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北京でも3DプリントOK

子どものころ、こんなSF短編映画を見たことがある。ロボットが腕を挙げて、きらきらした粉を空中にまき散らし、それが少しずつ積もると、家やクルマの形に変わって行く。今ではそんな不思議が不思議でなくなりつつある。それがデジタルで立体的な模型を作る「3Dプリント技術」だ。

3Dプリンターを操作する店長(写真・筆者)

筆者は珍しい模型を集めるのが大好きだ。昨年秋、同好の友人がブログで2つとない模型を見せびらかした。彼がコンピューターで製図し、メールで設計図を米国の3Dプリント専門店に送り、「印刷」して郵送してもらってやっと手に入れたものだ。記者もこの新技術に大いに関心を持ったが、遠い米国の話なので、日常生活とは無縁なものと思い込んでいた。  

ところが、思いがけないことに、わずか数カ月後の今年初、筆者の家から歩いて20分くらいの北京市・積水潭の北に、3Dプリントの専門店が開業した。十数分の360度スキャンと数時間の3Dプリントを待てば、本物そっくりのカラフルな立体的な石膏人物塑像を手にできる。  

店長によると、全身または半身像を作った利用客は開業以来すでに50人に上るそうだ。

現代人は個性的な商品を求めている。十数㌢の全身像を作る費用は約800元(1元は約15円、約1万2000円)で、安いとは言えないが、この世に1人しかいない自分の模型という個性こそ、セールスポイントだ。そのため、流行に敏感な若者だけでなく、うわさを聞いてやって来る年配者も多いそうだ。  

工業用3Dプリンターで制作した像

石膏のほかに、3Dプリンターは樹脂、プラスティック(ABS樹脂)、ナイロン、金属、さらに陶磁器の材料でも「印刷」できるという。個性的な結婚指輪、携帯カバー、花瓶から、筆者が夢中になっている模型でも、依頼主がデザインし、またはコンピューターでスキャンすることが可能であれば、何でも「印刷」できる。  

ネットショップでも3Dプリンターが販売されている。精度0.1㍉レベルの工業用3Dプリンターは十数万元から数十万元もする。家庭用の3Dプリンターは数千元で買えるが、精度があまりにも悪いため、実用には向かない。  

とはいえ、携帯、パソコンなど、今広く使われている製品も誕生したばかりの時は値段が高く、性能はいまひとつだった。いつか精度の良い3Dプリンターが一般的に使われるようになると信じている。

 

編集部記者・王焱

1982年、北京生まれ。

仙台の東北大大学院国際文化学修士号取得。入社5年目。

「私のしごと」「media watch」「新刊ガイド」などを担当。

趣味は模型、テーブルゲーム、漫画。

 

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