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開港150年の横浜と中国

 

横浜と中国の過去・現在・未来――神奈川県知事・横浜市長が語る

神奈川新聞社、人民中国雑誌社共同企画

アジア太平洋地域の経済を牽引

松沢成文・神奈川県知事(写真・賈秋雅)

江戸時代末期、アメリカのペリー来航により、鎖国制度に終止符が打たれたことで、横浜は国際社会の窓口となった。その後、日本を訪れたイギリス、フランス人の多くは、中国人通訳を帯同した。中国語と日本語は、「漢字」という共通性をある程度有しているため、筆談も可能であるという観点から、英語に堪能な中国人が重宝がられた。神奈川県にとっては、これが近代における中国の人々との交流の起源であろう。

150年の付き合いを経て、現在、横浜と中国は、切っても切れない密接な関係となっている。中華学校には、中国籍の子弟だけではなく、日本国籍をもつ子弟も多く通学している。

また、最近、新たに来日する中国人が増えてきた。これは中国企業の経営者が、日本進出のための拠点を横浜市につくっているということを意味している。例えば、中国のITソフトウェア開発会社は、日本進出の拠点として、まずは東京を候補地に考えたが、オフィス賃貸料が高く困惑したという話がある。横浜の賃貸料は、東京の3分の2程度で安価であるし、東京への交通手段も整っているので、どこへ行くにも不便はない。

これらの要因から、最近、新たに来日した中国人の多くが横浜に関心を示しているのだ。現在、私たちが把握しているところでは、横浜には15社、神奈川県内では合計21社の中国企業がある。中国企業が進出する際には、経営者は、どのような事務所を構え、日本でどのように活動すべきかなどの情報を収集せねばならない。それらをサポートするための施設も用意されている。また、逆に、神奈川県の企業も多く中国に進出している。現在、上海や広州などの地域に相当数が進出している模様だ。このように、中国との交流は貿易のみならず、産業面でも年々発展してきている。

4月9日、中国政府からの招聘を受け、北京で開催された『EV産業発展国際フォーラム2009』で講演する松沢知事(上)と聴衆(下)(神奈川県庁提供)
今後の課題としては、まずは経済の協力を挙げることができよう。今までの経済の中心地は、19世紀はヨーロッパ、20世紀はアメリカと、欧米主導型経済であった。21世紀は、アジアが世界経済を力強く牽引していく時代になると思う。中でも、特に早期に発展した日本と、そして現在経済発展を続けている中国、中国を追いかけるインド、韓国や東南アジアの国々、都市としての香港など、発展の可能性を秘めた国や地域がアジアには集まっている。このアジアの経済圏でお互いがいかに貿易し、交流し、発展していけるかが大きなポイントとなるだろう。このようなアジアにあって、日本と中国はリーダーシップを取らねばならないと思う。

中国の特筆すべき点は、10億人以上の人口を擁していることだ。大きな市場を抱え、数多くの労働力を有している。もちろん、これに加え、産業の高度化も著しい。特に、沿岸地域の発展振りは目覚ましいものがある。一方、日本は、高度な技術力と経済の先進性を備えている。このような日中両国がパートナーシップの旗印の下、ともに手を携え、アジア太平洋地域の経済を牽引していくような時代にしていかねばならないと感じる。

また、これからは、開発と環境の調和、つまり、環境に配慮した経済発展を目指すことが肝要だ。日本は戦後の高度成長期に、さまざまな苦い経験をしてきた。過度に工業発展を推進したことで、公害問題を発生させてしまったのだ。人々は、大気汚染や水質汚濁など、経済の高度成長が環境面にもたらした「ひずみ」に苦しみ、そして、その克服には、長い時間を必要とした。だからこそ、現在、経済発展を目指す中国には、日本のような失敗を再び繰り返さないでほしいと願っている。

大気汚染を防ぐ技術、水質汚濁を防止する技術など、日本が有している技術を、ぜひとも、中国の発展に役立ててほしい。4月上旬、中国政府からの招聘を受け、北京で開催された『EV産業発展国際フォーラム2009』に参加し、その席上で、神奈川県の電気自動車プロジェクトを中国の皆様に紹介させていただいた。このような環境技術を中国に紹介し、多くの人々に知ってもらい広げていくことが日本の重要な役割だと思う。

最近、注目されているのは、CO2排出量を削減する技術など地球環境に優しい技術である。そこで、神奈川県は、電気自動車の普及に尽力しているのだ。2006年11月には、産学公で構成された協議会を立ち上げ、EV普及促進のための政策パッケージを作成した。例えば、購入者に補助金を交付する、あるいは、自動車税や自動車取得税を大幅に減額していく、また、街のいたるところで充電できるよう民間や市町村にも働きかけ、急速充電器などを設置し、ガソリンスタンドのように利用することなどである。電気代の方が、ガソリンより安価であるし、電気自動車は、走行時の排ガスがゼロである。電気自動車は、大気汚染や騒音公害のない、都市部に優しい新しい自動車なのだ。

経済発展につれて、中国の自動車保有率が日本と同レベルに至ることも遠い未来の話ではないだろう。人口から勘案すると車両数は莫大なものとなる。まずは、石油の資源制約が問題にはなるものの、仮に全車両がガソリン車であるとすると、膨大な量の有害なガスとCO2を発生させることになる。これを解決するには、自動車が中国国内で本格的に普及する前に、動力をガソリンに頼らない自動車の開発など、自動車社会の意識と技術を変革させていくことこそが重要であると思う。

都市と都市のパートナーシップ

中田宏 横浜市長(写真・賈秋雅)

横浜と中国は「天の時、地の利、人の和」の3拍子がそろっていると言えるであろう。横浜開港により、中国人が横浜に来たこと自体が縁であるし、まさに「天の時」である。また、地理的な利便性もある。現在、上海から羽田空港まで約3時間。羽田から横浜へは車で約20分で到着できる。物理的には、ビジネスの後、横浜を観光しても、日帰りで往復が可能なのだ。

また、もっとも大切なのは「人の和」である。横浜には日本最大の中華街が存在する。中華街に住み込んだのは、ほとんどが華僑と中国系日本人で、みな良き横浜市民である。

統計によると、神奈川県の中国籍県民数は、2007年末現在、5万2430人で、県内外国籍人口の約30%を占めており、神奈川県内の外国人は中国人が一番多い。横浜では、クラスメートに中国籍の友人がいるということは、しごく日常的な話である。中国との交流の歴史は古く、現在では、交流のみならず多方面において、中国は横浜にとって、最適のパートナーであると感じる。

昨年、胡錦濤国家主席が横浜を訪問され、日中関係の重要性について、多くの時間を割いて語ってくださった。横浜と上海との姉妹・友好都市関係が日中両国間のさまざまな姉妹関係や交流の出発点となったと、胡主席は語られた。

来年、上海で開催される万博に、横浜市も出展する。上海の姉妹・友好都市として、ぜひ多くの中国の皆様に、日本産業館の中にある私たち横浜のブースに足を運んでいただきたい。また、日本から多くの人が上海を訪問するように、横浜出展の件について横浜市民に広く伝え、この横浜から上海を訪れる人を増やしていきたいと思っている。

横浜は、港の景観、食やショッピングスポットなど、多くの観光資源に恵まれている。国際観光都市横浜の持つ魅力をさまざまな切り口から、広く紹介し、そして、実際に一人でも多くの中国の皆様に横浜に来ていただきたいと希望している。

また、胡主席は、横浜と北京のパートナーシップ協定締結に言及され、日中関係の更なる発展を目的とした都市外交について語られた。現在、北京とのパートナーシップ協定のもと、IT、バイオなど各分野に従事する人々が横浜を訪問し、活発な経済交流が行われているので、今後は、そうした分野でも協力関係構築の可能性が大いにあると思う。

中国は「モノづくりの工場」としての能力を有し、一方、日本はデザインや設計分野において非常に優れた能力を有している。それゆえに、日本の設計力と中国の製造力をよい形でマッチングできれば、両国の経済交流においても、うまく連携できると思う。横浜がそのような役割を担えれば光栄であると思う。

国家間の関係は、自分たち個人とは無関係であるかのようなイメージをもつ人が多いと思う。しかし、そのような人々でも、自分たちが暮らす都市と中国のある都市との交流については、より身近に感じると思う。

そういう意味では、日中交流の架け橋の役を担う横浜は、今後とも、日中関係を最重要視し、より市民レベルでの交流を含めた広範な活動を引き続き行ってゆく必要がある。

 

 

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