を打ち破り、進歩が反動を打ち負かしたこの偉大な勝利を記念します。

六〇年前、世界の前途と運命が決定された偉大な勝利は平和と正義を愛するすべての人々の心にいつまでも銘記されています。われわれが中国人民抗日戦争の偉大な勝利を盛大に記念するのは、歴史を心に刻み、過去を忘れず、平和を大切にし、未来を切り開くためであり、小康社会の全面的な建設をよりいっそう推進し、中華民族の偉大なる復興という輝かしい事業を実現させ、人類の平和と発展という崇高な事業をよりいっそう促進するためであります。

中国人民抗日戦争の偉大な勝利は、中華民族の全同胞が結束し戦った結果であり、中国人民が世界反ファシズム同盟国人民と肩を並べて戦った結果でもあります。中国人民は抗日戦争の偉大な勝利を獲得したことを自慢に思い、世界各国人民とともに世界反ファシズム戦争の偉大な勝利を勝ち取ったことを誇りと感じました。

この厳かな時に、私は中国共産党中央委員会、全国人民代表大会常務委員会、国務院、政治協商会議全国委員会、中央軍事委員会を代表して、全国の抗日戦争に参加した古参戦士、愛国の人々及び抗日の将領たちに、中国人民抗日戦争の勝利のために大手柄を立てた国内外の中華民族の子女に崇高な敬意を表わすとともに、中国人民抗日戦争を支持し、援助を与えてくれた外国政府と国際友人の皆さんに心から感謝の意を表わします。

あの壮大で勇ましい反ファシズム戦争の中で、数知れない勇敢な人々が勝利を勝ち取るために貴重な命を捧げたのです。彼らの英雄たる勲功は永遠に歴史に記載されており、その英霊はいつまでも伝えられ消えることはないのです。全員起立お願いいたします!中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争の中で勇ましく身を捧げた烈士たちに、無残に侵略者に殺戮された無辜の殉難者に黙とうを捧げます。

同胞の皆さん、同志の皆さん、友人の皆さん

二〇世紀三〇、四〇年代に起こった中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争は、世界の平和と正義を愛する国々や人民が人類の文明の凶悪な敵と存亡に関わる戦いでありました。第一次世界大戦終戦後、ドイツ・イタリア・日本ファシズム勢力は一歩一歩自国の政権を支配するようになり、国内には国民を残酷に抑圧し反動的な支配をおこない、対外には氣違いのように侵略し、拡張して、アジアとヨーロッパで戦争の二つの策源地となりました。彼らは再び世界を分割しようと、ヨーロッパやアジア、アフリカ及び太平洋地域で憚りなく野蛮な侵略戦争を起こし、全世界を血なまぐささと戦火の中へ引っ張り込み、幾多の民族が生死存亡の危機に立たされ、人類の文明が最も厳しく挑まれていました。ファシズムの侵略を打ち破ることは、人類文明を救うために最も緊迫する任務となりました。平和と正義を愛する世界諸国や人民は抵抗に立ち上がり、世界反ファシズムの統一戦線を結成し、ファシズムの侵略に反撃する勇ましい闘争を繰り広げました。

中国人民抗日戦争は世界反ファシズム戦争の重要な構成部分となっており、世界反ファシズム戦争の東方における主要な戦場となっていました。十九世紀後半から日本はだんだんと軍国主義の道に踏み入れ、一連の侵略戦争を発動し、それに参加しました。その中の多くは中国を侵略した戦争でありました。一八七四年、日本は台湾を侵犯し、一八九四年、日清戦争を挑発した上、台湾を侵攻、占領し、一九〇四年、日露戦争を発動し、中国の東北の領土と主権を侵犯し、一九三一年、九・一八事件を画策し、中国の東北三省を占領し、一九三五年、華北事件をしでかし、中国を飲み込む野心がますます膨らんでいました。一九三七年七月七日、日本軍の宛平県城の砲撃、蘆溝橋の侵攻を標識に、日本は全面的な中国侵略戦争を発動しました。日本侵略者は相次いで中国の広面積の国土を踏みにじり、大部分の重要都市を占領し、中国を日本の植民地にしようとし、さらにアジアを呑み込み、世界を制覇するようとしました。

日本軍国主義の野蛮な侵略により、中国はかつてなかった民族的な大災難に陥られました。国が滅ぼされ、種族が絶滅される危機に、奴隷になりたくない中国人民は毅然と立ち上がり、勇ましく抵抗しました。一九三一年の九・一八事件より抗日戦争がスタートし、中国人民の不とう不屈の局部的な抗日戦争が世界反ファシズム戦争の序幕をあけました。九.一八事変後、中国共産党は労農赤軍と被抑圧民衆に民族の革命戦争で中国から日本帝国主義を追い払い、全民族が団結して抗日し国を救い、不抵抗政策に反対するよう呼びかけました。国を救い、民族の存続をはかり、全民族が抗戦するという中国共産党の呼びかけのもとに一二・九運動は中華民族民族の抵抗意識の目覚めを促し、中国人民の抗日救国民主運動の新たな高まりの到来を示しました。張学良、楊虎城将軍が発動した西安事件及びその平和の解決により、国民党と共産党の二回目の合作、団結による抗戦を実現する上で重要な促進役を果たしました。一九三七年の七・七事件は東方における世界反ファシズム戦争の勃発スポットとなり、中国の全民族の抗日戦争は世界初の大規模の反ファシズム戦場を切り開きました。中国共産党が唱導し、結成した抗日民族統一戦線の旗印の下で、国民党と共産党の合作を踏まえて、中国人民は凶悪な日本侵略者と壮大な戦いを繰り広げました。

雄大な全民族抗日戦争において、中国各民族人民は心を一つにし、各党派、各民族、各階級、各階層、各団体は同じ敵愾心をもって、国難を救うためにともに立ち向かいました。長城の内外、長江の南北の至る所で抗日戦争が起こりました。中国国民党と中国共産党の指導する抗日軍隊はそれぞれ正面戦場と敵後方戦場の作戦任務を担い、共同で日本侵略者に抵抗し、反撃を加える戦略態勢が形成されました。国民党軍隊を主体とする正面戦場では一連の大きな戦争を組織し、とくに全国抗日戦争の初期、淞滬、忻口、徐州、武漢などの作戦は、日本軍に手痛い打撃を与えました。中国共産党が指導する敵後方の戦場では、広範な人民大衆が動員され、ゲリラ戦が繰り広げられ、八路軍、新四軍、華南遊撃隊、東北抗日連合軍及びその他の人民大衆の抗日武装力は勇敢に戦いました。平型関作戦の勝利は「日本軍は不敗」という神話を打ち砕きました。百団大戦は全国軍民が抗日戦争の勝利を勝ち取る確信を振い立たせました。敵後方の戦場は、日本軍の大量の兵力を牽制、殲滅し、大部分の傀儡軍を殲滅し、逐次中国人民抗日戦争の主戦場になりました。広範な香港・澳門同胞、台湾同胞、海外華僑及び華人は祖国と一緒に呼吸し、運命を共にし、さまざまな形式で祖国人民の抗日戦争に参加し、それをサポートし、多くの同胞は国のために貴い命を捧げました。日本が台湾を占領した半世紀の間、台湾同胞は絶えず反抗し、合わせて六五万人が壮烈な戦死を遂げました。かつてなかった痛ましい抗日戦争の中で、中国軍民は前の者が倒れれば後の者が立ち上がり、血を流して戦い、敵の砲火をくぐって勇往邁進し、生命の威嚇に躊躇せず、肉体で国を守る鉄鋼のような長城を築き上げ、山河を呑み込むような英雄的な気概で天をゆさぶるほど人を感動させる壮麗な史詩を書き上げました。楊靖宇、趙尚志、左権、彭雪楓、?麟閣、趙登禹、張自忠、戴安瀾ら数多くの抗日将領、八路軍の「狼牙山五壮士」、新四軍の「劉老庄中隊」、東北抗日連合軍の八人の女性兵士、国民党軍の「八百人の壮士」などの多くの英雄たちが、強暴を恐れず、勇敢に戦ってきた中国人民の傑出した代表であります。長期間にわたり苦難に満ちた卓絶な抗日戦争を通じて、中国人民は戦略的防備より戦略的対峙、さらに戦略的反攻にまで転じ、ついに世界反ファシズム戦争が勝利に向かう中で日本侵略者を徹底的に打ち負かしました。一九四五年九月二日、日本政府は正式に降伏文書に調印し、日本侵略者の徹底的失敗と世界反ファシズム戦争の最後の勝利を宣告しました。中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争は中国人民と世界各国人民の徹底的な勝利で歴史に記入されました。

同胞の皆さん、同志の皆さん、友人の皆さん

人類社会は歴史的規律や法則に則って進んで行くものであります。中国人民が抗日戦争の勝利を獲得し、立ち遅れた武器や装備をもって経済力や軍事装備の面でわれわれより強大な侵略者を打ち破ることができたのは、決して偶然ではありません。

中国共産党は自分の確固たる意志や模範行動をもって、全民族の抗日戦争の中で大黒柱の役割を果たしました。毛沢東同志を傑出した代表とする中国共産党はマルクス・レーニン主義を中国革命の具体的な実情と結びつけて、毛沢東思想の科学的理論を創立し、発展させ、抗日戦争に対し重要な思想と戦略的、指導的役割を果たしました。中国共産党は抗戦を堅持し、妥協に反対し、団結を堅持し、分裂に反対し、進歩を堅持し、後退に反対し、全民族の抗日戦争を勝利へ導く旗印となりました。中国共産党は抗日民族統一戦線を積極的に提唱し、成立を促し、それを保護し、共同抗戦のために全国軍民を最大限に動員し、全民族の力を結束する卓越な組織者と鼓舞者となりました。中国共産党は全面的な抗戦路線を堅持し、正しい戦略的策略を定め、人民を動員し、人民に頼る路線・政策を実施し、持久戦の戦略的ガイドライン及び一連の人民戦争の戦略と戦術を提起し、敵後方の戦場を広く開拓し、抗日戦争を堅持する中堅力となりました。中国共産党は自分の最も犠牲精神に富む愛国主義、流血と犠牲を恐れない模範行動で、全民族が国を救いその存続をはかる希望を支え、抗戦の勝利を獲得する民族の前衛者となりました。

中国人民をかつてないほど目覚めさせたことと、空前の民族団結及び勇敢な抗争は、中国人民抗日戦争が勝利した決定的な要因であります。中華民族は昔から一貫して、正義を尊び、平和を愛しているが、決して強暴な勢力を恐れず、いかなる外部からの圧力にも屈しません。偉大な抗日戦争は、全民族の危機意識と使命意識を呼び覚ましました。中華民族の外国侵略に抵抗した歴史では、抗日戦争のように、これほど民族の深い自覚や広範な大衆の立ち上がり、頑強な戦闘の意志を持つことはそれまでまれにみるものであります。軍隊と人民との結合、また武装闘争と非武装闘争との結合、敵前地区と敵後方との結合、公然の闘争と秘密の闘争との結合、とりわけ敵後方の軍隊と人民が繰り広げた伏兵奇襲や破壊襲撃、地雷戦、地下道戦、各個撃破などといった巧みな遊撃戦の戦術と作戦の方法は人類戦争史上の奇跡を作り出し、一時狂気じみた日本侵略者を人民戦争の大海原に呑み込んでいました。戦争は偉大な人民を鍛えると同時に、人民も偉大な勝利を勝ち得ました。

中国人民抗日戦争の勝利は、あらゆる平和と正義を愛する国や人民、国際機構及びすべての世界反ファシズム勢力の同情や支持と切り離すことができないと言えましょう。ソ連がいち早く中国人民抗日戦争に貴い支援を与えてくれました。また、アメリカは中国人民抗日戦争にかなり大きな支援を与えてくれました。そして、イギリスやフランスなどの国は中国に経済的援助、あるいは軍事的協力を与えてくれました。朝鮮民主主義人民共和国やベトナム、カナダ、インド、ニュージーランド、ポーランド、デンマーク及びドイツ、オーストリア、ルーマニア、ブルガリア、日本などの反ファシズム兵士が中国人民抗日戦争に直接参加しました。戦争後期、ソ連赤軍は中国の東北戦場に赴き、中国の軍隊と人民とともに日本軍と戦い、日本侵略者の徹底した滅亡を加速させました。われわれは、道義や物資などの面から中国の抗日戦争に大きな支援を提供してくれた国と外国の友人のことを忘れることはありません。また、南京大虐殺やさまざまな虐殺事件の中で中国の難民に支援を与えてくれた外国の友人や、中国の軍隊と共に戦うだけでなく、危険をものともせず中国に戦略物資を輸送するためにヒマラヤを越えた(ハンプ越え)アメリカのフライングタイガース、命を助け、負傷者を治療するために遠くからはるばるやってきた外国人医療関係者、中国抗日戦争の功績をありのままに報道し、アピールしてくれた外国人記者、中国抗日戦争の勝利に心血を注ぎ尽くした外国人軍事顧問と関係方々のことなども忘れることはありません。とくに、中国の東北戦場で英雄的な最期をとげたソ連赤軍の烈士を決して忘れることはありません。中国人民は、世界各国人民が中国抗日戦争の勝利のために払われた貴い貢献をいつまでも心に銘記するでしょう。

同胞の皆さん、同志の皆さん、友人の皆さん

中国人民抗日戦争は、近代以来中国が外敵侵略に抵抗し、初めて完全な勝利を収めた民族解放戦争であります。中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利は二十世紀における人類史上の大きな出来事であり、中華民族の発展と世界文明の進歩にとっていずれも重要かつ深遠な意義を持つものであります。

中国人民抗日戦争の勝利は、日本侵略者を徹底的に打ち負かし、中国の国家主権と領土保全を守り、中華民族が殖民主義によって酷使される災難を避けました。中華民族はその五千年にも及んだ歴史の流れの中で、世界でも名を通る燦爛たる文明を生み出し、かなり長い間に世界の先端を行ったこともありますが、封建的な支配の腐敗と束縛によって、次第に立ち遅れてしまいました。一八四〇年以降、中国はしばしば帝国主義列強の侵略で蹂躙され、国家主権と領土保全が絶えず侵食され、中華民族の災難がますます深刻になっていました。中国人民は外敵の侵入に奮い立って抵抗しましたが、毎回のように失敗しました。ところが、抗日戦争によって、中国人民は中国を滅ぼそうとする日本軍国主義の企みを徹底的に粉砕し、近代以降の外敵侵略をいやというほどの屈辱歴史を徹底的に終結させ、数千年にわたり発展してきた中華民族の文明の成果を守りました。抗日戦争の勝利は、五〇年間にわたった日本の台湾植民地支配を終結させ、台湾を祖国のふところに復帰させました。中国が国連の発足を提唱し、また国連安保理事会の常任理事国となったことは、中国の国際的な地位と影響力を大きく向上させました。中国人民抗日戦争の勝利という歴史が示しているように、中華民族は外敵と最後まで血戦をする気概があり、自力更生を踏まえて郷土を建て直す決意があり、また世界の諸民族の間に自立する能力があるものであります。

中国人民抗日戦争の勝利は中華民族を目覚めさせ、中国共産党が中国人民を率いて徹底的な民族の独立と人民の解放を実現するために重要な基礎を打ち固めました。近代以来、中国人民と数多くの志士仁人は国を救い民を救う道を探し求めるために並々ならぬ模索を行いました。孫文氏が指導する辛亥革命は数千年にわたって中国を支配した専制君主制度を覆し、中国が前へ進むように扉を開いたが、中国の半植民地・半封建の性質と人民の悲惨な境遇が変わりませんでした。日本軍国主義の侵略は、中華民族を国が滅び、種族が滅亡する危険に陥らせるようになり、生死存亡にかかわる試練に中国人民が大いに目覚め、中華民族の将来と運命、民族振興を実現する正確な道を深く考えるようになりました。抗日戦争を経験して、中国人民が精神と組織の面でこれまでに見られない高度に達しました。中国人民は中国が民族振興と人民の幸福を実現するには、まず、民族の独立と人民の解放を実現しなければならず、人民が主人公になる人民民主政権を樹立し、自らの運命を支配しなければならないことを深く認識しました。中国人民はまた、中国共産党が提出した旧中国を改造し、新中国を建設するという主張は歴史が発展する正しい方向を代表し、中国人民と世界人民の根本的な利益にかなうことを深く認識しました。中国共産党は中国人民を指導して民族の独立と人民の解放を勝ち取る強固な中核です。中国人民抗日戦争の勝利は中華民族が復興に向かう歴史的転換点となりました。ほかでもなく、中国人民抗日戦争勝利を踏まえて、中国共産党は中国人民を指導して新民主主義革命の勝利を収め、中華人民共和国を樹立し、中国の史上において最も偉大で、最も深い社会的変革を実現しました。

中国人民抗日戦争の勝利は中華民族の大団結を促進し、中華民族の偉大な精神を発揚しています。抗日戦争によって、中国人民が未曾有に団結し、中華民族がきわめて大きな結束力と旺盛な生命力を奮い起こしました。抗日戦争は軍事力と経済力の勝負であり、さらに意志と精神の勝負です。これまでになかったその偉大な闘争の中で、中華民族は愛国主義を中核とする偉大な民族の精神をいちだんと発揚し、国家と民族の利益を最も重要な位置に置き、死んでも亡国奴にならないといった民族自尊の気品を堅持し、挙国一致し、国難を救うためにともに立ち向かう民族の団結意欲、暴圧にひるむことなく、敵と最後まで血戦をする民族の英雄的な気概、不とう不屈で、自らの力に頼って侵略者に打ち負かすという自己向上の信念、新機軸を打ち出し、危難の中で巧みに新しい道を切りひらく民族の創造精神、正義を堅持し、人類平和の進歩的な事業に積極的に寄与するという民族の精神など多くのはっきりした特徴があります。偉大な民族の精神は中国人民が一致団結し、最後まで血戦をすることを励ますしっかりした思想の基礎と強力な心の支えとなっただけでなく、抗日戦争の戦火の中でさらに豊かになり、新たに昇華しました。これは偉大な抗日戦争がわれわれに与えた最も貴い精神的な富であり、われわれは必ず新しい時代の条件にあわせて大いに受け継ぎ、それを発揚することになります。

中国人民抗日戦争の勝利は世界各国人民が反ファシズム戦争の勝利を収め、世界平和を維持する偉大な事業に大きな影響をもたらしています。中国人民抗日戦争は世界反ファシズム戦争歴史の輝かしい一ページです。世界反ファシズム戦争において、中国人民抗日戦争は最も早くスタートし、最も長期間続いていました。中国戦場は長年にわたり、日本軍国主義の主要兵力をけん制し、抵抗し、およそ日本軍一五〇余万人を殲滅し、日本侵略者の徹底的な覆滅に決定的な役割を果たしました。中国人民抗日戦争は戦略において連合国軍と呼応し、連合国の作戦を支持し、ヨーロッパ戦場と太平洋戦場の戦略的行動に合わせ、日本ファシズムとドイツ・イタリアファシズムの戦略的協力の企みを圧制し、それをかき乱しました。中国はアジア・太平洋地域における連合国軍の対日作戦の重要な後方拠点として、連合国に数多くの戦略物資と軍事情報を提供しました。中国人民抗日戦争の勝利は世界中の人民の前に弱をもって強を制する輝いた典範を樹立し、抑圧され、侵略された民族が解放戦争を行う確信と勇気を奮い立たせました。中国人民は世界ファシズム反動勢力に最終的に打ち勝つために不滅の歴史的な貢献をしました。

同胞の皆さん、同志の皆さん、友人の皆さん

この六〇年来、中華民族は並々ならぬ発展の道を歩んできました。中華人民共和国成立後、中国人民は毛沢東同志、鄧小平同志、江沢民同志をそれぞれ中核とする三世代の中央指導グループの指導のもとで、自力更生をし、改革開放を行い、時代とともに進み、中国の特色をもつ社会主義の道を切り開いて、中国の社会主義建設を推進するうえで世界の注目を集める偉大な成果を収めました。現在、中国人民は小康社会の全面的な建設、さらに今世紀の半ばごろまで現代化を基本的に実現させるために自信を持ちながら一心同体で奮闘しています。

われわれは断固として変わることなく「発展」という第一義的な要務に力点を置き、中華民族の偉大な復興のために努力しなければなりません。「立ち後れるといじめられる」というのは、中国人民が何度も外国の侵略を受けたその悲惨な近代史から得た骨身に染みて忘れられない教訓であります。自ら強くならない国はこの世界で自立することができません。当時、幾度も侵略されたが抵抗に立ち上がろうとしない貧弱な中国の悲惨な状況を痛感した孫文先生は、「中華振興」という力強いスローガンを初めて出されました。この百余年来、中国人民は中華民族の偉大な復興という目標の達成に向けてたゆむことなく努力した結果、かなり大きな成果をあげました。ところが、わが国は今の段階では当然、今後の長い時期にも社会主義の初級段階にあるため、小康社会の全面的な建設や中華民族の偉大な復興の目標を達成するには、長くて苦しい努力を経なければならないということを見過ごしてはなりません。われわれは、「発展は絶対的な道理」という戦略的思想をゆるむことなく堅持し、重要な戦略的チャンスの時期をきちんと捉えてうまく利用し、科学的発展観を拠り所として経済・社会発展の全局を統轄することを堅持し、また経済建設を中心とすることを堅持して経済建設や政治建設、文化建設及び調和のとれた社会の建設などの分野における社会主義の全面的な発展を促進し、わが国の経済力、科学技術力、国防力及び各民族の結束力を絶えず向上させ、人民の益々増大する物質や文化面の需要を絶えず満足させ、引き続き中国の特色をもつ社会主義事業の新しい局面を切り開かなければなりません。

われわれは平和、発展、協力の旗印を高く掲げ、あくまでも平和的発展の道を歩まなければなりません。人類の発展と進歩、民族の繁栄と富強は、平和的発展の道を通して実現すべきであり、しかも平和的発展の道を通してこそはじめて実現できるものであります。武力行使或いは武力威嚇により自国の利益の実現を企てるあらゆる行為、また自民族の利益を他民族の上に君臨させようとするあらゆるやり方は、いずれも実行不可能なものであり、人類歴史の発展の流れや世界各国人民の根本的な利益に反するものであると歴史からすでに立証されています。近代に入ってから戦禍の苦しみをなめ尽くしてきた中国人民は、平和の貴重さをよく認識しています。中国は独立自主の平和外交政策を堅持し、引き続き全方位の対外開放の政策を実施し、平和共存の五原則をふまえ、世界の各国・各地域と経済、技術協力と科学・文化などの面で幅広い交流を行い、平和と発展の世界という有利なチャンスを利用して自国を発展させる一方、自国を発展させることにより世界の平和と発展を促進し、互恵と共勝ちを達成するよう努力します。中国はいつまでも世界の平和を擁護する重要な勢力であります。中国は今まで覇権を唱えていないが、将来も永遠に覇権を唱えません。中国人民は世界各国の人民と共に、平和、発展という人類の崇高な事業を推進し、人類のためにもっと大きな貢献を行うよう努力します。

われわれは確固としてゆるぎなく中華民族の大団結をうち固め、偉大な民族精神を発揚させなければなりません。香港・澳門同胞、台湾同胞及び海外の華僑同胞を含む全国各民族の人民が心を合わせて団結奮闘していくのは、中華民族が偉大な復興へ邁進するための力の源泉であります。中華民族が自ら向上を求め、勇気を奮い起こして前進するような力強い推進力を形成させるため、われわれは引き続き全国各民族人民の大団結をうち固め、国内外の中華民族の子孫の大団結をうち固め、全民族の力を最大限に結集しなければなりません。われわれは、わが国の繁栄・発展、安定・団結の好ましい局面を十分に大切にし、改革、発展、安定という大局を共に守り、みな心を一つにして改革開放と現代化建設の事業を推進し続けます。われわれは愛国主義を中核とする民族精神を大いに発揚し、各民族が苦楽を共にして開拓進取するための強大な精神的支柱を提供し、中華民族の子々孫々が国の繁栄と富強の実現に向けて団結奮闘するよう励ますべきであります。

われわれは国の主権と領土保全をゆるぐことなく擁護し、祖国の平和的統一の大業を積極的に推進しなければなりません。中国人民は自分の国を熱愛し、国の主権、領土保全及び民族の尊厳をあくまで守り抜き、いかなる勢力の侵犯も絶対に許しません。われわれは国防と軍隊の現代化建設を強化し、積極的防御という戦略的軍事方針を堅持し、中国の特色のある軍事変革を推し進め、情報化の条件下における部隊の防衛戦闘能力を向上させ、国の主権と領土保全を守るために強固な安全保障を提供します。われわれは「平和的統一、一国二制度」の基本方針および現段階の海峡両岸関係の発展、祖国の平和的統一プロセスの推進に関する八項目の主張を堅持し、一つの中国の原則は絶対に動揺させてはならず、平和的統一をめざす努力は絶対に放棄せず、台湾の人民に望みを託することを貫徹する方針は絶対に変えず、「台湾独立」を企てる分裂活動には絶対に妥協しません。われわれは中国国民党や親民党、新党の指導者との会談であげられた様々の成果を実行に移し、あらゆる積極的な措置を講じて海峡両岸の諸分野での交流、協力を強め、人的往来を促進し、両岸間の同胞の感情を緊密させ、台湾同胞の利益を十分に考慮して、両岸関係の平和かつ安定的な発展を促進し、台湾海峡地域の平和、安定を維持します。われわれは「台湾独立」を企てる分裂勢力及びその活動に断固として反対し、「台湾独立」を企てる分裂勢力が台湾を中国から切り離そうとするいかなる名目、いかなる方式も絶対に許しません。われわれは広範な台湾同胞と共に、これまで通り国家分裂の反対、平和的統一の促進という神聖な使命を担っていきたいと思います。

われわれは揺るぐことなく党の執政能力建設と先進性維持を強化し、党が終始一貫として時代の前列に立つことを確保しなければなりません。歴史が雄弁に物語っているように、中国共産党の指導を堅持し、中国の特色のある社会主義の道を堅持してこそはじめて、中華民族はより美しい未来を切り開くことができるのであります。人民をよりよく結束し、その前進を導くため、党は自らの建設を大いに強化、改善しなければなりません。われわれは公のために結党し、人民のために執政するという本質的要請を終始一貫として堅持し、権力は人民のために行使され、情けは人民にかけ、利益は人民のために図られることを堅持し、党の理論と路線・方針・政策が時代の発展の要請に順応し、人民の意思と願いを反映するようにし、絶えず最も広範な人民の根本的利益を立派に実現し、擁護し、さらにそれをよく発展させなければなりません。われわれは党の執政能力の建設強化を重点として堅持し、党の建設という新たな偉大なるプロジェクトを全面的に推し進め、指導水準と執政水準のたえざる向上と腐敗への抵抗、変質防止とリスク抵抗能力の向上という二大の歴史的課題を立派に解決し、創造力、結束力、戦闘力を絶えず高め、これをもって執政のための使命をよりよく成し遂げなければなりません。党が終始旺盛な活力とはつらつとした生気を保ち、時代の前列に立ち、人民を結束、引率し、小康社会を全面的に建設し、さらに中華民族の偉大なる復興を実現するための強固な指導の中核となるようとするには、党の先進性維持を弛まずに繰り広げ、思想を解放し、実際に即して真理を求め、時代とともに前進することを堅持し、いつまでも自己満足や怠りをしないようにし、発展の目で自己検査、評価し、改革の精神で自らを強化、改善しなければなりません。

同胞の皆さん、同志の皆さん、友人の皆さん

中国および日本はいずれもアジアひいては世界で重大な影響力をもつ国であります。中日両国間の二千年余りにわたる交流史においては、中日友好は主流的なものでありますが、近代に日本軍国主義の引き起こした侵略戦争は中国人民にきわめてひどい災難をもたらしたばかりでなく、日本人民も大きな被害を受けました。侵略戦争を画策し、引き起こしたのは一握りの日本軍国主義的連中のみであります。第二次世界大戦後、日本の各界の多くの人は勇気をもって日本軍国主義が外国を侵略したという歴史的事実を正視し、日本侵略者による中国侵略の暴行を強く譴責しました。また、その頃侵略戦争に参加した少なからぬ日本の旧軍人は誠意をもって戦争中の犯罪をざんげした上、実行動で日中友好を推し進め、かなり多くの有益な活動をしてきました。彼らの良知と勇気は高く賞賛されるべきであります。

中国政府は一貫して中日関係を重視し、中日友好の方針を終始堅持し、さらに中日友好のために弛まぬ努力をしてきております。新中国の成立後、中国の政府と人民は中日関係の改善、両国国民の伝統的友情の発展のために大量の活動を行ない、日本の良識のある政治家および各界の人々とともに中日国交正常化の実現を推進しました。長年らい、中日関係は絶えず発展を見せ、両国間の経済貿易と協力は絶えず拡大し、人的交流が日増しに密接になっていること、これは両国人民が平和・友好と共同発展を図る願いを反映するものであります。これは両国の数代にわたる指導者および良識のある人々がともに努力した賜物であるため、それをいっそう大切にし、心をこめて守らなければなりません。しかし、指摘すべきなのは、長期にわたって、日本国内には常に日本の引き起こした侵略戦争の性格と罪を頑として認めない勢力が一部存在し、彼らは軍国主義的戦争を極力に美化し、また史上ですでに恥辱の柱にはり付けられたA級戦犯の亡霊を呼び戻そうとしています。こうしたやり方は、歴史問題に関する日本政府の公約に背いたばかりでなく、中日関係の政治的土台から離脱し、中国とアジアの関連諸国国民の感情をひどく傷つけてしまいました。前事の忘れざるは後事の師なり。われわれが歴史の銘記を強調するのは恨みを覚え続けることではなく、「歴史を鏡として、未来に目を向ける」ためであります。過去のことを忘れず、教訓を覚えておいてこそはじめて、史的悲劇の再演が避けられます。日本の政府と指導者が歴史、国民、未来に向け高度に責任を負う態度をとり、中日友好の擁護、アジアの地域的安定と発展の大局から出発し、真剣かつ慎重な態度で歴史問題を善処し、その侵略戦争に関して表明したお詫びと反省をしっかり実行動に移すことを、われわれは希望しております。中国政府が中日友好協力関係を発展させるという方針は変わっていないことを、私はここで重ねて表明したいと考えております。われわれは『中日共同声明』、『中日平和友好条約』および『中日共同宣言』という三つの政治文書を厳守し、対話、平等的協議を通して、中日両国間の相違を善処することを堅持し、幅広い分野における両国間の交流と協力を強め、民間の友好的往来を強め、相互理解を増進させ、共通した利益を拡大していこうとします。さらに、実行動で二十一世紀における中日友好協力関係の発展に力を尽くし、中日関係が健全かつ安定的に発展し、中日両国の国民が世々代々まで友好的に付き合ってゆくようにします。

同胞の皆さん、同志の皆さん、友人の皆さん

われわれは昔のことを振り返る頃にあたっては、感慨無量でありますが、未来を展望する際にあたっては、自信満々であります。五千余年以来、中華民族は度重なる苦難と試練を経験しましたが、いつでも自ら向上を求めてやまなく、人類文明の進歩のために不滅の貢献を行ないました。今日になりまして、中華民族の発展はまたとない歴史的好期に恵まれており、中華民族の偉大なる復興の光り輝く前景はすでにわれわれの目の前に現れています。大陸同胞、香港・澳門(マカオ)同胞、台湾同胞、海外の華僑同胞を含む中華民族の全員は、みんなで中華民族の一構成員としてこの上ない誇りを感じるべきであり、中華民族の偉大なる復興という歴史的責任を負うべきであり、自らの努力で中華民族の発展史に光り輝く新しい一章を綴るべきであります。われわれはいっそう緊密に団結し、小康社会の全面的な建設および中華民族の偉大なる復興の達成のために引き続き努力して奮闘しましょう。平和・発展、文明・進歩の世界づくりのために引き続き努力して奮闘しましょう!