北京冬季五輪会場の発電できるガラス

 一般的なガラスにテルル化カドミウムを中心とする光電機能材料薄膜をコーティングした発電ガラスは、太陽光がこの薄膜に照射すると、その内部で電子運動が発生し、電力が発生する。科技日報が伝えた。

 北京冬季五輪の開催期間中、張家口の選手村と国家スキージャンプセンターに、氷墩墩(ビンドゥンドゥン)と雪容融(シュエロンロン)のデザインの5枚の「テルル化カドミウム発電ガラス案内板」が立てられていた。日中はガラスの案内板で、夜間は自ら発電した電力により照明を行う。

一般的なガラスに厚さ4ミクロンのテルル化カドミウム光電薄膜をコーティングすると、導電、発電、回収が可能な半導体材料に変わり、光電変換と電気エネルギー供給を行い、光があれば電気があることを真に実現する。この成都中建材光電材料有限公司が生産した発電ガラスは、低炭素で環境に優しい発電製品だ。

 同社の潘錦功社長は、「この2枚の発電ガラスは2つの大型電池のように、日中に光電変換で生じた電気エネルギーを隣の蓄電池に保存し、夜の照明に用いる。その最大の特徴は、低温でも発電を維持できる点にある」と述べた。

 潘氏によると、その他の同型の材料と比べると、テルル化カドミウム材料は炭素排出量がより少なく、発電量がより多い。テルル化カドミウムの分光感度は太陽スペクトルと非常にマッチし、光吸収率が高く、95%以上の太陽光を吸収できる。光電エネルギーの変換に適している。実際のプロジェクトにおける対比で、その発電量は同じ設備容量の同類製品を8.8%上回った。また、テルル化カドミウムは高温や湿った環境において高い発電性能を持つ。

 「当社のテルル化カドミウムは固形廃棄物から抽出したもので、ゴミを宝に変えることを真に実現した」。潘氏によると、1枚のテルル化カドミウム発電ガラスに必要なテルル化カドミウムは20グラムのみで、毎年の平均発電量は270kWhで、50年以上使用できる。一方で、1kWhの発電で排出する二酸化炭素は11グラムしかない。

 関係者によると、テルル化カドミウム発電ガラスは反射率が低く、光害を生まない。大型太陽光地上発電所に使用できるだけでなく、従来の建材の代わりに各種建築物にも使用できる。太陽光発電により建築物にクリーンエネルギーを提供し、省エネ・排出削減の効果を発揮できる。潘氏によると、テルル化カドミウム発電ガラスは現在、成都双流国際空港、張家口市民センター、攀枝花グラファイトカーボン工業パーク、九寨溝黄竜高原空港など、中国の多くのプロジェクトに応用されている。

 潘氏は、「当社の発電ガラスの価格は1平方メートル当たり平均1500元(1元は約18.2円)で、一般の人も経済的に負担できる。設備容量5000Wのテルル化カドミウム発電ガラスは、1世帯の1年のエネルギーの需要をほぼ満たせる。炭素排出の問題を解決する一方で、自家発電・自家消費と余剰売電により、利用者の電気料金を節約し利益を創出できる」と述べた。また、テルル化カドミウム材料を加えることでガラスの強度が大幅に上がる上、テルル化カドミウムは非常に安定的な格子構造を持ち、テルル化カドミウム発電ガラス内に安全に長年にわたり密封できる。近い将来、発電ガラスは一般の家庭に普及していくだろう。(編集YF)

「人民網日本語版」2022年2月23日

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