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復興と再建に動き出した被災地

 

世界を震撼させた四川汶川大地震から2カ月以上が経ち、人々が心配していた人命救助と救援の作業は一段落した。そしていま、大地震の被災地では、被災した人々の生活と生産の回復が主要な作業となっている。

震災後、テントで暮らしていた被災者たちは続々、条件のもっと良い仮設住宅に移り、学校が壊れて勉強できなかった児童・生徒は他の土地へ移って勉強を始めた。政府は的確な施策を施し、社会は援助の手を差し伸べたことで、被災地の人々は次第に、悲しみと苦しみを乗り越えて、新生活の再建へ向け動き始めた。

瓦礫の上に家を建てる

被災地では仮設住宅の建設に全力を尽くしている。7月3日までに、四川省全体で164万戸の仮設住宅が建設され、被災者の居住環境は目に見えてよくなった
「新しい家に引っ越したぞ! また臘肉(中国風のベーコン)がつくれるよ」。7月1日午前、被災地の陳家壩郷双堰村に家があった村民の何京新さんは、興奮気味にこう言った。この日、何さんは千人を超す陳家壩郷の被災民とともに、テントから新たにつくられた仮設住宅に引っ越したのである。彼らは新しい家に「愛心小区」という名をつけた。多くの被災民は美味しい食事をとくに用意して、山東省青島市から救援に来てくれた建設隊員たちとともに、引越しのお祝いをした。

仮設住宅が一棟一棟、整然と並んだ「愛心小区」は、山の中の新しい村となった。仮設住宅は1棟ごとに1つのトイレと2つのシャワールームがある。夜になると、シャワーにはお湯が出る。

青島の救援建設指揮部によると、彼らは現在、陳家壩と任家坪ですでに3000戸以上の仮設住宅を建てたといい、その半数にはもう被災民が入居している。

四川汶川大地震は、被災地に住む数百万の人々の家をことごとく倒壊させた。政府の住宅・都市農村建設部は地震の1週間後、北京、上海、天津、江蘇、浙江、河北、山東など20の省・直轄市が四川省に、広さ20平米前後の仮設住宅100万戸を提供し、それを3カ月半以内に完成させることを決定した。その2日後、温家宝総理は、7月10日以前に25万戸の仮設住宅を建設するという先の決定を、さらに10日間、前倒しした。

こうして「100日で仮設住宅を建設する」戦いの幕が切って落とされた。全国23の省や市、区からやってきた数万人の建築作業員が、人命救助に従事してきた軍人に代わって、いまや被災地でもっとも活躍している。

6月10日、山西省の建設援助隊は1日で548室の仮設住宅を建設し、これまでの最高430室の記録を更新した。太原の建設援助の労働者たちは、15日前倒しで1600室の仮設住宅を完成させた。

工期は短縮されたが、工事の質は少しも手抜きされなかった。安徽省から来た20数人の建設専門家たちは、都江堰市の仮設住宅の設計案を何度も検討し、4、5回書き直した。工事の責任者は、建築材料はすべて、国の定めた最高の基準に達しており、地震や雨、風、寒さばかりでなく、火にも耐えられると言っている。

厦門市の建設援助隊は、部屋をうまくつくるばかりでなく、室内も「家」の感じをつくり出そうとした。通済鎮の被災民が300の仮設住宅に入居したとき、室内にテーブルや椅子が並べられ、ベッドの上には布団や枕が置かれ、さらにカーテンまで掛けられているのを見て驚き、喜んだ。

国の規定に基づいて、仮設住宅は50室ごとに給水所、トイレ、ゴミ収集所が設置され、1000室ごとに小学校、診療所、食糧小売店がある。また2000室ごとに中学校が設置されている。

都江堰市の被災民は現在、こうした仮設住宅に無料で入居している。彼らは平均、毎月300元の生活補助を受け取り、毎日、共同食堂で食事をすることができる。その中の1人のお年寄り、王賢貴さんは「逃げてきたときは、着のみ着のままでしたが、いまは布団から洗面器、魔法瓶、歯ブラシ、歯磨き粉など、みんな政府が無料でくれました」と言っている。

大地震から1カ月で、被災地には仮設住宅が67万余り建てられた。テントに避難している人も加えれば、すでに820万人以上の被災民が臨時に収容された。ますます多くの被災民が、粗末な臨時のテントから生活の設備が整った仮設住宅に引っ越しているが、同時に、本格的な住宅も着工されている。四川省の李成雲副省長は「四川省はできるだけ3年間で、廃墟の上に新しい鎮、新しい村、新しい町を建設する」と言っている。

安心できる学習環境を用意

山東省済南市の小学生たちは、被災地の北川県からやってきた友人たちを暖かく迎えた。このような光景は、被災児を受け入れた全国各地の学校で見られた
6月28日早朝、被災地からやって来た16、17歳の生徒26人が、山東省泰安市の高等技術工業学校に到着した。ここで3年間学ぶことになったのだ。

故郷を離れて学校に通うことになった彼らを迎えたのは、テーブルいっぱいに用意された朝食と親切な校長先生だった。「みなさん、ここはあなたたちの家です。ここで安心して生活し、しっかり勉強し、将来、故郷の建設に力を尽くしてください」。校長先生は朝食を食べている生徒たちにそう話しかけた。それまでふさぎ込んでいた生徒たちはようやく笑顔を見せた。地震発生後に食べた一番おいしい食事だったという。

被災地の生徒を迎えるにあたって、学校側は1週間前に準備を整えていた。彼らを校内でもっとも条件のよい宿舎に住まわせ、1人ひとりに学習用品1組と衣類3組を提供し、各部屋に卓球とバドミントンのラケットやバスケットのボールを用意した。

綿竹市からやって来た劉鋭くんは、地震で家が倒壊し、家族はテント生活を余儀なくされていた。そのため、自分のために用意された宿舎が新しく、何でもそろっているのを見て、「ここはなんてすばらしいんだ!」と言った。

学校側は、生徒の交通費や学費も負担するという。さらに、彼らのために健康診断や事故傷害保険の手続きをしたり、テレホンカードも用意した。「よその土地での生活に慣れるには時間がかかるでしょうが、彼らが今日から安心して眠れるよう力を尽くしました」と校長先生は語る。一人につき毎月100元の生活手当ても支給する。

被災地では一部の学校が倒壊し、千人にのぼる子どもが学ぶ場所を失った。彼らの学業を滞らせないようにと、政府の呼びかけに応え、全国各地の小中学校、高校は、被災地の子どもたちの受け入れを相次いで表明した。そして、山東省をはじめ、北京市や重慶市、武漢市、河南省、内蒙古自治区、寧夏回族自治区などが被災地の子どもたちを受け入れた。

これらの地域の学校は、被災地の子どもの転校手続きを簡略化し、彼らにもっともよい学習・生活環境を用意した。心理ケアを行ったり、四川出身の料理人を招いて故郷の料理を作らせたりした学校もある。これらはすべて、大地震によって大きな傷を受けた子どもたちに、わが家のような温かさを提供し、一日も早く学業を再開させるためだった。

公民意識が目覚める

 

武漢市の技術学校は被災地からやって来た生徒に対して、整った居住環境と生活用品を提供したばかりか、彼らの学費を免除した 地震発生後、全国各地では大勢の人が自発的に被災地のために寄付をした。中国人は、被災者に愛の心を捧げ、被災者を援助することを自分の責任及び義務と見なした

大地震の発生後、ある上海のネットユーザーはブログに次のように書いた。「すべての人の心が揺れ動いた。誰もが震え、誰もが泣いた。震源地はいったいどこなのだろう?」

「四川汶川大地震の震源地は中国人一人一人の心の中にある」――多くのメディアがこのような答えを出した。中国の人は誰もが「私たちみんなが汶川人だ」と反応している。

地震が発生したその夜、成都市のタクシー数百台は自発的に緊急灯を車の上に設置し、余震の危険を冒して被災した都江堰市へ救援に向かった。「これは公民としての責任です」。成都市のタクシードライバーは誰もがそう言った。

被災地では、食べ物を配ったり、避難所の設置を手伝ったり、被災した人々を助けたりするボランティアたちがいたるところで見られた。

四川汶川大地震は中国人に巨大な損失をもたらしたが、それと同時に中国人の価値観も変えた。

四川省作家協会の王敦賢・副主席は地震前に出版した新著『国の痛み』の中で「地球はますます暖かくなっているというのに、どうして私たちの心はますます冷めているのか?」と問いかけた。

しかし地震発生後、中国各地の人々が自分の財産やエネルギー、力を捧げて被災者とともに困難を乗り越え、被災地の再建に力を尽くしているのを見て、感動して言った。「公民道徳や民族精神が久しぶりに戻ってきた。私たち民族の精神のなかにある美しいものは失われていない。ただ、現実の利益に覆い隠されていただけだ。大地震によって、それが掘り起こされ、大いに発揚されている」

国を愛する心、他人を思いやる心、命を大切にする心。それは、救援活動のなかで示された中国人の共通の価値観である。

中国の大手ポータルサイト「新浪ネット」には、次のような文章が掲載された。「災難は公民精神の試金石でもある。今回の大地震では、中国の公民社会としての成長を強く感じることができた」

実際のところ、中国政府はこれまで一貫して公民意識の樹立に努めてきた。胡錦濤主席は「理想、道徳、文化、規律のある社会主義の公民」を育成しなければならない、と指摘した。

四川省社会科学院社会学所の胡光偉・副所長は次のように語る。「災害のなかで現れた人々の血や命の結晶である美しいものが消えてしまわぬよう、重視すべきは『公民社会』の建設です。経済を再建すると同時に、社会も再建しなければなりません」(中国外文局地震特別報道チーム=文 新華社=写真)

 

人民中国インターネット版 2008年8月30日

 

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