伝統と現代が織り成す「古鎮」の風情
われわれが取材に訪れた習水県土城鎮は茅台鎮の下流地域にある。ここで造られる酒も美味だが、茅台酒、郎酒ほど有名ではない。しかし、1935年の紅軍による「四渡赤水」のルートをめぐるツアー、「古鎮」の風情、独自の塩文化、船団の伝統文化によって、観光客に親しまれている。
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土城の伝統的な定期市 |
ここは気候が温暖湿潤で、土壌も肥沃だ。考古学の発掘によって、7000年前には、すでに人間がここで生活を営んでいたことが明らかになっている。紀元前111年、ここは平夷県に属していた。明代初年、家屋を改築する際に数多くの土城壁の遺跡が発見されたゆえに、土城と名付けられた。
土城は北に山を控え、東、西そして南の三方は赤水河に囲まれており、しかも水の流れが緩やかなため、数少ない貴重な渡し場だった。明王朝はこの軍事上の要地を保護するために、土城周辺の九龍屯や七宝屯など4カ所の砦を建設した。
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さまざまな酒が並ぶ土城の酒屋 |
土城は山沿いに建設されており、古い街道には石畳が敷かれている。そして地形の起伏が激しいので、街道も河道に沿ってくねくねと曲がっている。「古鎮」の民家のほとんどは、伝統的なレンガと木造の建物だが、大金持ちが住む立派な屋敷もある。屋敷は一見洋館に見えるが、中には伝統的な庭があり、「中洋折衷」の屋敷と呼ばれている。もちろん、竹と漆喰の旧式家屋や川沿いに建てられた「吊脚楼(高床式の住宅)」なども見られる。
古い街道を散策すると、街道に面した商店や大小の露店では、色鮮やかな服や靴下が店先につるされていたり、色とりどりのプラスチック製品や生活用品が並べられている。おもしろいことに、街道では、竹かごを背負う農家の女性と広告を飾るファッショナブルな若い女性、口が赤い布で包まれている大きな酒がめにDVDディスク、地元の軽食と袋入りのスナックが共に顔を並べ、この「古鎮」に伝統文化と現代生活が織り成すハーモニーを奏でている。
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村民が子どもを竹かごに入れ、背負って土城の市へ行く姿は地元の特色ある風景 |
穀物や野菜の種子を売るお店。 種類もバラエティに富んでいる |
土城では「市に行く」習慣が受け継がれている。毎月3、6そして9が付く日に、周辺に住む農民たちは小型トラクターに乗って、または野菜や特産物を入れた竹かごを背負って土城に集まり、露店を出して市を開くのだ。そして「古鎮」は人で溢れ、大変なにぎわいを見せる。
正午が過ぎて、市が終わると、町中が静けさを取り戻す。そして、お年寄りは茶屋でのんびりと、香りのさわやかなお茶で一服しながら、おしゃべりしたり、テーブルを囲んでトランプやマージャンをしたり、仲良し同士で三々五々に集まって、ちょっと一杯飲んだりする。彼らのくつろいでいる姿から、楽しさが十分に伝わってくる。
2005年、土城は悠久な歴史や豊かで深みのある文化により、中国歴史文化名鎮に指定された。
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