王焱 王朝陽=文
3月8日、第13期全国人民代表大会第1回会議のメディアセンターが開いた「中国の外交政策と対外関係」の記者会見で王毅外交部長(大臣に相当)は共同通信の記者からの質問に答えた際、次のように指摘した。「中日関係に得難い改善の勢いが現れているのを目にしている。中国側はこれを歓迎する。日本側がためらったり、ぶり返したり、逆戻りしたりすることなく、中国の発展を客観的に捉えて認めさえすれば、中国側としては日本側と歩み寄り、共に中日関係を健全かつ安定した発展の軌道に戻していくつもりだ」。中国人民政治協商会議(全国政協)委員、中国現代国際関係研究院院長の季志業氏はこの発言を分析した際に次のように述べた。「この発言には中国側の善意が十分に現れています。日本側は今年というチャンスを二度と逃してはなりません」
中日関係はこれまでも「両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)」期間でよく取り上げられる話題の一つだ。3月8日の記者会見で王毅外交部長と日本の記者は共に今年が中日平和友好条約締結40周年に当たることに触れた。近年、日本側もより明確で前向きな対中政策を確実に取り、中日関係に得難い改善の勢いが現れている。季委員は、中日関係が長年冷え込み続け、根本的な改善がされていない主な原因は日本側にあると考える。「王毅外交部長の答えから、中国は過去のあらゆる政治文書の基礎の下で現在の中日関係を改善する意思が大いにあることを見て取れます」
中国が対日関係の改善を求めていても、まだ一部の不確定要素に直面している。季委員は次のように分析する。「中日関係の不確定要素の一つに歴史問題があります。つまり、日本側が中国侵略の歴史を正視し、靖国神社を再び参拝せず、右翼史観の教科書を教えないと約束できるかどうかです。二つ目は台湾問題をめぐって、日本側が陰に陽に小細工を続けていることです。去年は日本の現高官が中国台湾地区を訪問し、中国の主権のレッドラインに挑戦しました。これらの重大な問題に中国は譲歩できません。日本がこれらの原則的な問題を正視しさえすれば、われわれははじめて中日関係の改善を話せます」
季委員は、現在の国際情勢で日本には中国と関係を悪化させる理由がないと考える。そして次のように分析した。「現在の日本の経済が直面している主な圧力はまぎれもなく同盟国の米国です。トランプ氏が大統領就任後に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)離脱を表明し、日本に防衛費を増やして米国の武器を買わせようとし、今はまた『鉄鋼・アルミ関税』を発動しました。日本も努力して米国のいないTPPを成立させましたが、価値が低く、問題の解決に至りません。安倍首相はいわゆる『自由で開かれた』インド太平洋戦略を呼び掛けましたが、トランプ大統領はそばで声を上げているだけです。だから、日本がもし本当に自分により有利な外部環境をつくりたいのであれば、中国と良い関係を結ぶのが最善の策だと私は考えます」
事実、日本は対中関係改善の中でより多くの利益を得ることができる。季委員は次のように述べる。「中国はすでに質の向上を主軸とする新経済発展時代に突入しており、これは日本にとって非常に良いチャンスでしょう。将来の中国がより発展の質を求める過程の中で日本は重要な役割を果たすことができます。中国の農村現代化建設、都市スマート化建設、サービス貿易などの分野で中日両国はより緊密な協力を展開することができます。今年は上海で輸入博覧会が開催され、中国は世界最大の輸入大国となるかもしれません。『一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)』」建設もすでに初期の効果が現れ、日本もそれに相乗りすることができます」
去年は中日国交正常化45周年だった。本来は絶好の機会だったが、残念ながら当時の日本側の改善に向けた意思がそれほど強くなかったため、最終的に根本的な態度の変化が表れなかった。季委員は次のように述べる。「この原因の一部に去年の米国大統領の交代があり、安倍政権は日米関係の調整に大きな力を割くことを余儀なくされました。今年は新しいチャンスです。日本が発展の機会を見つけたいのなら、中国という巨大な経済エンジンと協力を展開することが求められるでしょう。私は日本側がそれをしっかり捉えることを希望しています」
人民中国インターネット版 2018年3月15日