見合いは信じられない 32歳男性 新聞社勤務、演劇も
孫雅甜=文 馮進=写真
今年32歳の周健森さんは、生まれも育ちも北京の生粋北京っ子だ。2000年に北京師範大学図書編集学部を卒業、北京の有名な新聞社に就職した。現在、彼は文化ニュース部主任に昇進している。
過大な期待は抱かない
メディアの仕事は一言で言うと「忙しい」に尽きる。彼は実例を挙げて説明してくれた。2010年、所属部門が「ニュースの見方」という新しいコラムを設け、ホットニュースの中心人物を取材し、深層に迫るのが狙いだった。しかし人手が足りず、責任も重いので、彼が取材も兼務することになり、昼は取材に出掛け、夜は帰社して原稿を書き、また他の記者の原稿をチェックし、夜勤当番にもついた。丸一年、ほぼ連日徹夜だった。「取材から戻り、デスクに向かって原稿を書き始めた時、外は明るかった。ところが書き上げて窓の外を見るとまだ明るかったのです。一晩過ぎていたのでした。当時は仕方ないな、という気分でした」と苦笑した。
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仕事に没頭している周健森さん |
こうした情況のため、彼は恋愛する暇はまるでなかった。正直に語ってくれたのだが、恋愛と結婚に対し、切迫感はないそうだ。現在の仕事は確かに忙しいが、毎日充実している。疲れると休み、疲れが取れると再び仕事に没頭する。こうした循環モデルがすでに形成されており、そうした生活に他人が入り込むと、「面倒くさいですよ」。「その上、仕事と休みのリズムや生活習慣について、互いに慣れる必要があります。そもそも僕のライフスタイルを受け入れてくれる女の子はごくわずかでしょう。そうかと言って、同業者の女性も探したくないし…」というように、恋愛や結婚に過大な期待は抱いていないらしい。
功利性と目的性が露骨
多くの独身青年の親と同じように、彼の両親も息子の一生の大事だと、いろいろ心を砕いている。母親が一度見合いをセットしたことがあり、彼は親の面子を立てるために応じたが、人生唯一の見合いだった。その見合いには、気まずい後悔の記憶だけしか残っていない。「相手は中学校の教師で、僕に満足した様子で、地下鉄の駅まで見送りに来てくれました。僕はやましい気持ちでいっぱいでした。お茶を濁す気持ちで、見合いには真剣ではありませんでしたし、ほんのついでの気分でしたからね」。彼はこのような見合いをなかなか理解できない。全く知らない同士の二人が、初対面にもかかわらず、結婚とこれからの生活について話し合うことには、到底我慢できないからだ。見合いは功利性と目的性があまりにも強く、露骨だと感じている。それより仕事や生活の中で自然に付き合い、理解しあう形が好ましいと考えている。
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蘇州で開かれた「珠聯璧合・1000人のお見合い大会」の舞台で、仮面をかぶり、自分の才能や技芸を披露して「伴侶候補」にアピールする女性たち(新華社) |
忙しい仕事の合間に、熱心に取り組んでいることがある。気が合う数人の友だちと一緒にしている演劇だ。彼がシナリオ・ライターを担当し、友だちのなかには、役者もいるし、専門の監督も演劇学院の大学生もいる。ほとんどが独身だから、生活スタイルは似ているところが多く、一緒にいるとプレッシャーはなく、気楽だ。昨年、彼らの作品『司馬TA(スマートの音訳)が韓寒(80後の作家)に会ったとき』が、北京の海淀劇場で公演され、彼も前列の座席で観た。「役者は作者が書いたセリフを舞台で披露し、観衆を感動させ、また観衆が作者の思いもつかないところで笑ったり、泣いたりすると、奇妙な感覚にとらわれますが、大きな満足感を味わえます」と語っていた。演劇は生活のもう一本の柱で、仕事と同じように大切にして行こうと思っている。
一生照らしてくれる人
「心の中の伴侶像はどんな人?」と聞くと、最初は少し当惑した様子で「あまり考えたことはありませんね」と言葉少なだったが、しばらく考え込んだあと、真剣に答えてくれた。「気持ちが通じる人がいいですね。また僕は読書が好きだから、人文科学系の教養があり、僕の仕事と演劇を理解してくれる人が理想です」と。結婚について、良い例も悪い例もたくさん見てきた。友人の離婚騒動も、親世代の不愉快な事例も知っているので、結婚に幻想は抱いていないそうだ。ただ頼りにしあい、信頼しあい、平凡で温かい結婚生活から喜びを見出すことを願っている。「縁があれば、断りません」と話し、また「僕の伴侶像はゆっくり燃えるロウソクのように、末永く僕の一生を照らしてくれる人」と語った。
人民中国インターネット版 2011年10月
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