女性がひねり出した芸術
華県瓜坡鎮の農村主婦、今年62歳の鄭引弟さんを訪ねた。彼女は11年前にもう一人の女性と一緒に小さな「麺花手作り作業場」を作った。看板もなく、設備といえる大した設備もない。小型の小麦粉捏ね機と製麺機を除けば、まな板ぐらいである。道具は極めて簡単で、包丁とハサミ、くし、それにナツメ、緑豆とすこしの食用顔料である。
麺花作りはそれほど複雑ではないが、うまく作るのはそう簡単ではない。どこかのちょっとしたミスが出来上がりのよしあしに影響する。まずは極上の小麦粉を使うこと。柔らかくてコシがあるので可塑性がある。小麦粉をよくこねることが麺花作りでは肝心である。発酵が過ぎるとひび割れるが、足りないと形がくずれて、蒸し上がった形がふっくらとしない。これらはすべて経験によるものだ。
二人の女性の麺花作りはまるでマジックを見るようである。何の下絵も参考にするものもない。小さな団子が彼女たちの両手で揉まれ、つままれ、圧され、巻かれていろんな形の生き生きとした麺花が作られる。例えば小鳥を作る場合はまず雛鳥の体を指でこねて形作り、それからくしで押したり、ハサミで切ったりしてから、ふた粒の豆で目をつける。いくつかの簡単な動作で、天に向かってさえずる小鳥が出来上がる。麺花を作ってから、すだれの上に置いて、布団をかけてオンドルに置き、オンドルのぬくもりで麺花をほどよく発酵させる。二時間後、鍋に入れて十数分蒸す。鍋を開けてちょっと形を整えて、さらに蒸す。麺花を取り出してから、熱いうちに筆で、描いたり塗ったりこすりつけたりのばしたりしながら、色をつける。最後に花や動物のばらばらの麺花を一つに組み合わせる。これで生き生きとした麺花の完成である。
鄭さんは麺花を作り始めてもう40年以上になる。11年前、出稼ぎで北京に行ったが、年齢が高過ぎたためわずか4カ月で帰ってきた。世間を知った彼女は、自分の麺花作りの腕を生かして暮らそうと、麺花の商売を試みに始めた。思った以上によく売れて、お祝いごとがあると麺花といったように注文が相次ぎ、彼女は自信を深めた。2008年のオリンピックの期間、彼女は自分が作った麺花を北京の著名な798芸術区に持ち込みいろんな流派の芸術作品と一緒に並べて、国内外のアーティストや観客に中国の農村女性の麺花芸術を見てもらった。今や華県の麺花は、中国国家級無形文化遺産に登録認定され、中国人の国宝となっている。
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