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内蒙古自治区 しっかり根づく民族教育

王焱=文・写真

内蒙古自治区は中国で経済成長が最も速い地区の一つになった。自治区内の400万以上の蒙古族の人々は、日々の生活がますますよくなるにつれ、子どもたちに自分たちの民族文化を学ばせ伝えたいという願いを一層強めている。

西ウジムチン旗蒙古族第二小学校の授業風景。教室の後ろの壁にモンゴル語が書かれた黒板。蒙古族の特色ある飾りも見える。この学校の生徒はほとんどが寄宿生。教師たちは代わる代わる宿直し、子どもたちのために洗濯したり、低学年の子の夜の小便のお守りまでしたりする

民族教育事業に関して、内蒙古自治区政府は早くも1981年に「民族教育を優先し、重点的に支援する」という方針を出した。自治区教育庁のマンダ副庁長の説明によれば、大部分の蒙古族の生徒が放牧地域に分散しているため、自治区が成立した最初のころ、馬で巡回授業したり、すべての町と人口の比較的多い村などで、モンゴル語学校を開いたりしたことがある。このような学校の数はかなりあったが、住まいが分散し、規模が小さく、条件も劣るという問題があった。自治区全体の学齢人口が次第に減少するにしたがって、問題は一層深刻になった。実際の情況に即して、近年、全区で民族系小中学校の配置調整を徐々に進め、放牧地域の生徒を町で学ばせ、寮制の学校を作り、優れた教育資源を集めて整えた。

完全にモンゴル語で授業をする西ウジムチン(烏珠穆沁)旗蒙古族第二小学校の数学のスイラトゥ先生は、「2004年、私はここから30キロ以上離れたある放牧地域の学校で先生をしていました。数十人の生徒、いくつかの平屋で、教育環境は今とは比べようもありません。やはり国語や数学といった基礎的な教科を教えていました。保護者の中には環境劣悪を嫌って、子どもを学校に寄越したがらない者もいました」と感慨深げに言った。

蒙古族は歌や踊りを得意とし、スポーツを好む。各地の民族系小中学校、幼稚園は、各種の民族音楽や体育の課外活動を設けている。写真は、蒙古族の伝統的な楽器馬頭琴の演奏を練習しているフフホト市の蒙古族学校の生徒

広間で、蒙古族の各種の伝統的な遊戯を楽しんでいるフフホト市の蒙古族幼稚園の子どもたち

民族系の小中学校の配置調整が進むにしたがって、2006年、スイラトゥ先生は新しく建てられた寮制第二小学校の最初の先生に任じられた。彼は感慨深げに「私たちの学校には千名以上の在校生がいます。パソコン教室、ランゲージラボ、実験室など教学施設が完備し、カリキュラムも多くなりました。ここで教えることができ、とても幸せです。モンゴル語学校の学校運営のすばらしさを見て、申し込んでくる保護者がますます増えています」と言った。

統計によると、2005年から2009年まで、モンゴル語で授業する普通の小中学校は「まず建設、後に合併」を原則とし、1031校から次第に減らして520校になった。在籍生徒数は25万6100人から25万6300人に増えた。

放牧地域の子どもたちが町で安心して勉強ができるように、内蒙古自治区は貧困家庭の生徒に向けた奨学金制度を作った。2007年から、モンゴル語で授業する義務教育学校の寄宿生に対し、小学生には一学年1080元、中学生には1350元を補助した。2009年は、この事業だけで2億7200万元の経費を投入した。

マンダ教育庁副庁長の紹介によると、自治区は義務教育段階だけではなく、モンゴル語で授業する就学前教育や高校教育の無料化を着実に進めているという。現在、シリンゴル(錫林郭勒)盟は先行して、モンゴル語で授業を受ける学生の十五年無料教育を実現した。

モンゴル語の教科書を使って、民族言語を勉強している西ウジムチン旗蒙古族第二小学校の生徒

モンゴル語の授業を受ける小中学生も中国語と英語(あるいは日本語)を勉強する。シリンホト(錫林浩特)市の蒙古族の小学校五年生のスブダチムグゥさんはモンゴル語、中国語、英語の三種の言語を学んでいる。「私は三つの言語の勉強が大変だとは思っていません。学校に入る前、モンゴル語しかわかりませんでしたが、中国語もそんなに難しくはありませんでした。クラスメートとしゃべるときはモンゴル語も中国語も両方使っています」  自治区教育庁民族教育処の楊恵良処長は「母語を習得するのが基本、中国語を身につけるのは必要な素養、外国語を使うのは能力を高めるためです」と、言う。民族系学校の生徒はモンゴル語が分かるだけに、社会に出てから普通の学校の生徒よりかなり有利だと楊さんは考えている。

そこに気づいたのは蒙古族だけではない。自治区の首都フフホト市の西百キロのところにあるトムド左旗民族中学校の楊文鎖校長によると、同校が去年開設したモンゴル語の実験クラスには、蒙古族の生徒ばかりではなく、かなりの漢族の生徒も入学を申し込んでいる。彼らは蒙・漢双方に通用する人材を目指している。

 

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