中日国交正常化30周年を記念して、この5月、日本・東京のプレスセンターで、中国国務院新聞弁公室と日本新聞協会が共同主催した「中日メディア・シンポジウム」が開催された。中日双方の各メディアの責任者や報道関係の専門家、学者、記者ら150人がこのシンポジウムに出席した。
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中国側の基調報告をする趙啓正主任 |
「新世紀の中日関係におけるメディアの地位と役割」をテーマとしたこのシンポジウムでは、中国の趙啓正・国務院新聞弁公室主任が「インターネット――中日交流の新しい道」と題して、また高井潔司・北海道大学教授が「日中関係におけるメディアの役割――活字メディアを中心に」と題してそれぞれ基調報告した。その後、参加者は「インターネットによるニュースの伝播と中日関係」「伝統的なメディアの役割――中日交流の障害を乗り越える」の二つの分科会に分かれてそれぞれのテーマに関して討論を行った。
中国のニュース・メディアは1995年から、外国のメディアとほとんど同時にインターネットで結ばれ始めた。そしてニュース・メディアのインターネット化のブームは日増しに高まっている。現在までに、全国の2000余の新聞と八千余の雑誌、290余のラジオ局と420余のテレビ局のうち、3000以上のサイトやホームページがすでに開設されている。インターネットが伝えるニュースの役割や影響は日増しに大きくなっていて、伝統的なメディアとの間に相互補完と相互促進の関係を形成している。
趙主任は報告の中で次のように述べた。
「インターネットの分野で、中日の協力は非常に重要であり、しかも非常に良好な前提を共有している。それは、中日両国の人民と報道界がすでに、それが中日交流と協力の中で果たす重要な役割を認識していることだ。とくに経済界と報道界は、互いに相手の国情と発展に非常に大きな関心を寄せていて、インターネットで中日関係の動きを注目している。これまでは、今日のようにインターネットを使って両国の人々が積極的に交流するチャンスはなかった」
中国の報道界は、インターネットを使っての日本の人たちに対する情報提供サービスを重視している。すでに「新華網」(www.xinhuanet.com)、「人民網」(www.people.com.cn)、「中国網」(www.china.org.cn)、「国際在線」(www.cri.com.cn)の四つの全国的なニュース・メディアが日本語版を開設している。また、「四川新聞網」(www.newssc.net)など地方のニュース・メディアも日本語版を開設している。その内容は、中国の国情、中日関係の報道、経済協力の情報、観光、留学、株式市況などにわたっている。
中日両国の国交が正常化されてからの30年の歩みをふり返ると、メディアの重要な役割がよくわかる。「水はよく船を浮かべることができるが、船を覆すこともできる」という。メディアは、国と国の関係に同様の作用を果たすことができる。
趙主任は「メディアは、社会の中で『安定器』の役割を果たさなければならない。それによって社会の安定を維持し、国と国との関係を安定させ、平和と発展を促進しなければならない」と強調した。
同時に趙主任は、両国のインターネットのサイトが、互いに人を派遣しあい、相手のサイトで仕事や訓練を行い、ともに関心のある議題について常に検討を行えるようにすることを提案した。
両国のジャーナリストや学者は、両国関係の中でのメディアの地位と役割や、インターネットによってもたらされる新たな問題などについて、率直に意見を交換し、メディアが中日友好協力関係を絶えず発展させるために努力するという問題で、共通認識に達した。
両国の参加者はみな、このようなシンポジウムが非常に有意義な試みであり、こうした交流の形が一つの制度として固定され、新世紀におけるメディアが、中日関係の発展に積極的な役割を果たすよう希望していた。
(張哲・本誌東京支局長)(2002年9月号より)
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