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史上最多の参加国に上海万博へ カウントダウン

 

日本から百人のボランティア

 

愛知万博瀬戸会場から上海万博にエールを送るボランティアたち(写真提供 愛・地球博ボランティアセンター)

日中友好支援センタ―と愛・地球博ボランティアセンターは、10月1日から日本国内で、上海万博の日本人ボランティア・スタッフ百名の募集を始める。日本人ボランティアは、イベント運営の経験が豊富で、外国人来場者への対応や、トラブルへの心構え・対応に長けた愛知万博をはじめとする多くの大規模イベントの経験者を中心に、採用する予定だ。

語学試験をはじめ、選考を通過したボランティアは、上海万博の内容・ボランティア活動の内容・中国語のスキルアップなどの研修を行い、会場での円滑な活動を助ける。

2010年7月17日から9月26日の間、この百名の日本人ボランティアが入場案内、会場地図の配付、日本人の迷子や呼び出し人への対応と日本語でのハイライトツアーを担当する。

愛知万博の感動を上海へ

愛知万博には、連日、大勢の人が詰めかけた

大学生の山田邦夫さんは、上海万博でボランティアをやりたいと強く願っている1人である。彼は「愛・地球博」の「夢みる山」で、スタッフとして働いたことがある。主な仕事内容は、来場者に対するパビリオンへの案内、館内への誘導、事前整理券の配布などだった。

「愛・地球博」の1日の来場者数は、開幕当初は5万人から10万人程度だったが、閉幕1ヵ月前の8月下旬ごろに一挙に20万人を超えた。そのため、人気のパビリオンでは、平均3時間以上も並ばなくては入場できない。事前に情報をつかんでいる来場者とつかんでいない者とでは、見て回ることのできるパビリオンの数が違ってくる。山田さんの働いていたパビリオンでも、この時期になると平均1、2時間並ぶのが当たり前になり、入場できない人もいた。

「1人でも多くの来場者に満足してもらえるよう、多くの情報を伝えていく過程で、疲れきった来場者が笑顔になる瞬間が僕の一番の幸せだった。その幸せを上海でも体験したい」と山田さんは言った。

日本人ボランティアを採用することにより、彼らが市民大使として上海万博の魅力を多くの日本人に伝えることも期待されている。また、日本人ボランティアは中国在住の日本人ボランティアとの調整役としても十分機能すると考えられている。

ボランティア活動をスタートした若者

日高さんのアンケートに回答する中国の若者たち(写真提供・日高将博)
2005年に「愛・地球博」を開催した愛知県で、「日本と中国の若者の架け橋になる活動は何か」と考えている若者は山田さんだけではない。彼らが思いついたキーワードが「万博」である。「愛知からつぎの万博開催地―上海へ」をテーマに活動を始めた。岡田紘幸さん(29歳)はその活動の提案者の1人である。

大学時代の岡田さんは、学外の国際交流サークルや学生団体、NPO、市民ボランティアなどさまざまな活動へ積極的に参加した。人との関わりを大切にし、街づくりに力を入れていた。社会人になってからも、市民活動は継続。2005年には友人の誘いを受けて、愛知万博の市民プロジェクトの手伝いをした。また、多くの中国人留学生とコミュニケーションをし、ごく自然に異文化を感じていたそうだ。

万博に何か貢献したいという思いを友人やインターネット上で呼びかけた。「今までにないから面白そうじゃん、まずやってみようよ」という好感触。決意は固まった。仕事の合間を縫い、昨年から準備を進め、今年3月にようやく日中国際親善協会中部支部を設立。若者が親しみやすいよう愛称を「チャイナル!日本」とした。

勉強会、日中交流会、講演会などを行った。参加者は愛知県内の大学生や留学生、若手社会人が中心だった。この他、春の屋外イベントなどに出展し、活動認知や上海万博のPR活動を行ってきた。「この活動に出会わなかったら、日中交流なんて考えもしなかったし、上海万博に興味を持つことはなかった」と感想を寄せてくれた参加者もいた。

「地域での日中交流を通じて、日本と中国の友好の架け橋になりたい。先の時代を見据え、未来を切り開いていく活動へ」と岡田さんは言った。今やるべきことは何なのか、協会のメンバーと毎週ミーティングを重ねながら行動中である。

上海でアンケート調査

上海万博のキャラクターは好き?
万博に何を期待する?
テーマは?
百六十元の入場料は高い?
万博に行くとしたら誰と行く?
どうやって外国に宣伝する?
ボランティアしたい?

など計17項目のアンケートが、上海の若者に配られ、調査が行われた。この調査をしたのは名古屋の若手会社員である日高将博さんである。

学生時代に「国際交流基金留華ネット」という政府機関の広州代表を務めた日高さんは、上海万博「日本館」の運営を任されている会社で働く中国人の友人がいたため、「上海に行けば何かヒントを得られる」と思い、今年5月に休暇を利用して上海へ行った。上海では、万博に向けて大々的にPRしていたが、街の人は実際どう思っているかが気になった。その理由は、2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」では市民参加型のパビリオンが取り入れられ、今後の万博は政府や企業だけでなく市民が主体となって作り上げていく傾向にあると感じたからだ。万博と関わっていくヒントも、上海市民にあるような気がした。

多くの市民の考えを短時間で知るにはアンケートをとるのがもっとも効果的だと思った。「時間が限られた中、愛知で待っているみんなに、目に見える形で報告したかった。これを見て『中国では盛り上がっている、俺たちもがんばろう!』と、さらに奮起することを願った」と日高さん。復旦大学の五角城をはじめ、大学生を中心に若者が集まるところでアンケートを行い、地下鉄、空港、リニアモーターの中などで、計120人ぐらいが書いてくれた。

この調査で日高さんがとくに印象に残ったのは、「万博によって人間の教養が高まる」「環境が整備される」「ボランティアを希望する」「報酬なしでも万博に参加したい」と回答した人が、全体の九割を超えていたことで、中国の若者たちの万博に対する期待がわかった。

現在も、上海と広州で日高さんと彼の友人が引き続きアンケートを実施中である。今後は中国全土でも行う予定だという。

イメージチェンジのチャンス

「チャイナル!日本」主催の上海万博に関する説明会(写真提供・和田英士)
2010年の上海万博は、中国で開催される初めての万博である。多くの国が参加するので、万博を通じて国際交流ができ、中国の魅力を他の国々の方にアピールするまたとないチャンス。とくに、万博で上海を訪れる日本人に、あらためて中国のよさを伝える絶好の機会という見方もある。

万博の開催期間は半年間もある。海外からの来訪者も数多く見込まれているが、中でも日本人が一番多いと予測されている。

最近日本でも、万博や中国人に対するイメージ調査が行われているが、中国に行ったことのない人のイメージは、マイナス面が多い。

そういった中で、「中国に留学するとしたら?」という問いに対しては、八割以上の人が上海と回答している。中国語を学びたいという人も多かった。上海は中国の他地域と比べ、発展が著しいので「中国らしくない」と言われることもある。上海在住の日本人の数が世界のどの都市よりも多いことも事実だ。

「百聞は一見に如かず」。上海万博を縁に、ぜひ一度中国に足を伸ばして体験してほしい。そうすれば中国で留学や仕事をする人が増え、両国の交流が活発になり、相互理解が深まる。万博とはそういった貴重な場を提供してくれる最高のイベントであろう。(高原 于文=文 馮進=写真)

 

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