伝染病――それは突然、人類を襲ってくる病魔である。多くの犠牲のうえに一つの病魔が制圧されても、また新たな病原菌が襲ってくる。人類の歴史はこの繰り返しだった。
新型の肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)も、その一つである。それは初めのころ、正体がわからなかった。そのため、対策が後手に回った。しかも改革・開放の社会では、人の移動は激しい。感染が拡大するのは避けられない。だが、新しく選ばれた指導部の果断な措置と、人々の必死の奮闘によって、ついに6月、北京のSARS感染地区指定と渡航延期勧告が解除された。
しかし多くの人々が病魔の犠牲となった。人々の生活は大きく制限され、経済活動も大きな影響を受けた。SARSのもたらした被害は大きい。
だが、ものごとには常にマイナスがあればプラスもある。指導部への人々の信頼、医師や看護師の示した自己犠牲の精神、社会全体の公衆衛生や道徳心の向上……。
私たちは、SARSの脅威の下で揺れた社会を内側から見てきた。これはその現場からの報告である。
その1 危機に立ち向かった新政府
その2 病魔と命がけで闘った人々
その3 生活習慣やマナーが変わった
その4 損害のり越え進む中国経済
人民中国インターネット版
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