WTO加盟が
  中国農業を変える



   世界経済においてきわめて重要な位置を占めるもの――それが農業にかかわる問題である。その問題が各国から高い関心を集めるのは、食糧の安全対策や農業従事者の収入、農村社会の安定、文化、環境保護などさまざまな問題に波及するからである。発展途上国である中国では、全人口の50〜60%が農業に従事し、同70%が農村で生活を営んでいる。中国は先ごろ世界貿易機関(WTO)に加盟したが、今後は市場の開放と競争が、農業にどのような影響を与えるのだろうか? 二人の農業問題研究者に取材したところ、その影響ははかりしれず、憂慮すべき事態であることがわかった。(本誌編集部)  

    苦しみもチャンスも

         国務院発展研究センター研究員 程国強

 WTOに加盟した中国では、農業において次のような顕著な変化があろう。

 @市場開放の幅が広がるが、それにつれて(輸入農産物は)より厳しい管理を受ける、A移行期が比較的短いため、国の保護政策はかなり制限される――などだ。

 しかし、現行の管理体制や農業政策を早急に改革し、競争力や農産物の品質を全面的に高めるなど、国際競争に立ち向かう方向がわかれば、WTO加盟は中国の農業構造を変革し、農産物の競争力を高める絶好のチャンスとなろう。

 WTO加盟は、中国農業に何をもたらすのか? それについては、すでに多くの専門家が予測している。つまり中国農業が、はかりしれない影響を受けるという見方である。WTO加盟交渉では、あらゆる分野における協定が行われたが、中でも農業関係の交渉は困難をきわめた。そこから推察すれば、中国農業は最も大きなチャレンジを強いられるだろうし、私もそのように予測する一人である。

       市場の国際化に直面して

大型農産物自由市場の野菜売り場(写真・楊振生)。

 今後、中国の農産物市場が開放されるにつれ、国内市場もより国際化していくだろう。つまり中国は他国の、とりわけ農産物輸出国の大きな市場となるのだ。国家は国内市場や産業の安定を保護する義務があるが、WTO加盟後は、自由貿易や市場開放をさらに進めなければならない。

 WTO加盟の協定条項から見れば、今後は中国が輸入をコントロールしてきた貿易統制が国際的な管理下に置かれ、厳しい制約を受けるだろう。中国はこれまで、外国品の輸入を抑え、自国への悪影響を防ぐためにはどんな措置でも取ってきたが、今後はそうはいかない。可能な措置には限りがあるのだ。

 農産物の輸入関税率が引き下げられる上、もし非関税障壁(関税以外の方法で国産品と外国品を差別し、貿易制限的効果をもつ手段や制度)により農産物の輸入を制限すれば、すべての関税が取り消されるか、または、WTOが認可する関税ルールに従わなければならない。いわゆる「関税化」である。さらに、もし関税割当制度(一定期間内に輸入される特定商品について、割当数量を超えるものには高税率を課す二重税率制度)を実施すれば、同制度にもとづいて輸入政策を調整しなければならない。

 こうした中で、唯一考えられる措置は、関税割当制度以外の方法である。つまり従来と比べると、中国の輸入コントロール能力はかなり弱まる。国内市場の国際化が進むにつれて、重要な農産物であれ、良質な製品であれ、モノを作り出す各種産業への風当たりも一段と強くなる。我々は、これに十分関心を払うべきである。

     農業政策と管理体制への影響

 農村経済管理体制はこれまで、計画経済に即してつくられていた。そのため経済管理やコントロールの目標は、市場経済下におけるものとは異なった。従来は、政府が国の食糧安定供給を目標として、すべての管理機構と農業政策を決定した。それも農産物の生産量や供給の問題を解決するためである。

農民に栽培上のアドバイスをする科学技術者(写真・楊振生)

 しかし、国際競争に加わるWTO加盟後、急務となるのは、各種産業の競争力の向上だ。そのため現在、農村経済管理体制における三つの方面(@農業管理機構の設置、A農業政策、B流通体制)は、いずれも問題を抱えている。

 @の管理機構設置の問題は、管理が空洞化していること。そのため、各部門がバラバラに分かれ、それぞれが市場を独占する欠陥が生じて、農業資源が有効に配分されなくなっているのだ。部門の分割とは、生産や供給、販売、内外貿易という各パートがそれぞれ独立して、ヨコの連携を持たないことだ。農業や農産物に問題が一つ生じれば、それは八から九の部や委員会(いずれも日本の省庁にあたる)に影響が及ぶだろう。それは、各省に複数人いる副省長クラスの場合も同じである。ある副省長が食糧生産を管理すれば、別の副省長が食糧の買い付けを管理する。食糧の輸出段階では、ある副省長が対外貿易を管理すれば、別の副省長が加工業を管理する。こうして一つの産業をバラバラに分けてしまえば、産業に必要な結集力、競争力の強化は至難のわざである。

品種もさまざまな
国産と輸入の果物
(写真・楊振生)

 さらに、市場の独占もある。食糧であれば食糧管理システムがきっちりと形成されていて、全国四百万の管理・買い付け・販売業者は、国が保護価格で買い付ける部分だけに頼り、綿であれば全国百万以上の管理・買い付け・販売業者が毎年の買い付け部分だけに頼るのである。彼らの給料や住宅、福祉待遇などは、すべてこうした部分から供給されるので、その競争力は押して知るべしだ。

 一方、先進国のほとんどは、畑から食卓まで「一体化」の管理体制を実施している。つまり農業部門は、農産物を生産する畑から消費者のいる食卓まで、すべてを管理している。中国農業のようにバラバラな管理体制は、農業を総合管理する体制には立ち向かえないのである。

 Aの農業政策にも、同じような問題が残る。これまで我々は、国際競争への参入をまったく考慮しなかった。政府の政策は、主に生産量の問題を解決するためのもので、競争力の問題を解決するためのものではなかった。そのため今後の新しい政策は、ある部分で従来型の政策とはズレが生じるだろう。

 例えば、先進国の農業政策の目標は、第一に、農家の収入を増やす、第二に、農産物市場を安定させる、第三に、食糧の安全問題を解決する、第四に、環境保護を推進する――である。中国の農業政策もこれと同じ目標を持つべきである。従来も理論的には、農家の利益保護を主な目標として農業政策を実施すべきだった。しかし実際、国の農業補助金は、保護価格制度などを通じて流通部門や企業などに使われた。農業政策の施行は目標に達したどころか、それとかけ離れてしまっていたのだ。

 生産政策は販売政策とリンクしておらず、輸入政策ともリンクしていない。こうした状況下における政府の農業支持政策は、その効果が予想とかけ離れてしまい、大きな損失を招いた。では、今後はどのようにすべきか? 農業の競争力を高めるためには、現行体制や政策は必ず大きな衝撃を受け、調整せざるを得ないだろう。

北京市第三回農業
博覧会で、マグロ
を試食する観客

 ここで憂慮するのは、今後は農業政策で支持できる「空間」が制約を受けることだ。今後、中国の農業政策はすべてWTOのルールに則らなければならず、その上で全体の政策システムを調整しなければならない。そのため、農業政策が制約を受けるに違いないのである。それはある意味で、中国のような農業国家から見れば、きわめて不利だと言わざるを得ない。

      「自由貿易」下の不公平な競争

 農作物の輸出においても、そのやり方には制約が課せられる。一方では、WTOの輸出ルールに従わざるを得ず、従来のように国が輸出を補助するやり方は通用しなくなるだろうし、もう一方では、先進国の厳しい貿易シ Xテムの壁にぶつかるだろう。

 たとえば、トウモロコシ一つをとってみても国の補助が許されないので、輸出量は必ず落ち目になるだろう。そうした中で、国際市場において比較的優位が見込めるのは、わが国の肉類製品である。また野菜やくだものも、国際市場においてはコストや価格の面で問題がないと言える。

 輸出の面で最も大きな問題は、これらの優位な農産物が日本や欧州、とくにアメリカの市場には、なかなか入りにくいことだ。彼らは自由貿易のこん棒を振って、「中国市場を開放せよ!」と要求しながら、高い敷居を設けて農産物の輸入をこばむのだ。貿易システムの壁、たとえば動植物の検疫や衛生、品質などの基準を設けて、他国製品の輸入を制限するのである。

 我々が直面するのは、自由貿易の御旗の下での不公平な競争だ。現在の課題は、貿易システムの壁をいかに乗り越えるかである。そのため、国内の検疫制度や検査、システムの態勢を強化して、それらに十分関心を払うべきである。

     環境改善して競争力ある企業を

 WTO加盟後、法律法規や審査手続きなどの調整によって、農業関係企業や農産物加工業は、かえってよい競争環境に置かれるだろう。実際、農産業は全体的に不利な状況にあるが、その中で農産物加工業の発展には期待が持てる。関連企業がだんだん育ち、トップクラスの優良企業になり、「航空母艦」として多国籍企業になるのも可能だ。国内市場に君臨し、国際市場にも影響力が持てるだろう。

 こうした変化には、十分な注意を払わなければならない。グローバル化が進む中では、国際競争に主体的、積極的に参加しなければならない。国際競争に参加するのは、政府ではなく、農民でもない。政府はただ、環境や協議の場を与え、販売促進のサービスをするだけで、実際の売買はできないのである。その上、中国の農家は分散していて、一つひとつの規模は小さく、その基礎もまだ不十分である。世界中どこを探しても、農民個人が直接、国際競争に参加している国などなく、かつては国内競争さえも行っていなかった。それで我々には、国内競争や世界的な競争に参加しうる企業が必要なのだ。

 中国には、農業関係の一部のトップ企業があるが、スタートラインの水準が低く、その歴史が浅いなどの問題から、中国農業全体を国際競争に参加させるだけの実力に達していない。その主な原因は、従来の不平等な競争にあった。

 たとえば、電気の利用だ。電気の利用は、生産の重要な構成部分である。もし、加工企業が都市にあれば、都市の工業用電気料金の基準で電気代を支払うが、農産物の企業は主に農村や田舎町の生産地区に置かれている。ところが奇怪なことには、農村や田舎町の企業の場合、都市の二倍も高い農業用電気料金の基準で電気代を支払わなければならない。電気利用の面だけとってみても、これだけ不平等な待遇を受けていた。

 また、工業関係の都市企業は、商業銀行の融資や貸付優遇政策の恩恵をこうむることができるが、農業関係の企業はそれがなかなか受けられない。こうして農業関係の企業は、さまざまな不公平な競争に直面している。今後は、こうした状況が好転するよう期待しているし、必ず変化するだろうと確信している。WTO加盟により、競争環境が改善され、それが比較的優良な企業の成長を促すことは朗報だと言える。

    約束したからには

            中国発展研究基金会秘書長 盧 邁

 中国の農業は生産規模が小さいため、食糧生産では比較優位性がない。WTO加盟によって中国の農業はどうなるのか。第一に、食糧生産農家の収益が直接的な影響を受ける。第二に、一部の農民が離農し、社会の階層分化が速まるかもしれない。第三に、外国資本が殺到してきて、中国の生物の「種」や農業資源に影響が出るだろう。

       農民の収入は2%減少する

 中国がWTOに加盟した結果、直接的なショックを受けるのは農民である。農民の収入は直接影響をうけるだろう。なぜなら、中国の食糧生産は、小さな土地に多くの化学肥料を施す生産方式だからだ。

 米国はどうか。一軒の農家がトラクターで広大な土地を耕す。中国の農家が一戸当たり耕作する面積は、7、8ムー(1ムーは約0・067ヘクタール)に過ぎない。もともと食糧生産のコストでは、中国の人件費が、少なくとも外国より安いと思われてきた。しかし現在は、人件費や化学肥料代、機械による耕作費用、税金など、どの項目をとっても中国は外国よりずっと高い。米国の食糧生産の平均コストは、中国よりはるかに低いのである。

 国際市場の価格は絶えず変動するが、食糧の貿易が成り立つには、輸出国と輸入国の卸売市場の価格差が50%以上必要である。しかし、外国船による輸送費や保険料などを除いても、外国産の食糧の輸入価格より、中国の国内価格はなお20%も高い。だからトウモロコシや小麦、米、大豆など土地集約型の農産物では、中国はまったく優位性を持っていないのである。

 現在、中国が輸入している米などの主要な食糧の量は、年度ごとの振幅が非常に大きい。輸入の最も多かった95年の輸入量は、農業総生産量の5%を占めた。この5%という数字は決して小さくない。この年、市場に供給された食糧は、総生産量の40%だったからである。

 実際、北京、天津、上海などの大都市では、すでに輸入した小麦粉を食べている。パンなどの多くの小麦粉で作られた食品は、みな輸入小麦が使われている。ここ数年、中国では毎年、小麦をずっと輸入して来たが、特に良質の小麦の供給は需要に追いつかない状態だ。一方、米とトウモロコシは一部輸出されている。

 今後はどうなるだろうか。人々の生活水準が高まるにつれ、小麦粉の需要は増加する見込みで、小麦の輸入も増えるに違いない。しかし、トウモロコシの輸出は難しくなる。しかも、中国南部では、北部のトウモロコシを調達するよりも、直接、外国から輸入することになるだろう。大豆もすでに大量に輸入している。問題は、中国の米が国際的な米の市場で占めている地位をどれだけ長く維持できるかどうかだ。

 こうしたことは、農民の収入に直接、影響を与える。WTO加盟に際し中国が公約した今後五年間の輸入量が、その通り実行されれば、農民の収入は約2%減少するはずだ。

江蘇省海安県農場で
は、稲の刈り入れが
機械化されている。

 この二年間の農民の収入は、全体から見れば増加している。しかし、実際は非常に不均衡なのである。たとえば2000年は、帳簿の上では農民の収入は3%増加したことになっているが、もし農民を収入別に五段階に分ければ、その下から二段階に属する農民、つまり40%の農民は、収入が減ってしまっているのだ。

 この40%の農民の典型的な特徴は、主な収入源が農業であることだ。専業農家でも兼業農家でも、郷鎮企業や出稼ぎがないと、収入は減ってしまう。だから、昔ながらの農業地域は、受ける影響がもっとも大きい。

     離農した農民たちはどこに行くのか

 次に注目しなければならないのは、土地制度に対する影響である。インドの経験では、国が経済作物を植えるように農業の構造調整を行おうとするとき、多くの企業や、投資資金のある農民は問題がない。しかし、普通の農民は、資金もなく、耕作規模も小さいため、経済作物に転換できない。インド政府は今年から関税を撤廃することを約束しているが、すでに2年前から、所有する土地が狭く、経営規模の小さい農民がやむを得ず土地を売って、出稼ぎに行くという事態が起こっている。現在、中国東南の沿海地区でもすでに同様の事態が起きている。土地にかけられる税金が重すぎるため、土地を譲渡してしまった農民たちもいる。

 WTO加盟後に起こって来る市場の変化は、農村の経済構造にも影響を及ぼすに違いない。つまり、ますます多くの農民が離農して、直接、労働力を売りに出稼ぎに行くだろう。これは経済が発展すれば必然的にもたらされることで、土地の経済効率は高くなる。しかし、これを社会的な観点なら論ずれば、このようにして発生した離農した農民群に注目しなければならない。農民が土地を失うということは、社会保障の一部も失ったことに等しい。

 そうした農民たちが、仕事を見つけられればよいが、仕事が見つからなければどうなるか。これは社会問題を引き起こす。現在でも就職はなかなか難しいが、農業をやめて就職できない農民に対し、もし彼らを十分吸収することができず、農地が転用されて他の目的に使われ、農民の退路が断たれた場合、大変危険である。社会や政府は、最終的にその責任を負わなければならないのである。

 さらにWTO加盟後、中国は自国の農業資源の保護に充分な注意を払わなければならない。例えば遺伝子組み替えの種子である。インド原産のトウモロコシは、これまで食用だったが、その生産量は多くなかった。現在使われているのは米国の種子のもので、これは、生産量は多いが、もともと人間が食べるものではなく、家畜の飼料であった。だが、貧しい農民たちはやむを得ず、自分の食習慣を変えなければならなくなったのである。

 従って、「種」の資源や、今後発生するかもしれない、潜在的な影響について、我々はまだ十分に理解していない。そこで少なくとも次の三つの面について対策を講じなければならない。

寧波で加工された野
菜は、日、米、韓な
どの十数のスーパー
に輸出される

 第1に、中国の農業生産は小規模なので、食糧生産では比較優位性がないため、WTO加盟によって農民の食糧による収益は直接、影響を受ける。現在、すでに国際的な市場の圧力を受けていて、国内の食糧の価格は抑えられている。

 第2に、WTO加盟の影響は、農民の離農となって現れる。これによって社会の階層分化が加速する。

 第3に、外国の資本が大量に入って来た後、中国の「種」と農業資源に影響を与える可能性がある。これに対し十分な心の備えをしておかなければならない。

     付加価値の高いものは有望だ

 しかしながら、WTO加盟により、多くのチャンスがもたらされる。中国は、土地集約型農業と資本集約型農業では優位性を確保できないが、労働力集約型農業では競争力がある。近年来、中国の野菜および果物の輸出は大きく伸びた。中でも日本向け輸出の伸びは特に速い。また、多くの日本の企業や個人が、中国に農場や農産物加工工場を設立している。雲南省のランのように、日本に大量に輸出されている商品もある。山東省では、野菜栽培用ビニールハウスが道沿いにずらりと並んでいる。しかもある会社は、一年中、新鮮な野菜を供給するために、気候の違う南方、北方の各地に野菜生産基地を作り上げている。合理的な国際分業が実現すれば、中国の付加価値の高い農産物の未来は明るいと言える。

 しかしここで強調したいのは、先進国による自国農産物の保護政策の問題である。中国はWTOに加盟した以上、その規則を守る義務がある。しかし先進国は、その影響力を武器に、他国には市場開放を迫りながら、自国の市場にはさまざまな保護を加えている。

 鶏肉を例にすれば、中国人は鶏の胸肉、手羽、腿、内臓を食べる。しかし、米国ではどうだろう。胸肉など白肉(ホワイトミート)しか食べない。現在、華人を含む米国商人たちは、手羽、腿、内臓など不要なものを、一ポンド(約500グラム)十セントの極安価格で中国に輸出し、商売をしている。つまり彼らは、飼料の値段で手羽、腿、内臓を中国に売り、それが中国のレストランで食品に化けるのだ。これは中国の家禽の生産者にとっては直接的な打撃だ。

 もし平等な貿易ならば、米国が鶏の不要になった部分を中国向けに輸出する代わりに、中国は白肉を米国に輸出できるはずだ。しかも、米国の小売価格は一ポンド2、3ドルで、この価格なら中国は完全に輸出することができる。

 日本も農産物に対しさまざまな保護措置をとっている。かりに中国が自動車市場を開放した後、日本が引き続き農産物の保護措置をとり続けるなら、世界経済の新秩序の実現は不可能である。

 中国の農産物が本当に国際市場に進出しようとするなら、そしてチャンスをつかもうというなら、さまざまな努力をしなければならない。

 WTO加盟以後、我々が実際に直面しているのは何か。伝統的な農業システムを変え、過去の財政・税制度を変え、また計画経済的発想を変えることである。だから農産物が突き当たる問題は、決して1回の五カ年計画で達成できるようなものではない。農民の発想を変え、教育レベルを高めるには、何世代もの時間がかかるかもしれない。しかしもう後には引けない。我々は、国際社会と約束したのだから。(2002年2月号より)