ボアオ・アジアフォーラム、3大報告書を発表

 

8日に開かれたボアオアジアフォーラム2018年年次総会の初の記者会見では、ボアオアジアフォーラム3大学術報告書が発表された。報告書はアジアの発展の現状を全面的に示し、アジアの発展のビジョンを展望した。報告書によると、アジアの経済成長は緩やかに改善されており、新興経済体が全体的に好転している。中国の全体的な経済の活力は、アジア一となっている。

 

アジアの経済成長が緩やかに改善、RCEPは脱グローバル化防止の安定器

今回発表された3大報告書には、「アジア経済一体化進展2018年度報告書」「新興経済体発展2018年度報告書」「アジア競争力2018年度報告書」が含まれる。

「アジア経済一体化進展2018年度報告書」は、過去5年間のアジアの貿易投資などの成長状況を考察し、アジアの経済成長は2016年に緩やかな改善の兆しを示したと指摘した。アジア経済は20171−8月に喜ばしい成長の流れを示し、アジアの大半の経済体の貨物貿易が成長を実現した。インドネシア、豪州、中国香港などは2桁台の成長率を記録し、同期の9.6%という世界水準を上回った。

ところが対外経貿大学の林桂軍副校長は「昨年のアジアの貿易は前年よりやや好転したが、アジア経済の黄金時代にはまだほど遠い状況だ。世界では保護貿易主義が台頭し、世界バリューチェーンの成長率が低下し、金融市場が未来の不確定性を懸念している。これらは未来のアジアの経済発展が直面する課題だ」と指摘した。

「アジア経済一体化進展2018年度報告書」は、当初ASEANが提案した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、脱グローバル化防止の安定器に、アジア経済が直面している課題を解消する唯一の実行可能なプランになったとした。林氏は「確固不動の姿勢で高品質のRCEP交渉を終わらせ、脱グローバル化の流れを逆転させ、アジア経済貿易のさらなる高成長を促すべきだ」と話した。

 

新興経済体が全体的に好転、最大の不確定性は貿易情勢にあり

「新興経済体発展2018年度報告書」によると、2017年には外需の大幅な成長と内需の全体的な安定により、新興経済体の経済成長率が大幅に上昇し、全体的に好転の流れを示した。2017年のE11(アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ)のGDP成長率は前年比0.5ポイント増の約5.1%に達し、世界平均を1.4ポイント上回った。

同報告書は、「新興経済体の労働市場は全体的に安定している。インフレの圧力がやや緩和し、国際貿易が回復し、金融市場が全体的に穏健を維持した。しかし外債水準が持続的に上昇しており、対外直接投資の成長力が乏しい」と指摘した。中国社会科学院世界経済政治研究所の張宇燕所長は、各種要素を総合的に検討した上で、E112018年に5.1%の経済成長率を維持すると予想した。

張氏は新興経済体が直面するリスクについて分析し、「長期的に見ると、労働生産性の向上は新興経済体の発展の鍵になる。新興経済体の現在の労働生産性の成長率は理想的ではなく、一部の国では低下の兆しも見られる。技術発展、革新の促進に力を入れる必要がある」と述べた。

「短期的に見ると、新興経済体の発展が直面する最大の不確定性は、現在の貿易情勢にある。保護貿易主義は台頭しエスカレートしているだけでなく、事実上すでに激化の流れを示している。経済成長のバロメーターである対外直接投資は、2017年に大幅に減少しており、懸念されている。発展途上国の金融市場の変動は、E11の為替及び資本流動に一定の影響を及ぼしうる」

 

アジア競争力ランキングは安定、中国が全体的な経済の活力で首位に

中国国際経済交流センター経済研究部の劉向東副部長は「中国の経済成長率は予想を上回り、経済規模は12兆ドルを超えている。7%弱の成長分は、豪州や韓国の経済規模に相当し、世界経済成長に多大な貢献を成し遂げた」と指摘した。

「アジア競争力2018年度報告書」によると、中国の総合競争力ランキングは、前年と同じ9位だったが、注意すべきことがある。経済成長の潜在力、世界経済成長への貢献、経済運行の健全性を見ると、中国の全体的な経済の活力競争力は首位につけている。

アジア主要経済体の2017年の総合競争力ランキングは安定したが、各経済体の競争力の総合得点の差が縮まった。シンガポール、中国香港、韓国、中国台湾の総合競争力ランキングは1−4位をキープした。5−10位は豪州、イスラエル、日本、ニュージーランド、中国、バーレーンの順。劉氏はこれについて、新アジア経済体の経済社会の発展の安定性と連続性が高まっていると判断した。

「アジア競争力2018年度報告書」には、例年と異なる多くの見所があった。アジア経済一体化が持続的に推進され、アジア各経済体は一体化の大きなボーナスを手にし始めており、かつ主要経済体の経済情勢に安定しつつ好転改善という特徴が見られる。各経済体の競争力の強弱に固定化の傾向が見られるが、総合得点の差は縮小されている。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」201849

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