中国の課題は世界の課題、中国の発展は世界の発展でもある

江原規由 (財)国際貿易投資研究所ITIチーフエコノミスト

 

習近平国家主席は建国70周年大会の講話で、「我々は新たな歴史的偉業を創造していく」と強調されている。その歴史的偉業とは、習主席が講話で 「我々は世界の各国人民とともに建設する」とした「人類運命共同体の建設」にあるといえるのではないだろうか。目下、世界は大きな転換期にある。特に、第4次産業革命期に入った世界は、今後超急激な変化に直面するといわれている。この点、未来は、人類にとって大きな機会であるとともに挑戦ともなろう。習主席の講話は、「世界が共同・協力することで、人類運命共同体という輝かしい人類の未来を構築しよう」とのメッセージでもあるといえよう。今、人類の未来を見据えた壮大なメッセージと問題意識を発信できる国は、今後、第4次産業革命などで世界をリードしつつある中国をおいてほかにないであろう。

建国70周年は中国の慶事ではあるが、その間、中国が歩んできた道のりを振り返るとき、世界のこれまでの70年と今後の発展に密接にかかわってきていることがわかる。習主席は、講話で、「70年前の今日、毛沢東同志が世界に中華人民共和国の成立を宣言し、中国人民は站起来し100余年の積貧積弱を克服してきた」 と強調している。このことは、例えば、来年2020年に実現が確実視されている中国での全面的小康社会建設の経験が、世界の貧困絶滅などを目的とし、国連が2030年に実現を目指すSDGsの達成に大きく貢献すると期待できるということである。中国の課題は世界の課題、中国の発展は世界の発展でもあるということである。

 中国は、昨年2018年の改革開放40周年、今年2019年の建国70周年、来年2020年の全面的小康社会の実現、そして、2021年には中国共産党結党100周年を迎える。世界が中国に注目する節目の年が続くが、建国70周年での習主席の講話には、中国と世界との過去、現在、未来を客観視する上での視点が随所にちりばめられているといえよう。

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