祝 中日国交正常化30周年

広告分野でも交流盛んに

                                          王 浩


 中日両国の企業広告を検討する「ブランドと国際メディア」フォーラムが今年5月16日、北京の亜運村(アジア競技大会選手村)の国際会議センターで開かれた。

 日本の(株)電通と中国国際広告公司、北京国際広告公司の共催で、会場には関係者や取材陣、大学教師や学生など、400人以上が集まった。

談笑する中国広告協会会長の楊培青さん(左端)と電通の松本宏・常務取締役(右端)(写真提供電通)

 まず、中国広告協会会長の楊培青さんがあいさつ。「両国の広告業界はすでに20年来の交流を深めています。電通は日本最大手の広告代理店として、中国市場に最も早く参入しました。多年来、わが協会と友好的な関係にあり、中国の広告業界のために、多くの人材を育成しました。電通とわが協会は今年も、両国の広告交流のための三カ年計画に調印し、毎年こうしたシンポジウムを行うことで一致しました」とフォーラムの足跡と今後について語った。

 次に日本の(株)NTTドコモの大星公二・代表取締役会長と、アメリカ・カリフォルニア大学のデビッド・アーカー名誉教授が、それぞれ基調講演を行った。大星会長は、中国のハルビン工業大学の顧問教授と長春市の経済顧問を兼任し、中国に知己も多い。また、企業ブランド研究の権威であるアーカー氏は、企業の発展におけるブランドの重要性を、ブランドの機能から分析。二人の講演には、会場から盛んな拍手が送られた。

 電通の鏡明さんの講演にも注目が集まった。彼は、マクドナルドやトヨタ、ネスレのいくつかのコマーシャルを例にして、クリエーティブなコマーシャルについて解説した。楽しく、愉快な作品を目にした会場からは、時おりドッと歓声が上がった。鏡さんの講演は、独創性に富んだ電通の企業イメージを、人々に強く印象づけたようだ。

 夜の宴席では、電通の松本宏・常務取締役が今回のフォーラムの背景について紹介した。電通は1996年から5年間にわたり、中国教育部(日本の文部科学省に当たる)や北京大学、中国人民大学、清華大学、北京広播(放送)学院、復旦大学、上海大学など六大学の協力で、広告にかかわる豊富な知識と経験を生かした中日広告交流プロジェクト「広告実践講座」を開いた。これまでに中国の学生約2500人が参加、大学教師56人が東京の電通本社などで研修を受けた。講座を開くために中国を訪れた電通の社員は、280人に達している。

 プロジェクト最後の2001年、電通は中国広告協会と協議した結果、「5年来の中国市場の変化に応じ、学生だけに限らない幅広い参加を求めた広告交流プロジェクトの開催」を決定した。それが今回のフォーラムであった。

 北京広播学院の黄昇民教授は、最後にこう述べた。「今回のフォーラムは、WTO(世界貿易機関)に加盟したばかりの中国の企業にとって、時宜にかなったものでした。両国の経済界と学術界の重要な集いであり、中日国交正常化30周年の節目の年に花を添えたことでしょう」(2002年9月号より)