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安徽省来安県大英鎮センター衛生院 |
農村土地改革の道を切り開いたことで全国的に有名な安徽省は、新しい医療改革のうねりの中で、「薬代で病院の経営経費を補う」という従来方式の打破を突破口とし、基本薬を「差額ゼロ」、つまり原価で患者に提供することによって、住民の受診コストを大幅に減らしている。それとともに、郷・鎮衛生院(日本の診療所)、コミュニティー衛生サービスセンター、村の衛生室(末端の診療所、診療室)などの総合的な改革を全面的に推進し、末端医療機関の体制改革は「安徽省モデル」で成果を上げている。
住民が安心して診療に
来安県大英鎮センター衛生院で、退院の準備をしている侯立蘭さん(63)と出会った。ヘルニアの手術を受けるため一週間入院していたそうだ。「今回の入院で、『新農合』が費用の一部を給付してくれましたので、個人負担は最終的に2、300元だけで済みました。すごく安いと感じましたよ。6、7年前にもここで同じ手術をしてもらいましたが、2000元以上かかりましたからね」と、侯さんはうれしそうな顔で、次のように語った。「新政策のおかげで、私たちも安心して診療が受けられるようになりました。前なら、点滴一回だけで50元もかかりました。昨日も私たち夫婦はいっしょに点滴をしてもらいましたが、新農合保険の給付分を除くと、二人で十二元しかかかりませんでした。私たち農民の年収はわずか1万元に過ぎませんので、以前だと診療費が高くて、我慢できればほとんど病院へは行きませんでしたね」
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大英鎮センター衛生院でヘルニアの手術を無事終え、うれしそうに退院する侯立蘭さん |
大英鎮センター衛生院で患者に点滴をする看護師 |
潘志平さん(43)は一年中出稼ぎに行っているので、ちょっとした病気なら我慢し、ひどい場合にだけ故郷に戻って治療を受けている。「故郷で治療した方が便利で安いですよ。江蘇省蘇州で風邪を引き、病院に行きましたが、80元もかかりました。しかも良くなりませんでした。故郷で治療を受けたら、『新農合』のお陰で、私の負担は5元で済みました」。潘さんの話によると、安徽省には出稼ぎの人が多いが、彼のように病気になると、大半が故郷に戻って治療を受けるそうだ。「広州で働いているある同郷人が虫垂炎にかかって、広州の病院へ行ったところ、6000元から8000元もかかると言われたので、高いと思って、飛行機で安徽省へ戻って治療を受けました。結局、わずか440元でしたよ」
ありがたいと思っているのは安徽省の人だけでなく、衛生院の医療従事者の話によると、ここでは薬代が安いので、隣の江蘇省からわざわざ治療を受け、薬を買いに来る人も多いという。
外来診療部の薬局で衛生院の百種類を超える基本薬販売リストを見せてもらった。同衛生院の呉遵友院長は次のように説明してくれた。「薬価はいずれも下がりましたよ。例えば、高血圧の常備薬ニモディップが以前の10.8元から9.7元に、抗生物質の注射液セフトリアキソンナトリウムが九十数元から今の65.7元に下がり、値下げ幅は10%から30%に達しています。いずれも帳簿で調べられ、また電子処方箋を通じて市レベルの衛生部門がいつでも監視、コントロールできます。私たちは着実に実行していますよ」
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ネットの集中入札で購入された基本薬を各地に配送する専用車 |
統計によると、新医薬衛生体制改革を実施する前、大英鎮センター衛生院外来診療部の一回当たりの診療費は65.07元だったが、実施後は44.9元まで下がった。「新農合」による給付を考え合わせとも、農民の診療費はかなり下がっている。
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