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天下の黄河が寧夏を富ます

 

寧東エネルギー化学工業基地内のメチルアルコール工場

 豊かな資源を生かして

07年、寧夏の域内総生産(GDP)は834億元に達した。経済成長率は12.4%で、全国の成長率を1ポイント上回った。沿海部に比べると、まだ経済的には立ち遅れているが、近年は西部大開発の機に乗じて、工業化、都市化、農業の産業化を加速させている。

「天下黄河富寧夏」の通り、寧夏は古来より黄河によって潤ってきた。黄河の水資源を抜きにして寧夏の発展は語れない。

寧夏の強みは、石炭などの地下資源が豊富であり、黄河の水利と組み合わせて有効利用できることだ。石炭の確認埋蔵量は310億トンで国内6位、推定埋蔵量は2020億トンで国内5位。なかでも、寧東炭田には全区総量の88%が眠っているといわれている。

この豊かな石炭資源を利用しようと、自治区政府は03年、「寧東エネルギー化学工業基地」の建設を決めた。石炭、電力、石炭化学工業、新材料の4つを主要産業とし、エネルギー新材料基地の設立を目指すという。

風力発電所
 寧東地区は黄河の豊富な水を有効利用できる地理的条件にも恵まれている。中国では水の所有権は国家にあり、黄河の水資源も国家が分配している。寧東地区は、地下水をくみ上げる必要もなく、国家が寧夏に分配する取水量を増加する必要もなく、工業が農業の節水灌漑に投資し、節約された灌漑用水を工業へ転用するという水利権取引を通して、工業用水の問題を解決している。

「寧東エネルギー化学工業基地」を迅速かつ着実に建設することで、資源の優位性を経済の優位性へと転化させる構えだ。同基地が全面的に稼動を始めれば、工業増加値(日本の売上高総利益に近い)は750億元におよぶと予測。寧夏の財政収入は180億元増加し、80万人の就業を創出できる。これにより、寧夏全体の経済発展を牽引していきたいとしている。

寧夏はまた、太陽エネルギー、風力エネルギー、地熱エネルギーの開発にも大きな発展の余地がある。これらはまだ開発の最中であるが、持続可能なエネルギーとして注目されている。

農業面については、日照時間が長く、昼夜の温度差が大きいことから、クコやブドウ、甘草、瓜類、ジャガイモなどの栽培に適している。とくにクコは、寧夏の特産品であり、栽培面積は3300ヘクタールと国内一。産業化も進んでおり、クコを使った飲料や健康食品の開発も目覚しく、寧夏の特色ある産業のひとつになっている。(原 絢子=文・写真)0811

 

 少人数で大きな生産力 小巨人機床有限公司

銀川市のハイテク開発区にある工作機械メーカー、小巨人機床有限公司を訪ねた。同社は日本のヤマザキマザック株式会社の独資企業。2000年に中国との合弁企業として設立されたが、05年に独資に移行した。

「小巨人」という名の由来は、少人数で大きな生産力を発揮できる会社を目指したことにある。従業員は500人、そのうち日本人は6人。企業経営の要は人材にあると考え、従業員の採用と育成には力を注いでいる。

従業員に対して、まずは自分の品質を守るよう教えているという。遅刻、品質、クレームについてはポイント制を導入し、自己認識をうながしている。同社は、「給料はいいが、その分厳しい」というのが定評だ。

工場内は、同社が目指す「工場はショールーム」の言葉どおり、整然としていて気持ちがよい。働いている人たちも、前から人が歩いてくると道を譲ったり、近くに寄ると手を止めて立ち上がったりと、とても礼儀正しい。一人ひとりが、「工場はショールーム」という言葉を自覚したうえで仕事をしているようだ。

徹底した人材育成のほか、「小巨人」の名を後押ししているのは、ヤマザキマザックが推進する「サイバーファクトリー」だろう。同工場にもサイバーシステムが導入され、生産はほとんど自動化されている。人間はそれを管理するのみ。これにより、少数精鋭で工場を運営していくことができる。

「銀川の人は人柄がよく、親しみやすい。真心をもって付き合えば、それに応えてくれます」と話す日本人駐在員。北京や上海などの大都市に比べ、外国人が暮らすには不便なことも多い銀川だが、地元の人とのコミュニケーションを大切にしながら、充実した駐在生活を送っている。

 



 

見どころ満載 寧夏観光

 「東洋のピラミッド」西夏王陵

西夏王朝の歴代皇帝の陵墓。銀川市の北郊外、賀蘭山の東麓に位置する。  

50平方キロにおよぶ王陵区内には、9つの陵墓と大きさや形状がさまざまな陪葬墓が250あまりある。王陵区の中央に位置する最大規模の陵墓は「3号陵」または「泰陵」と呼ばれ、初代皇帝の李元昊の陵墓ではないかと推定されている。  

3号陵の近くには、3号陵の復元模型や西夏の歴史・文化を展示した西夏博物館がある。漢字に似た独特・複雑な文字で、見る者のロマンを掻き立てる西夏文字も展示されている。

賀蘭山岩画  

人や動物、狩猟や祭祀の様子などを描いた絵が残っている。いずれも素朴な絵だが、古代の人々の生活様式や宗教観が伺える。

須弥山石窟  北魏時代に造られ始め、西魏、北周、隋、唐と造営が続けられた。現在は150あまりの石窟が残り、2キロにわたって分布している。

 沙湖  湖と砂丘の対比が美しい観光地。湖にはアシが茂り、鳥や魚が戯れる。砂丘ではラクダ乗りやサンドドライブなどが楽しめる。

中国映画ファンはぜひ 鎮北堡西部影視城  

銀川市郊外にある映画・ドラマの撮影所。張芸謀の代表作である『紅いコーリャン』をはじめ、何平監督の『双旗鎮刀客』や謝晋監督の『牧馬人』など、ここから世界へ飛び立っていった作品は多い。  

 もともとは明清時代の要塞の跡であった。1980年代から多くの映画監督がここで撮影するようになり、その名が知られるようになった。現在は観光地として整備され、映画のセットが撮影当時のまま保存されている。また、切り紙細工や刺繍、フェルト作りの実演などもあり、中国の民間文化を体験できる。

 回族の歴史文化を知る 中華回郷文化園  

銀川市市内から車で30分の距離にある中華回郷文化園は、白を基調としたイスラム建築群で構成されている。メインゲートはインドのタージ・マハルを模している。そのゲートをくぐって中に進むと、正面には中国回族博物館がある。豊富な資料と貴重な実物、模型などで回族の歴史や文化を詳しく紹介しており、興味深い展示も多い。  

62ヘクタールの計画用地のうち、まだ20ヘクタールしか完成しておらず、これから徐々に施設を拡張していく予定。黄河と砂漠の景観 沙坡頭  

寧夏西部の中衛市に位置し、「砂漠、黄河、高山、オアシスのシンフォニー」と称えられる魅力的な自然景観が広がる観光区。ラクダに乗ってどこまでも続くトングリ砂漠を体感したり、羊の皮を浮き袋にして作られた筏に乗ってゆったりと流れる黄河を漂流したりと、さまざまなアトラクションも楽しめる。  

沙坡頭はまた、砂漠緑化のモデル地としても有名。同地の治砂プロジェクトは国内外で広く注目され、1994年には国連環境計画の「グローバル500賞」を獲得している。

 

人民中国インターネット版 2008年11月12日

 

 

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