中国現代化戦略の「二つの段階」

胡鞍鋼=文

 

 2020年に小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的完成を実現した後、いかにして二つ目の百周年の奮闘目標(2035年から今世紀半ばまでに、中国を富強民主文明調和の美しい社会主義現代化強国に築き上げること)を実現するか。どのような戦略的配置と発展のプロセスがあるのか。まだ30年間あるが、この目標を実現するには、長期にわたる段階的な奮闘努力が必要とされる。この過程において、社会主義現代化建設は依然としてテーマであり続け、キーワードは「全面的建設」であり、小康社会の全面的建設と継承的、連続的、段階的な関係を持っている。このため、中国共産党第19回全国代表大会では「二段階」の戦略構想が提起されたのだが、これに対しわれわれは突っ込んだ研究を行ってみたい。

 

第1段階は2020~35年の社会主義現代化の基本的実現

 20年以降、中国の社会主義現代化建設は3回の5カ年計画を経て、基本的に社会主義現代化を実現するだろう。

 われわれは中等先進国の基準を1人当たりの国内総生産(GDP)が米国の半分以上と設定している。研究によると、35年にはPPP(購買力平価)を2011年国際ドルで換算した中国人の1人当たりのGDPが米国の半分を超え、5157%に達する見込みである。16年に中国は中国共産党第16回全国代表大会の報告で提出されたGDPを3倍増(PPP)にするという2020年の目標を前倒しで実現し、今年もまた中国共産党第17回全国代表大会の報告で提起された2020年までに1人当たりのGDPを2000年比3倍(PPP)増にするという目標を前倒しで実現するだろう。こうして、中国は30年前に鄧小平氏が提起した「三歩走(3段階に分けて発展する戦略)」構想、つまり1人当たりの国民総生産(GNP)が4000に達する目標をも前倒しで実現でき、これこそ中国の発展路線の優位性であり、われわれが超越式発展と呼ぶものである。

 経済力の大幅な躍進により、35年までに中国のGDPの世界全体に対する割合は27253145%となるだろう。

 科学技術力が大幅に上昇し、研究開発(R&D)経費支出のGDPに対する割合は28%以上となり、知識密集型サービス業の付加価値はGDPの4分の1ほどを占め、トップクラスのイノベーション型国家となるだろう。

 国家の文化ソフトパワーも著しく増強され、全人口をカバーする公共文化サービスシステムが構築され、文化産業が国民経済の重要な支柱産業となり、世界最大の文化市場が形作られ、人民の日増しに増える精神文化需要を満足させて、世界でも独特な社会主義文化強国をつくり上げることだろう。

 都市と農村の地域発展格差と住民生活レベルの格差が著しく縮小し、都市と農村住民のエンゲル係数は2022%に下がり、より富裕型消費構造に属し、基本公共サービスの均等化が全体的に実現し、平均寿命は795歳に達し、学齢3年前の幼稚園通学率は95%以上、高校の進学率は95%以上に達し、主要生産年齢人口の高等教育を受けた人の割合は3分の1以上に達し、教育強国人材強国となるだろう。

 生態環境も根本から改善され、生態投資生態黒字時代に入り、人と自然との調和のとれた発展と現代化建設の新段階に入り、非化石エネルギーが一次エネルギー消費の25%以上を占め、二酸化炭素排出量は大幅に低下し、主要環境指標は根本から改善され、省エネエコ産業が新興戦略性産業となるだろう。

 

第2段階の2035~50年には、中国を富強民主文明調和の美しい社会主義現代化強国に築き上げる

 いわゆる「全面的完成」とは、総目標の内容をより具体化、明確化、全面化し、経済上の「富強」だけでなく、政治上の「民主」、文化上の「文明」、社会上の「調和」、さらには生態上の「美しさ」をも含め、習近平総書記を核心とする党中央の経済建設政治建設文化建設社会建設生態文明建設において提起された一連の新理念新思想新戦略を十分に体現し、また「五位一体」戦略的配置と目標との間の全面的な連結を十分に体現するものでもある。

 50年までに、中国の1人当たりの所得レベル人間開発レベル主要な現代化指標を先進国レベルに到達させ、中でも中国の1人当たりのGDPを米国の1人当たりの70%のレベルにまで上昇させて、先進国レベルとする。中国の人間開発指数(HDI)を09以上にまで上げ、極めて高い開発を遂げた国家のレベルに到達させる。国家統治システムと統治能力の現代化を実現し、科学技術力を大幅に向上させて、研究開発投資の世界における割合が5分の1~4分の1を占めるようになり、トップクラスのイノベーション型国家へと躍り出る。中国の文化ソフトパワーも著しく増強され、世界最大規模の文化産業が形成され、重要な支柱産業となる。総合国力国際影響力においてトップクラスとなり、世界における地位がさらに際立ったものとなる。共同富裕は基本的に実現し、地域都市と農村の収入格差は縮小し続け、ハイレベルの公共サービスと社会保障が全人口をカバーする。全面的に美しい中国がつくりあげられ、「二屏三帯(二つの生態バリアと三つの森林帯)」という生態安全の大戦略構造が形成され、人と水が調和する国、青い空と澄んだ水のある国、グリーンエネルギーの国となり、省エネ型社会、環境にやさしい社会、気候適応型社会、低災害リスク型社会が完成して、二酸化炭素などの温室ガスが顕著に減少する。

 最後に、中国は世界に六つの貢献を果たすだろう。1番目は平和に対する貢献で、平和なくして発展なし、発展がなければ全てがない。2番目は経済に対する貢献で、世界経済成長、貿易成長、消費成長、観光などのサービス成長のエンジンとなるだろう。3番目はイノベーションに対する貢献で、世界の研究開発投資の成長、発明特許増加の最大の貢献者となるだろう。4番目は文化に対する貢献で、中国文化の発展は世界の多様化した文化発展を促進し、中国の文化復興は世界の文化復興を推進するだろう。5番目はエコに対する貢献で、中国は生態文明時代を切り開き、世界をエコ文明時代に向かわせることだろう。6番目は知識に対する貢献で、中国は発展途上国に対し極めて重要な発展知識を貢献するだろう。

 

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