老舗――生きた古鎮の記憶
  合肥市肥東県の南に位置する長臨河古鎮の歴史は三国時代(220280年)までさかのぼることができ、今日に至るまで、既に1700年以上の歴史を刻んでいる。ここは古代、水陸両路の要衝として栄え、巣湖北岸地帯の重要な市場だった。米、布、薬、酒、郵便など、各種商品やサービスを提供する店が軒を連ねていたが、その老舗の多くが今では営業を停止しており、一部が博物館として開放されている。

子どもたちが追いかけっこしながら駆けてゆく声を聞きながら、街をゆったり散歩していると、ふと薄茶色の木の看板が目に止まった。「留真照像館」。ここは古鎮にたたずむ老舗の一つ、77年の歴史を持つ写真館だ。現在のオーナーである徐暁華さん(60)の父親の代から営業している。徐さんの父親の徐景林さんは、子どもの頃から、常州にある祖父母の家で写真に関する技術を学んだ。後に故郷である長臨河へ戻り、1941年にこの店を開いた。今日に至るまで、この写真館は半世紀以上にわたって人々の成長と町並みの変化を見つめてきた。その間、写真撮影に使われるフィルムはガラスからプラスチックへと変わり、現像した写真もモノクロからカラーへと変化を遂げてきた。82年、徐暁華さんは父親から写真館の仕事を受け継いだ。それからというもの、徐さんは長臨河の人々のためにたくさんの写真――長臨河中学校の卒業写真、付近の会社の登録写真、84年に登場した第1世代身分証明書の証明写真などを撮った。90年代に入ると、春節(旧正月)に新年の記念写真を撮ることが流行した。徐さんは店に詰め掛けた市民のために夢中でシャッターを切り続けた。徐さんは写真を撮ることで、町の発展の足跡を一つ一つ確かに記録してきた。8年前には、徐さんが撮った写真を頼りに、80歳のおじいさんが、湖のほとりに住む家族を探し当てたこともあった。

徐さんは言う。「私も年を取りました。子どもたちは今、北京で科学技術の研究をしていますから、ここに連れ戻して店を継がせようとは思っていません。でも、もっと多くの人に足を運んでもらい、私が一番大切にしてきた写真と機材の数々を見てもらいたいです。これらは全て、あの素晴らしい時代の思い出であり、私の宝物なのです」

 

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