もっと庶民向けの住宅を
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高級なマンション群も大量に現れてきた | 住宅改革は、政府だけが住宅建設に投資するという束縛を打ち破り、不動産業を急速に発展させた。また鉄鋼、建築資材などから家電、家庭用品などまで、関連産業を大いに発展させた。不動産業はすでに国民経済を支える重要な基幹産業となった。
1998年から、北京のある不動産開発業者は、空き地を買い取ったり、工場の敷地を買収したりして「商品住宅」を建設した。もっと遠大な計画を持つ不動産業者は、大胆にも昌平区、懐柔区などの郊外にまで「商品住宅」を建てた。
「改革・開放」政策によって「先に豊かになった」中産階層のニーズに応えて、最近新たに建てられた「商品住宅」は、環境がよく、面積も広く、設備が整っていて、そのうえ内装にも工夫を凝らしているので価格は非常に高い。
企業家など一部の富裕層は、各地の風光明媚な場所に開発された別荘地で休暇を過ごし、自然に親しみ、生活をエンジョイしている。現在、住宅を2つ持っている人も少なくないし、物件を3つも4つも持っている人までいる。
しかし、多くの普通の市民やサラリーマンたち、とくに結婚しようとしている若い人たちは、収入が多くないし、貯金もあまりない。「お金持ちの親」でもいない限り、1平米当たり1万元から2万元もするような住宅や100平米、200平米もある広い住宅は買えるわけもなく、ただため息をつくばかりだ。そこで人々は政府や社会に対し、住宅価格を引き下げ、庶民が買えるような小型の住宅をもっと建ててほしいと訴えている。
この数年、住宅・都市農村建設部(省)などの主管官庁は民意に応えて、関連部門や不動産企業と歩調を合わせ、住宅価格の速すぎる値上がりを抑制し、小型の住宅の開発や不動産業の健全で安定的な発展を促す施策を相次いで打ち出し、中・低所得家庭向けの「エコノミー住宅」や中・低価格、中・小型の「価格制限住宅」を開発するとともに、都市の最低生活保障の住民向けの「格安賃貸住宅」の建設に力を注いでいる。
最近、米国のサブプライム・ローンに端を発した世界的金融危機に対応するために、中国政府は内需を拡大し、安定的で比較的速い経済発展を促進するさまざまな措置を取った。総額4兆元の投資のうち、「低所得層向け住宅プロジェクト、『安居プロジェクト』建設への支援拡大」は、国務院(政府)が発表した内需拡大10項目の措置の第1条である。
住宅・都市農村建設部によると、国が2008年の第4四半期に追加した1000億元の投資の中で、低所得層向けの住宅プロジェクトへの投資は100億元を占めるという。これから3年間に、全国で「格安賃貸住宅」200万戸と「エコノミー住宅」400万戸、林業地区、農業開墾地区、炭鉱地区のバラック住宅区の改造住宅200万戸を新たに建て、その投資総額は9000億元以上、年平均3000億元以上となる。中央政府の決定に応じて、北京市は2008年末までに8万5000戸の「価格制限住宅」や「エコノミー住宅」「格安賃貸住宅」を中・低所得の市民に提供した。さらに今年は「低所得層向けの住宅」7万戸が売り出される。
つい先日、筆者の甥が「価格制限住宅」を購入した。彼は大学卒業後、北京のある会社に勤めているが、大学の同窓生の女性と結婚して、一女をもうけ、幸せな暮らしをしている。だが、毎月1800元の家賃はやはり惜しいと思い、政府が立て続けに預金・貸し出し金利を引き下げ、住宅購入にかかる契約税を減税するなど不動産市場の新たな政策を打ち出したのを機に、申告や審査の手続きを経て、住宅ローンで、北京北郊の会社の近くに2LDKの「価格制限住宅」を買い入れた。1平米当たりの価格は6300元、88平米の住宅は手続きの費用などを加えて、約50万元だった。ローン返済の道は長いといっても、やっと自分の家を持ったのである。
ところが、13億の人口を持つ中国では、人々がみな住む家を持つには、さまざまな問題や困難がある。例えば、住宅価額が高すぎて、庶民が買えないとか、都市の改造でも立ち退き世帯への住宅補償で不満が多いとか……。さらに、農村の老朽住宅や林業地区、農業開墾地区、炭鉱地区のバラック住宅区の建て替え工事も必要である。住宅問題の解決は、やはり任重くして、道遠しといえるだろう。
人民中国インターネット版 2009年3月12日
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