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壮大のスケールの「大三国志展」開催

 

【『三国志』に登場する人物群像】

桃園三傑図(桃園で義兄弟の契りを結ぶ劉備、関羽、張飛)

片山楊谷(1760~1801年)

江戸(1603~1867年)

120.4×56.5cm

神戸市立博物館

片山楊谷は鳥取藩御用絵師。『三国志』の人気は近世日本において、特に『通俗三国志』の刊行以降高まりをみせ、地方画壇にもその影響があらわれた。「桃園結義」は、あくまで虚構であるが、劉備、関羽、張飛の任侠的結合ともいわれる君臣関係を象徴的に示し、格好の画題として多くの画家たちによって描き継がれた。

関羽図

曾我簫白(1730~1781年)

江戸・明和5年ごろ(1768年ごろ)

132.2×53.6cm

奈良県立美術館

曾我蕭白による胸をはった堂々とした関羽図。三国志絵画中、最も多く描かれた画題が関羽であろう。『三国演義』では関羽の容貌を「身長九尺、顎鬚の長さは二尺、重棗のような赤い顔、紅をさしたような赤い唇、鳳凰の眼に蚕のような眉」と書かれている。

諸葛亮図

謝時臣(1488~1548年)

明(1368~1644年)

290.0×100.0cm

北京・故宮博物院所蔵

『三国演義』に見える孔明は劉備の軍師として、天才的な知略を駆使して、鬼神のごとく活躍し、敵を翻弄する。本作は孔明が深い山の中で本を読む光景を描き、構図は綿密で行き届いている。個性的な水墨画法で知られる謝時臣の山水画の傑作。

三顧茅廬図(三たび草庵を顧みる)

戴進(1388~1462年)

明(1368~1644年)

172.2×107.0cm

北京・故宮博物院  国家一級文物

47歳の劉備は、臥龍と呼ばれた27歳の諸葛亮(孔明)の草庵を、礼を尽くして三たび訪問した。劉備の真摯な姿勢に感激した孔明は、「天下三分の計」を説いて、劉備の招きに応じる。



赤壁図(宋(そう)代の詩人・蘇軾(そしょく)が赤壁を船で遊覧する情景)

仇英(1509?~1551年)

明(1368~1644年)

26.5×90.5cm

遼寧省博物館 国家一級文物

宋代の詩人・蘇軾が『赤壁賦』を詠んだ文赤壁は、実際の古戦場である武赤壁と並ぶ名所。蘇軾が友人を連れて船を浮かべ、夜に赤壁を遊覧する情景を描く。本作は「明四家(みんしか)」の一人・仇英が描き、清朝最後の皇帝・溥儀が譲位前に溥傑に与えたことが知られている名作。



 

【その他の主な『三国志』関連の展示品】

四棱形鉄箭鏃(赤壁古戦場より出土した鏃)

三国(220~280年)

1978年、湖北省赤壁市赤壁山、南屏山、金鸞山 出土

最長19.4cm、最短5.5cm

赤壁市博物館

今から1800年前、208年の赤壁の戦いの古戦場から出土した鏃。鏃の頭の部分は角ばっている。壮絶な戦いのあとを偲ぶ出土品。



木牛・流馬(復元品)

復元指導:譚良嘯成都武侯祠博物館 副館長)

現代

三国志城博物館(日本)

木牛・流馬は孔明が発明した2種類の車。史書に基づいた研究によれば、木牛が四輪車、流馬は手押しの一輪車であるという説が有力だが、木牛が一輪車、流馬が四輪車という説もある。小説『三国志』では超現実的な機能をもった道具として描かれている。



 

 

「大三国志展」に寄せて

 

東京富士美術館館長 野口満成

 

 5月3日から1年間にわたって、東京富士美術館を皮切りに、日本全国7会場で「大三国志展」が開催されます。

 

この展覧会は、東京富士美術館の創立者である池田大作SGI会長が、2006年9月、王毅・前駐日中国大使と会見した席上で、今後の中日友好交流の発展と北京オリンピック開催を祝って、日本で「大三国志展」を開催することが決まり、準備が開始されました。

 

三国志に関する展覧会は、中国国内では小規模な展覧会が開催されたことはありますが、歴史と文学を包括する総合的な観点から紹介されるのは初めてとなるため、東京富士美術館と中国文物交流中心による調査団が組織され、3回にわたって現地調査が行われました。

 

調査は北京、上海、重慶の三市と、三国志の舞台となった8省におよび、各地の博物館や旧跡など約70カ所を訪れて行われました。3回の調査の走行距離は1万6000キロに及びましたが、歴史の舞台に立つと、古の英雄たちが雄大なスケールの大地を舞台に、それぞれのロマンを抱いてドラマを繰りひろげた姿が、臨場感をもって迫ってくるのでした。

 

本展は、日本人の多くが『三国志演義』に基づいた物語に親しんできたことから、第一部を[物語でたどる三国志]をテーマとしました。ここでは「桃園の誓い」「三顧の礼」「赤壁の戦い」「星落秋風五丈原」など4つの名場面を伝える絵画や書、彫刻、写真や映像資料などを駆使してその魅力を伝えます。とりわけ、精細な衛星写真に基づく「五丈原」の地形模型と、「孔明」の最期の戦いの地である五丈原からみた当時の星空を映像で体験する事ができます。

 

第二部の[出土品でたどる三国志]は、3世紀末、陳寿によって編纂された正史『三国志』に基づいて構成されており、1800年前の三国時代の戦闘や政治、経済、生活、文化の様相にスポットをあてています。公開される約150点の文物、資料のなかで、国家一級文物が53点含まれており、とりわけ「赤壁」の古戦場から最近発見された「鏃」をはじめ、刀剣、金印、装身具、副葬品などの貴重な品々は、三国の時代に生きた英雄たちの息づかいを感じさせてくれます。

 

「大三国志展」(東京会場)の概要

【会期】2008年5月3日(土)~7月13日(日)

    月曜休館

    午前10時~午後5時(土曜は午後7時まで開館)

     (入場受付は閉館時間の30分前まで)

 

【会場】東京富士美術館

      〒192-0016 東京都八王子市谷野町492-1  

 

【入場料】大人1200(1000)円

          大学高校生800(700)円

          中小学生400(300)円

     ( )内は前売り券、各種割引料金(20人以上の団体、65歳以上ほか)

      土曜は中小学生無料

      障害者および付添い1人は半額 

 

【主催】「大三国志展」実行委員会(東京富士美術館、朝日新聞社、NHKプロモーション) 

 

【後援】日本外務省(予定)、文化庁、中国国家文物局、駐日中国大使館など 

 

【特別協力】中国文物交流中心 

 

【文物出品協力機関】

 故宮博物院、首都博物館、北京芸術博物館、中国社会科学院考古研究所、天津博物館、定州博物館、南京博物館、南京市博物館、安徽省博物館、馬鞍山市博物館、亳州市博物館、河南省博物館、洛陽博物館、焦作市博物館、南陽市博物館、南陽市漢画館、新郷博物館、湖北省博物館、鄂州市博物館、赤壁市博物館、武漢博物館、湖南省博物館、四川省博物館、成都市新都区文物管理所、四川省文物考古研究院、新都県文物管理所、広漢市文物管理所、陝西歴史博物館、西安碑林博物館、漢中市博物館、甘粛省博物館、高台県博物館 

 

【全国巡回開催予定】北海道(旭川) 北海道立旭川美術館  

          2008年7月24日~8月24日

          関西(神戸)  関西国際文化センター 

          2008年9月5日~10月5日

          九州(福岡)  福岡アジア美術館   

          2008年10月17日~11月16日

          四国(高松)  香川県立ミュージアム 

          2008年11月26日~12月24日

          中部(名古屋) 松阪屋美術館     

          2009年1月2日~2月1日

          群馬(前橋)  グリーンドーム前橋  

          2009年2月11日~3月15日

 



 

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