食欲をそそる地元の味

 

醸皮児は軽食にもなるし主食にもなる、現地の人々の大好きな料理

 

  西寧で最も有名な小吃(軽食)街である水井巷。ここは通年、大勢の人でごった返し、非常ににぎやかだ。外から西寧に来た人はたいてい皆、名前を慕ってここを訪れ、各種の地元グルメを味わう。

 「醸皮児」は西寧の地元グルメの代表だ。「醸」は西寧方言ではniang(ニャン、4声)とは読まず、rang(ラン、4声)と読む。西寧の街角では至る所で醸皮児を売る露店を見掛ける。一つのテーブルに三つの腰掛けが置かれている。店主が手に包丁を持ち、トントンと何度か切ると、厚い醸皮児が短冊状になる。それをどんぶりに入れ、上に塩、酢、うま味調味料、トウガラシをかけ、さらに白玉のような生麩をのせる。こってり熱々の料理がお客の前に運ばれる。お客は辛さに舌を鳴らしたり汗をぬぐったりするが、手に持ったどんぶりを離そうとはしない。

 「濃い味付け」の醸皮児を食べたら、昔ながらのヨーグルトでさっぱりしよう。西寧の街角では、老いも若きも、歩き疲れたらヨーグルトの露店の前にある腰掛けに座っていい。おばあさんが籠の上に掛けた白い布を取るのを待って、小さな入れ物に入った濃いヨーグルトを持って食べる。このヨーグルトはほぼ固体といっていいほど濃く、入れ物を逆さにして持っても、全く中身が落ちないほどだ。

 他の土地の人から見れば、この山野の息吹に満ちたヨーグルトは茶碗蒸しにより近い。凝脂のように固まっていて、上は黄色の油脂に覆われている。濃いヨーグルトの匂いをかぐとミルクの香りが鼻をつく。だが、スプーンで少しすくって口に入れてみると、おそらく顔をしかめてしまうだろう。そして歯の間から「なんでこんなに酸っぱいんだ!?」という言葉をしぼり出すだろう。聞くところによると、ここの人々はヨーグルトを作るとき、あらゆる添加物を加えず、砂糖さえも入れないという。ただ牛乳に植物油を数滴加えて煮詰めてから冷やし、前日に残ったヨーグルトを種菌として混ぜて、小さな白い磁器の入れ物に流し込み、保温ケースに入れて密閉して発酵させ、四、五時間待つだけだ。ヨーグルトができたら、一つずつ籠にきれいに並べて町へ売りに行く。

 西寧では、異なる民族の市民がそれぞれ自分たちのヨーグルトを作っている。食べる際には、黄色い膜の上に砂糖を2さじかける。それからスプーンで軽く切ると、膜はすぐに裂けて、下にある凝脂のようなヨーグルトが姿を見せる。混ぜずに、そのまま砂糖をのせて、ひとかけらずつに切って、口に入れてゆっくりかむ。ざらざらした甘さと、豊かさと、滑らかでさっぱりした酸味が層になって感じられ、砂糖が温かく滑らかなヨーグルトをくるんだ舌の上で溶ける楽しみを感じられる。その独特な楽しみはおそらく、ストローで吸って飲む中国で一般的なヨーグルトとは比べ物にならないものだ。