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喜怒哀楽の2008年(9) 社会を震撼させたメラミン入り粉ミルク事件

北京のスーパーで販売される乳製品は、すべて生産合格証明印を貼り付けなければならない

9月、メラミン入り粉ミルク事件は全国を震撼させた。全国の乳幼児向け粉ミルクメーカー109社に対して全面的な検査を行った結果、「伊利」「蒙牛」「光明」などの有名メーカーを含め、22社の69製品からメラミンが検出された。中には国から 「検査免除」をもらっている有名ブランドも少なからずある。

メラミン入りの粉ミルクによって、全国で5万人近くの乳幼児が泌尿系統の結石を患い、3人が死亡した。メラミンを粉ミルクにいれた容疑者18人が逮捕され、国家質量監督検査検疫総局の局長が引責辞任した。中国がこの八年間実施していた食品企業検査免除制度は廃止された。

不信感は食品業界にまで

一時期、全国各地で「乳」の話をするだけで怖がるようになり、乳製品業界はこれまでにない信用危機に瀕している。「伊利」「蒙牛」「光明」など問題のあるメーカーの売り上げ、信用、株価が急落したのに反し、有害物が発見されていない「三元」などのメーカーの牛乳販売量が普段の3倍以上に上った。業界関係者によると、メラミン事件は中国の乳製品業界の構造を完全に変えることになるという。「伊利」「蒙牛」などの企業は原料乳の管理について、各牧場に原料乳の質を保証させることが難しいため、この方式をとりやめ、「三元」のような、自ら牧場を建設する方式に変わっていくと思われる。

海口市のあるスーパーで、キャンペーン中の「蒙牛」の乳製品

ビスケットやチョコレート、卵などの食品からも相次いでメラミンが検出されたため、乳製品への不信感がだんだん食品業界全体に及んでいる。食品業界の特殊性は、一度質の問題が起きると、製品の消費が相当長く低迷状態に落ち込む。このような事件の再発防止のため、社会はより厳格で、より信用できる品質検査制度を求めている。

専門家によると、外国の商品添加物基準はほとんど「包含法」を採用し、添加物の種類と量を明確に規定している。しかし、中国の基準は「排除法」で、含有してはいけない添加物だけを規定している。新しい化学添加物が大量に現れるにつれ、メラミンを禁止したとしても、ほかの有害物が出てくるかもしれない。このように、ただ抜け穴をふさぐだけではかえって漏れが多くなる。したがってどのような基準を作るのかが、食品安全にとってもっとも重要である。

政府は国民の食の安全に全力

10月6日、温家宝総理が召集した国務院常務会議で、『乳製品品質安全監督管理条例(草案)』が審議され、原則採決された。同条例は乳製品の生産、購入、販売、輸出入など全過程でより厳しく、細分化した品質安全管理制度となっており、乳製品への人体の健康に危害を及ぼす物質を添加する行為、監督管理者の監督不行き届きなどの行為について、法に基づいての責任を規定し、処罰を強化した。(0812)

 

人民中国インターネット版 2009年1月8日

 

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