変貌する大連

侯若虹

 中日国交正常化30周年を記念するため、この7月、有名な海浜都市である大連で、遼寧省主催の「中国遼寧日本ウィーク」が開かれた。

 山と海に囲まれた大連は、緑に覆われた山の斜面と赤、白、青、黄に塗られた建物からなる美しい都市である。街の中心にある中山広場は、帝政ロシア時代の公園を「音楽公園」に改造した有名な広場だ。広場をとりまく古い建物群のほとんどには、銅製のプレートが打ち付けられていて、その建築がいつ建てられたか、どういう建築様式か、以前は何に使われていたか、が明記されている。

 大連は中国で広場が最も多い都市の一つで、さまざまな様式の百以上の広場があり、大連市民にとって健康維持や娯楽の場所となっている。

大連市の中山広場(写真・隋峰茂)

 大連市南山区は、屋根が尖り、壁を黄色や白色に塗った多くの二階建ての日本式家屋があり、同じ形の住宅も新しく建てられていて、独特な住宅区を形づくっている。

 大連にやって来る多くの日本人は、みな、大連が大なり小なり非常に日本に近いと感じる、という言い方をする。その理由は、例えば快適な海洋性気候、彩り豊かな、清潔な街、あっさり味の魚介類を主とする食文化などにある。

 日本の企業は1989年から大連に投資をし始め、これまでに投資した企業数は2067社になった。そのうち、1586社は製造業で、多くは日本の有名な大企業である。大連に投資した外資系企業の中で、経営状態がもっとも良いのは日系企業だという。

 2001年に大連に投資した日系企業の総生産額は286億7000万元に達し、外資系企業の総生産額の50%を占めている。このため、789社が投資額を増やし、投資総額は21億1千万ドルに達している。例えばキャノンの現地法人は、前後8回も追加投資して、投資額を38億円から399億5000万円にまで増やした。

 日本興業銀行大連支店の渡辺泰三支店長は、日本企業が大連のソフト産業の発展に注目していると言い、「日本の企業にとって大連は、なじみやすく、投資しやすい所だ」と述べた。その理由として、大連と日本は時間的にも距離的にも非常に近く、日本語のできる人も多く、文化や食べ物などが融合していることなどを挙げ、「大連は日本企業の重要な投資先の候補地になっている」と語った。

 遼寧省に投資している日本企業の中で第4位を占める東芝(中国)有限公司の元副社長で、常任顧問をしている山本哲也さんは、どうして大連に投資したかについて、次の点を強調した。それは、大連市政府が積極的に外資の投資環境をつくったこと、大連には日本語の出来る人が他の都市より多いこと、日本語が通じる街の雰囲気が日本人にとってなじみやすいこと、企業の持続的発展に必要な、大連理工大学などの大学・高等専門学校の優秀な人材がいること、などである。

 「日本ウィーク」の期間中、遼寧省にある14の市の市長が、日本からの客にそれぞれ自分の都市の特徴と現状を紹介した。また、二百社余りの企業が日本側と経済・貿易について商談を行い、電子情報、人材養成、機械製造、観光開発などの分野で、協力しようという初歩的な合意に達した。

 元大連市長で、現在、遼寧省の省長である薄煕来さんは「日本ウィーク」の開幕式での挨拶でこう述べた。

 「ご存じのように中国には『来日方長』(前途洋々)という諺があります。日本企業は遼寧省においても大連市においても、十数年にわたって協力してきましたが、21世紀においても、中日両国の経済界が引き続き手を携え、ともに未来を切り開くことができると確信します」 (2002年12月号より)