『人民日報』海外版記者 陳暁星=文・写真
中国の大陸と台湾を直接結ぶ「三通」が、2008年12月15日、ついにスタートした。30年の歳月を経て実現した「三通」は、より速く、より快適に台湾海峡両岸を結び、人々の時間の概念を変えた。
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今年の旧暦の正月15日(2月9日)、アモイでは恒例の「元宵灯会」が催され、両岸の情緒を感じさせる各種の飾り提灯が飾られ、多くの観光客をひきつけた(写真・馮進) |
「両岸日帰り生活圏」の実現
2008年12月27日、私は取材のため台湾へ旅立った。昼食を北京の自宅で済ませたあと、台北行きの長栄航空(エバー航空)BR1715便に乗り、夕方五時、桃園国際空港に到着した。その二時間後には、同僚とともにテーブルについて食事をしていた。
「これまで長い間、北京から台北に来るときはいつも、昼夜問わず旅路を急ぎ、朝から晩までろくに落ち着いて食事もできなかったもんだ。それに比べ、直行便はなんてすばらしいんだ。昼過ぎに北京を出ても、夜には台北でゆっくり夕食を楽しむことができる」と、私たちは「三通」実現の喜びを噛みしめていた。
「直行便に乗った?」
これは、春節(旧正月)前に台湾で流行した言葉である。大陸——台湾間の直行便に搭乗経験のある人は決まって、満面の笑みを浮かべながら「とても速くて便利」と答える。
台湾に住む邱さんは「北京まで3時間の旅路と聞いたわ。以前と比べものにならないくらい便利になったわね。昔は、私たちが大陸へ行くことは、米国に行くよりも大変なことだったのよ。一度、香港経由で北京に行ったとき、香港で北京行きの便に乗り遅れたことがあったの。そのときは、仕方なく空港で一夜を明かしたわ。当時は若かったからできたけど、今はもう70を過ぎてしまった。だけど『北京まで3時間』を体験してみたいから、一度、直行便に乗らないとね」と、感慨深げに言う。
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紙製の天灯を夜空に放つので有名な台北県平渓の「天灯節」に、今年は「両岸を明るく照らす」と書かれた天灯が登場した |
「三通」が実現する前、台湾の商人たちは、「両岸日帰り生活圏」に憧れを抱いていた。その思いは、30年の歳月を経て、現在、ついに叶った。
上海ブロードウェイホテルの鄧文聡董事長は、早朝上海での会議を終え、正午に台北で我々の取材を受けた。
「上海から台北までわずか70分だなんて、便利な世の中になりました。この後、台湾で家族と食事をして、夜の便で上海へ戻る予定です。そして明朝、時間通りに出勤しますよ」
湖南から台北に嫁いだ若い蒋さんは、大陸の「旧暦の1月2日は嫁の里帰り」という習慣に従って、湖南の実家に里帰りするという。
大陸内ではごく当たり前なことだが、台湾から海峡を越えて里帰りするというのには、とても驚いた。本当に二日に里帰りするのですかと、念を押して尋ねてみると、蒋さんの仲の良い友人が代わって、こう答えた。
「今は直行便があるから何の心配もありませんよ。彼女が大陸に里帰りするのと、私が台北から台中の実家に戻るのにかかる時間はほとんど同じです。もし私が渋滞にはまってしまったら、彼女が先に大陸の実家に着いていますね」
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