現在位置: 特集一覧>経済
開港150年の横浜と中国

 

山手中華学校のいま

小学生に本を贈る胡錦濤主席

横浜山手中華学校は、孫文の提唱により、清朝末期の改革派の康有為、梁啓超らの協力を得て、1898年に横浜の華僑らが創立した全日制の学校である。創立以来、中国語(漢語標準語)の普及と中華文化の発揚を目指し、一貫して在日華僑・華人の子弟の教育を行ってきた。

授業は中日両方の言語で

品川に住んでいる王允誠君は、横浜山手中華学校に通う小学5年生だ。王君の父親も祖父も中華学校の卒業生である。日本人の子どもと同じように、王君も毎日ランドセルを背負って通学し、学校の入り口で校長先生と会うと、標準的な中国語であいさつをする。

校内に中国の陝北地方の民謡『東方紅』のメロディーが流れてきた。これは授業の開始を知らせるチャイムである。中国で誰もが知っているこの民謡は、中国の解放や繁栄、発展を讃えるため1942年に李有源が歌詞をつけたもので、新中国が成立する前から広く歌われていた。1966年、『東方紅』は横浜山手中華学校のチャイムの音として採用された。

王君のクラスでは、地理の授業が始まっていた。黒板に中国地図がかかっており、先生は中国語で授業を行っている。「中国でいちばん高い高原はどこでしょう」という先生の質問に対し、子どもたちは先を争うように手を上げた。

しかし、答え方は一通りではない。中国語で「青蔵高原」と言う子がいれば、日本語で「チベットコウゲン」と言う子もいる。または中日の言語を混ぜて「青蔵コウゲン」と言う子もいる。中日両方の言語を混ぜて使っているが、生徒と先生の間のコミュニケーションに問題はない。

王君も標準的な中国語を使って、先生の質問に答えた。王君は1年生のとき、中国語をほとんど話すことができなかった。しかし中国語を使う授業の環境に身を置くことで、知らず知らずにその影響を受け、現在、中国語のレベルは、ヒヤリングでも会話でも中国国内の小学生と差はほとんどない。

中日両方の言語で教えるのは、日本では中華学校しかないだろう。小学部では授業の7割が中国語で行われている。中学部では卒業後、日本の高等学校に進学しても差し障りがないようにと、日本語での授業が7割になる。教科内容は精読や作文、会話などの中国語課程と、地理や歴史、文化常識などを学ぶ中国文化課程があるほか、日本の小中学校の課程も取り入れている。

課外活動では、中国伝統の龍舞や獅子舞、武術、茶芸を学ぶことができる。9月22、23日の2日間、子どもたちは横浜開港150周年祝典の舞台にのぼり、普段の練習の成果を披露する予定だ。

中華学校の中学部の卒業生は、日本の中学生と同等の学力を身につけているため、日本の高等学校への進学も問題はない。加えて、比較的高いレベルの中国語能力を持ち、中国文化と習慣にも馴染んでいる。

国際型の人材育成目指す

教室脇の廊下には、生徒の作文や工作・絵画などの作品が展示されている。日本の小中学校では先ごろの「ゆとり教育」で比較・競争を避ける傾向であるが、中華学校の潘民生校長はそれとは異なった教育観を持っている。

「現在の世界で、人と付き合うことができず、競争に参加しないのはよくないことです。学校では国際型の人材の育成を目指しており、生徒たちには互いに自分を表現し合い、学び合い、そして他人の長所を取り入れて自分の短所を補い、人との付き合いに慣れていって欲しいのです」

去年、胡錦濤国家主席は中華学校を訪問した。生徒たちは国家主席に対しても堂々と手を上げ、「主席は5つの『福娃』(北京五輪のマスコット)のなかで、一番好きなのはどれでしょうか」「私は国家主席になれますか」など質問をした。

生徒数増加で校舎移転拡充へ

新校舎を紹介する潘民生校長先生(写真・于文)

来年、中華学校はJR石川町駅周辺に引っ越す予定だ。移転後、校内は今よりも広くなり、校舎や学校の設備もさらに充実する。一般の市民にも中国文化の体験ができるように、中国文化教室の開設も計画中である。

膨大な資金を投入し校舎を移転拡充するのは、建物の老朽化、交通の不便さ以外に、入学希望者の激増で教室が足りず、入学が難しくなってきたのが最大の原因である。

中華学校の児童の多くは、在日の華僑や華人、またはその二世や三世などである。近年、在日華人・華僑、その子弟らの数は増加している。また日本人の家庭でも、小さいころから中華学校のような教育を受け国際的な競争力を備えさせるために、子どもを中華学校に進学させるケースも増えてきた。校舎移転後は、生徒の募集も拡大できるほか、クラスごとの生徒数を減らし教育の質を高めることもできる。

「本校の建設用地にと、横浜市から石川町駅前という立地のよい場所の市有地を提供していただきました。毎年、神奈川県と横浜市には経済的な援助をいただき、地元からもいろいろ支持していただいております。それと同時に、本校は祖国・中国からも注目されています。中華人民共和国駐日本国大使館の王毅前大使、崔天凱大使は、いずれも学校の発展に関心を寄せ、胡錦濤国家主席は自らここを訪問されました。国務院華僑辦公室など中国国内の関係機構や大学は教師を本校に派遣して生徒たちを指導し、国内の最新の教材やマルチメディアのテキストを日本に持ってきてくれました。生徒たちがもっとも標準的な共通語が聞く機会が増えることを、うれしく誇りに感じています」と、潘校長は語った。(于文 賈秋雅=文 横浜山手中華学校=写真提供)

 

   <<   1   2   3   4   5   6   7   >>  

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010) 8837-3057(日本語) 6831-3990(中国語) FAX: (010)6831-3850