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喜怒哀楽の2008年(8) 農民工の子どもも対象に 義務教育無料化の全面実施

河南省社旗県の小学校で実施された「教科書の循環利用制度」。教科書の90%以上が新品とほぼ同じ

2008年秋季の新学期から、中国は農村部につぎ都市部の義務教育の学費と雑費を、全面的に免除した。全国2万5900の都市の小中学校の児童・生徒2821万人が、この恩恵にあずかる。義務教育段階の学校の7%、児童・生徒総数の17%にあたる。子ども一人が年間190元から350元ぐらいの費用を免除される。これは、中国が義務教育制度の無料化を全面的に実施し始めたことを意味し、中国教育史上にとっても画期的なことである。

まず農村部が学費免除

寧夏回族自治区の回族人学校のひとつ、海原県第3小学校音楽クラスで電子オルガンを演奏する児童たち

中国の義務教育は1986年に始まる。その年に公表した『義務教育法』の規定では、国家は小中学生に「学費免除」で9年間義務教育をすることになっている。しかし、財政的な裏打ちがなかったため、この政策は実施されなかった。多くの学校は子どもから学費をはるかに超えた種々の「雑費」を徴収せざるを得なかった。農村家庭にとって教育が重い負担となり、そのため多くの子どもが中途退学していた。

経済が発展するにともない、次第に義務教育の問題も広く社会の関心を集め、政府も各種の解決策をとりつつある。2005年から、中国は592の貧困補助開発重点県の教科書代と雑費、寮生の生活費を免除した。2006年、中国はまず西部の農村地域で農村義務教育の経費保障機構の改革を実施した。中央政府と地方は項目別に、農村義務教育の保障経費を比率に従って分担する。改革を実施した地域では、義務教育の学費と雑費が免除されるだけではなく、学校の公用経費と校舎の修繕改造費用を補助し、無料で教科書を提供し、寮生の生活費などを補助する。

5000万人以上の西部農村の小中学校の子どもが恩恵を受け、平均すれば一人の小学生が年間140元、中学生が180元、貧困寮生は500元も負担減になる。その年、20万人近くの貧困中退者が学校に戻った。

2007年、「二免一補(雑費や教科書代の免除、寮生の生活費補助)」という優遇政策が中東部地区まで及び、全国40万カ所の農村の小中学校の子ども1億5000万人近くが恩恵を受けた。2008年の春、北京、天津、上海、大連など21の市が、都市部義務教育の学費と雑費免除テスト市となった。その後、都市部の義務教育を次第に全国へ広げる。

都市部と農民工の子弟も

重慶市雲陽県の小学校の始業1日目、新しい教科書を手にして喜ぶ子どもたち

これまで、中国では2000万人の出稼ぎ労働者の子どもが親にともなわれて都市で生活しているが、無料の義務教育を受けられないどころか、かなりの費用を出さないと現地の小中学校に入れなかった。今回の改革後、彼らは現地の公立学校に入って学べる上に、学費も雑費も免除され、定額以外の費用を出す必要がない。そのほか、政府は出稼ぎ労働者の子どもを受け入れる公立学校には十分な公用経費を支給する。と同時に、専用資金を用意し、出稼ぎ労働者の子どもの義務教育問題をうまく解決した省に適当な褒賞をする。(0812)

 

人民中国インターネット版 2009年1月8日

 

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