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「薬代に上乗せ」経営 安徽省モデルで改革

 

オールラウンド医活躍

「おじいさん、今日は血圧がちょっと高いですよ。必ず時間通りに降圧剤を飲んでくださいね」。合肥市蜀山区三里庵街道社区(コミュニティー)の衛生サービスセンターで、程正良医師(31)が史守諒さん(80)の血圧を測っていた。史さんはセンターの近くに住んでおり、血圧測定のために週に二回やってくる。「ここで診察を受けられるので非常に便利ですよ。ちょっとした風邪や熱が出た時など、歩いて十数分で来られるからね。それにしばらく来ないと、先生の方から往診してくれます」 ふと程医師が胸につけている名札を見ると「全科医師(オールラウンド医師)」の文字が書かれている。「現在、センターの医師はほとんど全科医の研修を受けています。一般的によくある病気は何でも治療しますよ」

合肥市蜀山区三里庵街道コミュニティー衛生サービスセンターは、無料で地域住民に基本的な身体検査や健康上のアドバイスを行っている

2002年、程さんは安徽省中医学院を卒業後、蜀山区第二人民病院に就職し、内科医になった。2010年9月、同病院はコミュニティー衛生サービスセンターに変わり、程さんも内科医からコミュニティーの医療従事者になった。

2005年、合肥市は第一期の全科医転換研修を実施し、程さんも幸運に120人の受講生の一人になった。「オールラウンド・ドクターになるための研修は全てコミュニティーの住民ニーズに応えるためのものです。半年にわたる研修で、医学の老大家から直接指導を受けたほか、臨床は内科、外科、婦人科、小児科の各科で実践し、自分の蓄積を大いに充実させることが出来ました。現在、一般的な疾病はスムーズに処理できますし、だんだん自信もついて来ましたよ」。程さんによると、コミュニティー衛生サービスセンターには15人の全科医が在籍しており、よくある病気の治療以外に、コミュニティー住民を対象に健康理念や予防知識の普及、健康記録づくりなどの公共衛生サービスが仕事の重要な一部になっているそうだ。全科医は日本のホームドクターの概念に近いかも知れない。

合肥市蜀山区三里庵街道コミュニティー衛生サービスセンターで、患者の血圧を測る程正良医師

中国では、全科医はまだなじみのない言葉だ。専門医と比べ、総合診療を行う医療サービス提供者として、身近によくある病気、多発する病気の診療や患者の回復、転院、疾病の予防・コントロールなどの面で、重要な役目を果たしており、住民が抱える健康問題の8割はコミュニティー内で効果的に処理されることが考えられる。国務院医薬衛生体制改革弁公室の孫志剛主任が言ったように、全科医は病気の診察・予防にあたる「何でも屋」で、住民の健康を守る「門番」だ。

しかし、全科医不足は各地に共通した問題だ。衛生部のデータによると、現在、中国のコミュニティーの医療機関に登録している全科医は住民一万人にわずか0.73人、合計でも10万人未満で、不足が深刻化している。末端の医療サービスの水準を向上させるために、中国は2020年までに30万人の全科医を育成し、徐々に基本的医療衛生制度のニーズに対応できる末端の医療体制を充実させる計画だ。

合肥市蜀山区三里街道コミュニティー衛生サービスセンターで温熱療法の治療を受ける高齢者

統計によれば、安徽省の全科医はわずか1639人で、2015年に約4000人の不足が出るという。そのため、同省は2005年から全科医研修を実施し、2011年に全省で育成、合格した全科医が4664人に上る。多くの市、県では貧困県、山地などでボランティアとして三年以上全科医を務める医学部卒業生への補助政策を制定し、貧困県や辺ぴな地域で就業する全科医を対象に特別手当を支給するようになっている。「末端の全科医はまだまだ足りない。われわれは2000人に一人の全科医配置を目指している」と沈衛国主任は話していた。

 

人民中国インターネット版 2012年4月16日

 

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