独身生活で自由を謳歌 30歳女性 余暇を利用し博士課程に
高原=文 馮進=写真
もうすぐ30になる王娜さん(仮名)は十代、二十代のころには、将来の結婚生活について、はっきりとした計画を立てていた。28で結婚、30になる前に子を産み、自分の住宅と家庭を持つという計画で、「年齢相応のことをする」という親世代の理想的な設計図に即した、非常に円満なものだった。しかし、だんだん年齢を重ねるにつれ、逆に結婚を軽く見るようになった。
都合のいい男を待とう
王さんの話によると、入社したばかりの頃、同じオフィスの女性同僚はほとんどが既婚者で、集まると、話題はいつも子どもや夫のことだった。しかし、このような雰囲気は彼女にとって結婚の原動力にならなかったばかりでなく、逆に恐怖心を抱かせた。結婚後、日常生活の雑事に追われ、自我を失い、愛情も捨ててしまうことが心配になったのだそうだ。後に、結婚したばかりの女友たちがこう話してくれた。「結婚してから、旦那さんは前よりもっと優しくなったわ。何でもかばってくれて、まるで今までは他人だったけれど、やっと自分の家族になったように考えたのね」。その話を聞いて、王さんはやっと結婚生活への自信を回復したのだ。
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「顔は知られたくないの」と、仮面をかぶった王娜さん |
少し前、将来のことや理想的な生活について意見が分かれ、王さんは何年も付き合っていたボーイフレンドと別れた。彼女はこの結果を非常に残念だと考えているが、「いまの生活にとても満足していますよ。二人暮らしには二人暮らしの蜜の味があるけれど、独身生活には自由があるわ」と、彼女は満足げ。
今、彼女は毎日その自由さを楽しんでいる。また余暇に、本を読んだり、ピアノのレッスンを受けたり、時には家に閉じこもってアメリカのテレビドラマを見たりして、改めて新しい恋を始める気は全然なさそうだ。「都合のいいときになると、きっと都合のいい男が現れると思うよ」と、王さんは自信満々だ。、
恋愛、結婚は生活の一部
最近、彼女は余暇を利用できる在職博士課程に進学した。毎日、指導教官の研究テーマに関する資料収集の手伝いで忙しい。博士課程に進学した理由を聞くと、いとも簡単だった。「普段、暇で何もすることがなかったからですよ。この数年、働いている間に、身についたことがあまり多くないことに気が付いたので、もっと勉強して充電しようと思っただけよ」 多くの人々は、女性が博士課程に進学することを推賞すべきではないと考えているようだ。誰しも口を開けば「男女平等」だと言うが、いざ真剣な結婚話になると、大多数の男性はやはり高学歴、高ポストの女性を敬遠する。そのため、中国には、「女性博士は第三の性」という言い方があるが、高学歴の女性が結婚問題で直面する苦境をまざまざと表現している。
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友だちと一緒に乗馬を楽しむ王娜さん(左端)(写真提供・王娜) |
ところが、このような苦境に直面しているにもかかわらず、王さんのように情熱をもって象牙の塔の頂上まで登りつめようと、絶えず努力している女性は相変わらず多い。彼女たちは、愛や結婚はただ生活の一部分に過ぎず、自己の潜在力を発揮し、好きな生活をすることこそ最も大事だと考えている。
彼女たちのような1970、80年代生まれの若い女性たちは、子どもの時から「女性は天の半分を支えられる」という教育を受け、またほとんどが一人っ子だったので、親が意識するかしないかは別として、半分は男の子として育てたため、独立心が強く、自信に満ちた性格ができ上がった。彼女たちは、夫の仕事を支えることに専念するだけでなく、昔と比べると、もっと自我の実現を重視するようになっている。
そのほか、現代女性の独立心と自信は、愛情のために結婚する女性たちにも現れている。彼女たちは早々に結婚生活を始めなかったのはやむを得ず選択したわけではなく、主動的な決意だと主張する。彼女たちは経済的にほぼ独立し、かなり良い生活条件に恵まれ、青春時代には、絶えず愛を体験し、激情を楽しむことを期待し、婚姻によって束縛されたくないのだ。こうした女性の恋愛、結婚観の変化を思わず嘆かわしいと感じる人がいるかも知れない。
やっぱり仮名にしてね
おもしろいのは、取材した独身の女性たちは、自信に満ちて、遠慮せずにはっきりしゃべってくれたが、記事にすると言うと、途端に仮名にしてほしいとか、写真を載せないでほしいといろいろ注文を付けた。彼女たちの複雑な心情を知らされた思いだった。
人民中国インターネット版 2011年10月
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