青海湖で最も長い間暮らしている住民といえば、鳥たちだ。青海湖に来たら、鳥島観光に行かないわけにはいかない。湖の北西角、ブハ(布哈)河が流れこむ地点に二つの島が東西に向かい合っている。西側は海西山といい、蛋島とも呼ばれる。東側は海西皮と呼ばれ、蛋島より3~4倍大きい。
二つの島には10万羽以上の鳥が生息し、湖水と湖畔の景色が相まって、いつも忙しくにぎやかな光景を見せている。一群の鳥が飛び立ち、また別の一群が降りてくる。湖面を旋回しているものもいる。鳴き声が耳から離れない。観光客が多いため、鳥たちはまるで慣れてしまったかのように、それぞれ自分たちの生活を営んでいる。
毎年4~5月になると、海西山はとてもにぎやかになる。インドガン、カワウ、キンクロハジロ、ヒバリ、カモメなどが江南地方や東南アジア、インド、ネパールなどからやって来て産卵し、ひなをかえすのだ。10万以上の「遠方からの来客」が島で繁殖・生息し、巣がひしめく。ひなが卵からかえると、鳥たちは湖面を飛び、えさを探し、飛び立ち、降り立ち、鳴き声を上げ、鳥の世界をつくる。秋になり、ひなが大きくなると、また南へ飛んで越冬する。このように毎年繰り返して、世間から隔絶されたこの浄土と行き来するのだ。雪がちらつき、湖面が凍る冬も鳥島は静かにならない。今度はハクチョウの家になるからだ。島で越冬し、春になると去っていく彼らは、厳冬の青海湖に生気を与えてくれる。
青海湖には湟魚という珍しい魚がいる。紡錘形をしており、背中は黄褐色または灰褐色で、体の両側に不規則な褐色の模様がある。体全体にうろこがないため、地元の人々から「裸鯉」とも呼ばれる。湟魚の生命力はとても強く、標高3000~5000㍍以上の川や湖でも生息できる。しかし、高原の湖水は冷たく、栄養も少ないため、成長が遅く、10年かけても500㌘しか大きくならない。以前、青海湖周辺の人口は少なく、地元のチベット族の人々も魚を食べる習慣がなかったため、湟魚は大量に繁殖して、「馬に乗って水を渡れば魚を踏み殺す」といわれるほどだった。だが、1960年代以降、食用のため乱獲した結果、湟魚は絶滅の危機に陥った。90年代半ばから、青海省政府は青海湖の生態と環境を守るために、湖の封鎖による魚の繁殖や禁漁の措置を厳格に実行した。20年余りにわたる回復を経て、現在、青海湖のほとりの底が見えるほど澄んだ湖水では、たくさんの湟魚が群れている様子がまた見られるようになった。