西北地方の生命力を描く 鍾 イ
1968年2月、北京で生まれた馬文典さんは、両親などの影響を受けて3、4歳の頃から絵画を学びはじめ、長い時間を掛けて着実に絵画の基礎を打ち立てた。のちに中央美術学院と中国書画通信大学に入り、西北地方を題材に研究した。そんな鍛錬の中で、徐々に西北風情ある独特の水墨画風格を作り上げ、中国の青年画家として独自の道を切り開いた。 馬さんは、西北風情の描き手として画壇に名を馳せている。彼の筆は、西北地方の広大な砂漠、荒地に力強く生きるナワシログミやギョリュウ(赤い花をつける落葉樹)、さらにラクダや人物に至るまで、広大で勇壮な勢いあるものを何でも描き出す。特に彼によるラクダは、誇張と変形の写意手法(微細な描写をせず、情趣の表現に重きを置いた中国画の手法)を採用し、困難や危険を畏れず、我慢強く、勇敢なものとして細かく表現されている。ラクダを擬人化しているのは明らかだ。馬さんは次のように語る。 「ラクダは、西北地方のゴビ砂漠では、どこにでもいる動物で、各家庭で必ず飼っている。劣悪な環境も平気で、長く苦しい旅路をものともしない。わたしがラクダを描くのは、西北地方の人々の、私欲がなく、畏れず、我慢強く、身を捧げる勇気ある精神を表したいからで、多くの人々を啓蒙、鼓舞したいからだ」
馬さんが描く砂漠風情は、社会的認知を得ている。彼はいままでに、北京にある中国美術館と中国の他の都市で画展を開催した。また近年は、ニューヨーク、パリをはじめ、東南アジア各地でも個展を開き、高い評価を得ている。『当代世界名人集』『世界美術世紀末業績大典』『中国人材世紀祝辞、名人辞典』などに収められた作品もある。(2002年2月号より) |