村田忠禧:中華人民共和国建国70周年を迎えて思うこと

横浜国立大学名誉教授 村田忠禧

 

中華人民共和国は満身創痍の状態で誕生した。かつては「東亜の病夫」と蔑まされていた中国だが、毛沢東の指導のもと、人民が主人公となる社会の実現を目指して奮闘してきた。

  鄧小平は毛沢東思想の精髄は「すべては実際から出発する」ことにあるとして、毛沢東の基本精神をよみがえらせた。「足元を確かめながら川を渡る」方式で大胆かつ着実な改革開放を進め、社会主義市場経済の建設に邁進した。折しも世界は経済のグローバル化、情報のネットワーク化が急速に進展していた。経済の好転は政治の安定をもたらし、総合国力が増強され、国際舞台における地位も大幅に向上した。14億の人々がほぼ100%「貧困からの脱出」を達成とは人類の歴史における偉業である。

  今や中国は世界第二の経済大国であるが、一人当たりで見るとまだ発展途上の段階にある。輝かしい経済成長の陰で見過ごされてきた負の側面や弱点に目を向けるようになった。

  それなりの豊かさを実現した中国は、多様性、多元性、重層性を持ち、それらが複雑に絡み合った社会であり、そこで発生する諸問題を対立ではなく、相互尊重の精神で協調しあって解決する必要がある。それには法律の遵守と科学の尊重が肝要である。

  建国以来、中国はさまざまな試練に打ち勝ってきた。かつてなく安定し団結している習近平時代の中国は必ずや難関を乗り越え、新天地を切り開くことができるだろう。

 

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